GANREF特別企画 アイソン彗星撮影術&おすすめアイテム

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GANREF特別企画 アイソン彗星撮影術&おすすめアイテム

レポート:飯島 裕

アイソン彗星は残念だったけど、まだまだ続く星の楽しみ!

 すでにニュースで大々的に報じられていますが、アイソン彗星は11月29日の近日点通過時に核が崩壊し、消滅しかかっているようです。小さな核が残っているとの説もありますが、いずれにしろ、明け方の空に雄大な尾をたなびかせた大彗星という可能性はなくなってしまいました。消滅も予想のひとつではありましたが、われわれの期待どおりにはなってくれませんでした。たいへん残念なことですが、まだまだ彗星のことはよく理解できていないというのが現状ということなのでしょう。
 とはいえ、太陽観測衛星からの映像で近日点を通過する様子をほぼリアルタイムで見ることができ、彗星を追いかけるハラハラドキドキを世界中の人々と共有できたのは、たいへん面白い体験でした。アイソン彗星のおかげで、太陽にいちばん近い惑星である水星を初めて見たという方も多かったのではないでしょうか。
 今後、崩壊し拡散したアイソン彗星は、尾が伸びると予想された位置に淡いながらも広がって、ひょっとすると写真に写せるかもしれません。さすがに肉眼では難しいでしょうが、計算では、12月5日ころだと天の川のいちばん明るいところの1/5くらいの明るさになるかもしれないとのこと。写るかどうかわかりませんが、チャレンジしてみる価値はありそうです。

 と同時に、いま2013年9月に発見されたラブジョイ彗星が見頃になっています。空の条件のいいところでは肉眼でも存在が確認できる明るさで、写真ではアイソン彗星が最もよく見えた頃と同じくらいに写すことができます。すごく明るくなるわけではありませんが、12月上旬に最も明るくなる予想です。

 また、12月13日は「ふたご座流星群」がピークとなります。今年は午前3時ごろまで明るい月が空にありますが、明るい流星も多いので、眼視でも撮影でも楽しむことができるでしょう。続いて、年が明けて1月4日には「しぶんぎ座流星群」がピークです。こちらは月がない好条件。見逃すわけにはいきません。

 アイソン彗星は多くの人の眼を星空に向けてくれましたが、彗星は星空の楽しみのほんの一部です。見て撮って面白い天文イベントは、これからもたくさんあります。引き続き、星の世界を楽しんでみてください。

作例

12月2日朝、水星食でこれから月に水星が隠されるところです。ここにアイソン彗星の勇姿が見えるはずでしたが……

カメラ:ミラーレス一眼/レンズ:12-40mm(焦点距離:40mm)/露出モード:マニュアル/絞り:F2.8/シャッタースピード:21秒/ISO感度:800/追尾撮影

作例

12月2日のラブジョイ彗星。美しく伸びた尾を双眼鏡で見ることができました。

カメラ:ミラーレス一眼/レンズ:150mm(焦点距離:150mm)/露出モード:マニュアル/絞り:F2.5/シャッタースピード:90秒×8コマコンポジット/ISO感度:1600/追尾撮影