GANREF特別企画 春爛漫サクラ撮影術&おすすめアイテム

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GANREF特別企画 春爛漫サクラ撮影術&おすすめアイテム

レポート:萩原史郎

桜が咲き始めると、カメラを持って出かけたくなりますよね。天気が良い日はもちろんのこと、雨が降っても風が吹いても絵になってくれるところが桜のいいところ。ただし、漫然と撮ってしまってはマンネリからはなかなか抜け出せません。ここではシチュエーションごとの桜の撮り方を紹介しますので、ぜひ参考にしてワンランク上の作品を目指してください!

サクラ撮影の上手な楽しみ方

 桜は特定の地域に行かなければ見られない被写体ではありません。近所の公園にもあるでしょうし、街路樹としても一般的なので桜並木として見ることもできます。もちろん、足を延ばせば美しい一本桜や桜が群生する大風景にも出会えます。桜ほどいろいろな場所で見られる被写体はほかにないといっても良いくらいです。ですから桜は自分のライフスタイルに合わせて撮影を楽しむことができるというわけです。
 ところで「満開情報」ばかりを気にしている方も多いのではないでしょうか。実は撮影チャンスは満開のときだけではありません。咲き始めの一輪二輪の愛らしさや、散った花びらの、はかなさやもろさなど、桜はすべての瞬間が美しいのです。もしも満開の桜しか撮ったことがないのなら、今年は別の姿の桜に少し目を向けてもいいかもしれません。
 桜を撮影する場合、重要なのは“時間”です。いつ撮るか、今でしょ! ではなく、「こんな表現をしたい」という構想を持ち、それに合わせた時間帯を選びましょう。朝の光で生き生きと撮る、午前中の青空を生かして鮮やかに表現する、夕日と絡ませて味わい深く撮る、ライトアップされた妖しい雰囲気をつかまえるなど、時間を選ぶことで桜はさまざまな表情が楽しめます。時間にこだわることで、今年の桜はひと味違うものになるかもしれませんよ。

見る者をうならせる桜の名所で渾身の1枚を撮る

 あこがれの桜撮影地で撮りたいという気持ちは誰でもお持ちでしょう。でも、それを成功させるのは、まずは情報収集です。どのタイミングで撮影したいのかを決め、開花の進み具合をWEBで調べたり、役場に電話して確かめるなどして、できるだけ正確な情報をゲットしましょう。そうすることで思い描いている桜の姿が撮れる確率が高まります。桜の開花はその年の気象によって左右されるので、平年値を当てにするのは禁物です。今年は早めのようですが、くれぐれも情報収集は怠らずに!
 次いで大事なのは撮影を補助するアクセサリー類です。カメラはもちろんですが、特に朝夕の撮影の決め手になるのは三脚ですから、しっかりした三脚を用意したいものです。せっかく素晴らしい桜を撮影するのですから、そこは抜かりなく準備しましょう。
 撮影中は水平垂直に注意することも忘れてはいけません。水平のとれていない写真は違和感があり、鑑賞の妨げになります。カメラ搭載の電子水準器や、アクセサリーシューに取り付けられる水準器、あるいは三脚や雲台の水準器を確認しながら撮影してください。

作例 朝焼けに映える一本桜を撮る
逆光になる位置にポジションをとり三脚にセットし、朝焼けを待って撮影。桜はシルエットになりますが、枝ぶりが良いので絵になる風景となりました。背景も雲はオレンジ色に焼け、空は青く見えているので、美しいグラデーションとなっています。
カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5/レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ(50mmで使用)/露出モード:絞り優先AE/絞り:F6.3/シャッタースピード:1/200秒/ISO感度:200/WB:オート/三脚使用/撮影日:2012年4月19日/撮影地:奈良県宇陀市大宇陀 又兵衛桜

作例 桜と山を絡ませてスケール感を出す
桜だけを撮る方法もありますが、桜にプラスアルファの要素を加えることで、より印象的に表現することができます。この場合は山とコラボさせましたが、滝や渓流と絡めたり、鳥が枝に止まっている瞬間を写しとめるなどすれば、桜の魅力がいっそう引き立つでしょう。
カメラ:キヤノン EOS 5D Mark II/レンズ:EF24-105mm F4L IS USM(80mmで使用)/露出モード:絞り優先AE/絞り:F16/シャッタースピード:1/30秒/ISO感度:200/WB:オート/三脚使用/撮影日:2010年4月14日/撮影地:群馬県富岡市 妙義山

作例 ライトアップされた妖艶な桜を表現する
桜はライトアップされると、それまでとは違った妖艶な魅力を放つようになります。当然スローシャッターになるので三脚を使って撮影することがベストです。ストロボは使わない方が自然に見えます。また真っ暗になってから撮影するより、まだ空に青みが残っている時間帯に撮影すると、鮮やかな色彩美が楽しめます。
カメラ:キヤノン EOS 5D Mark II/レンズ:EF24-105mm F4L IS USM(28mmで使用)/露出モード:絞り優先AE/絞り:F8/シャッタースピード:2.5秒/ISO感度:1600/WB:太陽光/三脚使用/撮影日:2009年3月27日/撮影地:山梨県身延町 身延山

近所の公園や寺で気軽に桜スナップ

 遠出する時間がなければ近所の公園や寺に出かけてみてはいかがでしょう。場所が近いからといってバカにできないほどのすてきな桜があるかもしれません。いえいえ、特別に素晴らしい桜でなくても、たくさんの桜がなくても、実は一向に構いません。たった1本の桜があれば作品は作れるのです。ここに挙げた3点の作品は、遠出をせず近くの公園に出かけて撮影したものばかりですが、十分に作品として成立していることがおわかりいただけると思います。
 むしろ近所の桜を撮影対象とすることはメリットが多いのです。桜の咲き具合を把握しやすい、天候の状況がわかる、ちょっと空いた時間に撮影できる、何度も通えるなどなど、都合のいいことばかりです。かくいう私もクローズアップ系の作品は近所の公園で撮影したものが大半です。確かにスケールの大小に差はあるかもしれませんが、心のこもった作品は身近な場所だからこそ撮れるということもあるのです。
 ところで近所に出かけるときは、軽量コンパクトなミラーレスカメラがおすすめです。身軽に動ける装備で、近所の桜をスナップしてみませんか。

作例 青空を背景にして爽やかな印象を出す
よく晴れた日、せっかくなので青空を背景にしてみました。白いソメイヨシノは青空を背景にすると、くっきりと見えますから、天気が良い日は積極的に青空を利用してください。この作品では太陽をチラッと見せることで、アクセント作りもしています。
カメラ:ソニー NEX-7/レンズ:E 18-55mm F3.5-5.6 OSS(20mmで使用)/露出モード:絞り優先AE/絞り:F16/シャッタースピード:1/250秒/露出補正:+0.3EV/ISO感度:100/WB:オート/手持ち撮影/撮影日:2012年4月8日/撮影地:東京都西東京市 文理台公園

作例 曇りの日はハイキーで表現してみよう
休日があいにくの曇天ということはよくある話ですが、桜を撮る上では曇天は決して「あいにく」ではありません。むしろハイキー調の表現をするには最適なのです。光が十分に回る曇天は、思い切ってハイキーにすることで、しっとりとした乙女チックな表現が可能です。RAWで撮っておけば、あとからじっくり仕上げることもできるので、撮影時にはRAWを保存するようにしましょう。
カメラ:ソニー NEX-7/レンズ:100mm F2.8 Macro(マウントアダプター使用)/露出モード:絞り優先AE/絞り:F2.8/シャッタースピード:1/400秒/露出補正:+0.7EV/ISO感度:100/WB:オート/手持ち撮影/撮影日:2012年4月6日/撮影地:東京都西東京市 文理台公園

作例 風が吹いたら……、雨が降ったら……、公園へ急げ!
桜は満開だけがフォトジェニックなのではありません。花吹雪も花筏(はないかだ)も落花もすべて被写体になります。この写真は朝から雨が降っていたので、もしやと思って公園に出かけたのですが、予想どおり花びらが散って木の根元に美しい絵模様が描かれていました。強い風が吹いていたら、そして雨が降っていたら、公園へ急げ!
カメラ:ソニー NEX-7/レンズ:E 18-55mm F3.5-5.6 OSS(25mmで使用)/露出モード:絞り優先AE/絞り:F5.6/シャッタースピード:1/60秒/ISO感度:200/WB:オート/手持ち撮影/撮影日:2012年4月14日/撮影地:東京都西東京市 文理台公園