誰でも簡単にオリジナルのフォトブックが作れるアスカネットのマイブック。書店で売られている写真集のような高品質な仕上がりで、世界中のプロ写真家にも認められる大人気のフォトブックとして知られている。写真家・長根広和さんもこれまでたくさんのマイブックを自ら制作してきた。一方、STORES.jp(ストアーズ・ドット・ジェーピー)は誰もがネットショップを作って販売できるサイト。今回新しく、マイブックとSTORES.jpが繋がることで、発送や集金の手間がいらなくなり、マイブックを写真仲間などに購入してもらえるという画期的なベネフィットが生まれた。そして、「写真集を簡単に共有できる」ということは撮影のモチベーションも大いに上げる。ここでは、長根さんの鉄道風景撮影ワークショップ「小海線&長野新幹線」参加者によるマイブックとSTORES.jpの連携の活用例をご紹介する。皆さんもこの記事を参考にマイブック作りに挑戦しよう。
マイブックは、自分で手軽にオリジナルの高品質フォトブックが作れるサービス。世界各国の写真ファンはもちろんプロ写真家にも利用されている。
商品ラインナップは221種類。手のひらサイズから30センチ四角まで、ページ数も10~100ページで10ページ単位で選べる。
ダウンロード無料の編集ソフト「MyBookEditor4」で直感的なフリーレイアウトが可能。テンプレートを利用した簡単作成にも対応。
誰でも簡単に、無料でネットショップを作って販売できる。
掲載無料・掲載アイテム数制限なし。商品写真の撮影もプロカメラマンが無料対応。
海外販売も可。スマホ・タブレットにも対応。音楽・動画配信もOK。
長根さんがマイブックを愛用してきた理由はいくつもある。プロの目から見ても書店に並んでいる市販の写真集に引けを取らない信頼できる印刷と製本のクオリティ。それにもかかわらず972円から1冊単位で制作できることで写真集の敷居をぐっと下げてくれた。また、自分で編集することで写真集作りそのものを楽しめるだけでなく、完成したマイブックを見ることで「次はこんな角度で撮ろう。あんなカットも必要になるな」と撮影自体の幅も広げてくれる。もちろん、人に見てもらうという喜びも大いにある。
今回、マイブックがSTORES.jpと連携することで「簡単に販売できる」ことが加わった。そのことは撮影の幅と見てもらう喜びをさらに広げることになる。そのうえ、これまでは何冊か作っておいて、発送したり、代金をいただくのに気を遣うこともあったが、それらが一切なくなる。それはつまり、オンライン書店などで販売されている市販の写真集と同じということにもなったわけだ。撮影ワークショップなどの写真仲間の作品で構成した合作写真集をみんなで共有したり、自分で作った写真集をネットショップから一般の人にも購入してもらえるなんて、プロの写真家にとってはもちろんのこと、アマチュア写真家にとってもこれほど嬉しいことはないだろう。
写真集制作を目的にすることで撮影のモチベーションはおのずとアップするが、それだけでいい写真集は作れない。
それぞれが傑作を撮ろうと意識することも大切だが、全員が写真集の完成形をイメージして計画を立てて動くことも求められる。
今回は、GANREF被写体別ワークショップ「長根広和先生の鉄道風景撮影ゼミ」で知り合った鉄道写真ファン5名(チーム名:せんろばたスナイパーズ)と長根さんがJR小海線沿線で撮影を行い、参加者5名の作品を長根先生がセレクト・編集して1冊のマイブックを作ることにした。撮影のワークショップは撮影ポイントや撮影テクニックを教えてもらえたりと、参加するだけで楽しいものだが、今回は参加者の写真を1冊のマイブックにまとめることを目標にする。
写真のファンの多くは傑作を撮ることに夢中で、撮ったらおしまいという人が多い。それはとてももったいないことだと以前から長根さんは思ってきた。写真集を作っていくといろいろ発見もあるから、いろんな人にぜひ体験してほしいとも考えてきた。
これまで写真集を作ったことがない人でも、みんなで集まれば楽しくできるし、長根さんが加わることでこれまで長根さんが写真集づくりで経験してきたことをそれだけ多くの人にも伝えられる。
というわけで、6名が1泊2日の撮影ワークショップでマイブックを作ることにしたのだが、限られた時間内の撮影で、しかも6名で作るのだから、撮影前にそれなりの計画を立てておくことも重要だ。「写真集を作ろう!」というだけで撮影のモチベーションは自然に上がるものだが、漫然と各々が傑作を撮ることを意識していただけではいい写真集としてまとめることは難しい。
マイブックを作る人は普通、旅行や何かのイベントで撮った写真の中から制作することが多いかもしれない。プロの写真家も撮り溜めた作品から作ることが多いようだ。しかし、マイブックを作ることを前提として撮影を始められるのであれば、いい写真集に仕上げるために、ここは事前の計画も入念にしておきたい。 このポイントは、撮影したあとにマイブックを作る場合でも、ちょっと意識しておくと、仕上がりが数段違ってくるので、ぜひ参考にしてほしい。
だいたいでいいので判型とページ数を話し合っておこう。判型は撮影するときの構図を決めるときに目安にもなる。今回、鉄道風景写真の場合には横位置写真が多いので、A4横開きが向いていると判断した。ページ数は盛り込む写真数や写真の掲載サイズに影響する。今回は20ページを想定した。
写真集を作るうえで大切なのは「こんな本にしたい」というコンセプトだ。撮影前に明確なコンセプトが見えてこない場合にはキーワードでもいい。数人で撮影する場合にはとくに、具体的な言葉を挙げておくことであとで編集もしやすくなる。
鉄道写真撮影ではどこで何時に撮るかはとても重要だ。ローカル線の場合には本数が少ないし、写真集を作るのなら同じ線でもさまざまなポイントで撮っておきたい。効率よく移動してなるべくたくさん撮れるように事前にしっかり計画を立てておこう。
撮影していると主役が写っている写真ばかりになりがちだ。編集していくとメインの写真ばかりでは成り立たない。主役を引立てるためのサブカットが必要になるので、鉄道写真では時刻表や線路脇の花、駅名標などを気づいたらこまめに撮っておくことも大切だ。
スナイパーズの人文字「S・N・I・P・(E)・R・S」。
さて、撮影が終わったところで、まずはマイブックの制作をやっていこう。
今回は当初から「小海線の撮影行をまとめた6人で作る写真集」がテーマとしてあったが、「せんろばたスナイパーズがしとめた小海線」をコンセプトにした。ということで、鉄道風景写真だけでなく、線路端の狙撃手ともいえるスナイパー6人の撮影風景や撮影の合間の楽しい雰囲気も入れることにした。
記念写真も駅名標を囲んで楽しい雰囲気で撮っておいた。
みんなで楽しんだワークショップだから、撮影風景もカットの候補に。
コンセプトを元にして、上記のような隠し味的な写真も入れながらマイブックを作っていくわけだが、まずは「MyBookEditor4」で編集する際のちょっとしたコツをチェックしておきたい。
最初にどんな雰囲気の写真集にするかを決めたい。マイブックのサイトには55種類のテンプレートが掲載されているし、MyBook Galleryではさまざまなマイブックを見ることができ、ジャンルで絞り込みもできて参考になる。
まずは表紙や写真集の目玉になるような傑作写真を選んでおくといい。これを最初にやっておくと写真集の方向性が明確になるし、あとの編集がやりやすくなってくる。10枚程度はほしいところだ。
ページをめくるたびに次のページが見たくなるような構成が理想的だ。見開きで大きく見せるクライマックスまでに、ページを4分割、サブカット入りなど、ページのテンションを上げていくと良いだろう。
デザインが終わったところで忘れてはならないのが見直し。あえて、編集者のような他人の目になって全体をチェックしよう。そんなときは撮影時の思い入れは捨てて、バランスを考えて写真を外す勇気も持っておこう。
そうしてでき上がったマイブック
『せんろばたスナイパーズ 小海線撮影行』
ここまでマイブックを作るための撮影のポイントや編集の際のちょっとしたコツなどを書いてきたが、でき上がったマイブックをSTORES.jpで販売するのはとても簡単だ。以下のほんのいくつかの作業で誰もがSTORES.jpのネットショップで販売できる。驚くほど手軽にできるから説明もほとんどいらないだろう。これはもう、一度、ぜひ体験してみていただくしかないだろう。
これまで何冊もマイブックを作ってきましたが、ほとんどが自分の写真集というものでした。今回は「みんなで作る」がテーマだったので難しい部分もありましたが、いつもの何倍も撮影や編集を楽しむことができました。参加した皆さんにもこの部分は十分楽しんでいただけたようで嬉しく感じています。そして、とても簡単にネット上で自分たちの写真集を販売できるようになったのには驚きました。これは本当に画期的なシステムです。僕もこれからはこのシステムを使わせてもらってどんどん写真集を販売していけたらと思っています。「マイブックストアズ」でストアを開設すれば、知らない人にも販売できるのですから、写真家にとってこれほど素晴らしいことはないでしょう。