ふつうでは撮れない明暗差の大きいシーンも、ホラこのとおり!
ソニー α550「オートHDR」作例ギャラリー
ここでは、ソニー「α550」の「オートHDR」の効果を見るべく、「α550」と、「オートHDR」機能が搭載されていない「α380」を、左の写真のように2台のカメラを横に並べてセットできるアーム(通称:鉄ちゃんバー)を使用して同時撮影、縦位置や三脚が使用できない場合は極力画角や光の状況が変わらないように手早く連続して撮影した。比較撮影時は同じレンズを使用し、露出モードを絞り優先AEにして、絞り値、露出補正値、ホワイトバランス、クリエイティブスタイル、画質モードは同じ設定にしている。シャッタースピードは、「オートHDR」撮影時には露出の異なる2枚を撮ることになる(シャッタースピードの異なる2枚を撮る)ので、同じ数値にはならない。また、「α550」の「オートHDR」の強度について特に記述がないものに関しては「3.0EV」を使用している。
太陽が傾き始め船の右サイドに大きな影を落としている。さらに船の色が濃いため、より暗部が落ち込んで見える。こういうシーンでも「オートHDR」は的確に画像を合成。暗部を適度に引き上げながら空とのバランスを取り、見た目に優しい雰囲気の写真を撮ることができる。どちらの写真が好まれるかは一目瞭然といっていい。
窓からの光が差し込む室内にて。光源の明るさは強烈であり、α380で撮影したものは定石どおりアンダーに転んだ。しかし「オートHDR」をきかせて撮影をすると、暗部から中間調までが明るくなり、より肉眼に近いイメージとなる。また窓のディテールが飛んでいないため写真として自然な雰囲気になる。日中シンクロで撮影するよりナチュラルだ。
カーテン越しの光で鳥の置物を撮影した。通常こういうシーンでは露出補正により被写体を救済するが、それではカーテンのディテールは白く飛ぶ。しかし「オートHDR」を使うとカーテンの明るさを保ちつつ、まるでマジックのように被写体だけを明るくできる。同社のカメラに搭載されている「Dレンジオプティマイザー」より総合的な効き目は大きい。
白いチャペルと青い空は、太陽の向きが順光でなければきれいに撮ることは難しい。ここでも「オートHDR」は影を適切にコントロール。青空を調和させてきれいな写真に仕上げてくれた。掲載カットとは別にα380でも露出補正を試みたが、チャペルの明るさは適正になるものの、薄曇りの日のように青空の色が失われてしまった。
激しい逆光下でも「オートHDR」は的確に動作。α380ではシルエットになっている暗部が、まるで強力な大型ストロボを使用したかのように明るく描写されている。空の色と明るさも適切に保たれており、露出補正では得られない独特の効果が確認できる。明暗差の大きいシーンで使いたい機能だ。
晴天順光下で「オートHDR」を使用すると、凹凸の部分の影が弱まり、見た目に優しい写真になる。ビルのテラスやパラソルの下などに「オートHDR」の効果が確認できる。白いものをより白く表現するときにも「オートHDR」を使ってみたい。α380の露出演算も良好ではあるが、「オートHDR」での仕上がりはさらにその先を行っている。
「オートHDR」が得意とするシーンのひとつ。手前のカーテンや置物を適正な明るさに仕上げながら、同時に窓の外に広がる風景とのバランスが見事に取れている。α380で露出補正をプラス側にすると確実に外の景色はオーバーになる場面だが、「オートHDR」の威力で理想的な明るさにすることができた。この機能を使うと失敗写真の確率は劇的に減少する。
斜めから差す朝日で画面の右半分には大きな影ができている。通常こういうシーンではどちらかの階調をあきらめねばならないが、「オートHDR」を使うと双方の階調を両立させることができる。撮影位置が限定されてしまう建築物の撮影にも便利な機能だ。ややフラットに感じられる場合には「オートHDR」の効き目を弱くするといいだろう。
下町の雰囲気が残る公園から、大きな河川を挟んだ向こう側に見える高層マンションを撮影した。「α380」で撮影した画像は、マンションの影の部分や手前の芝生、塀などが少し暗く、かつ雲が大きく白飛びしている。「α550」で撮影した画像は、暗くなっていた部分も明確に描写し、雲の階調も豊富だ。また、青空も「α550」の方が深みがある。
神社のひしゃくを撮影した。ひしゃくが置いてある場所は屋根があったため、背景との明暗差が大きく、「α380」で撮影するとひしゃくは暗く、背景の屋根の部分はかなり明るく仕上がっている。それに対して「α550」で撮影した画像は、「α380」では確認しづらかったひしゃくのディテールがはっきり確認できる上に、背景の屋根も見た目に近い色に仕上がっている。
レストランの店内と、ガラスに映り込んだ風景を合わせて撮影。「α380」で撮影した画像は、店内のいすや影の部分が暗く少しディテールが確認しにくい印象で、空は明るめになっている。そこで「α550」では「オートHDR」を「2.0EV」にして撮影。いすの影の部分のディテールを確認できるようになり、空の青みは強い印象になった。このように、ガラスなどの映り込みの印象を調整する上でも「オートHDR」は活用できる。
オープンカフェでデザートを撮影した。α380で撮影した画像は、背景の明るさの影響で全体的に暗め。こういったケースでは、黒や黒に近い色は特に質感が出にくくなる。この作例の場合はチョコレートケーキやアイスティーの描写の差を見れば一目瞭然だ。また「オートHDR」により、水の入ったボトルやアイスティーは透明感のある仕上がりになった。
朝日の出る海岸を撮影。「α380」で撮影した画像は、太陽や太陽の光の水面に反射する部分が若干白飛びしており、手前の流木と砂浜も暗くなってしまっている。「α550」で撮影した画像は、太陽や水面の反射にほとんど白飛びは見られず、朝日の濃いオレンジ色も表現できている。砂浜や流木も明るく写っており、実際の見た目に近い印象に仕上がっている。
町を散策中に見つけたポスト。「α380」ではポストに露出を合わせると、明暗差が大きい背景の空が大きく白飛びしてしまったが、「α550」の「オートHDR」で撮影すると、ポストの明るさはそのままに空や雲をきれいに写すことができた。
駅名標をワイドで撮影。「α380」で撮影した画像は太陽と空の明るさに露出が引っ張られアンダーな画像になり、駅名標がほぼつぶれて見えなくなってしまった。「α550」で撮影した画像は、駅名標やホームが適正な明るさで撮影できている上に、HDRの効果で雲がダイナミックに表現されている。
日没直後の灯台を撮影した。「α380」で撮影した画像は全体が暗く、灯台の一部や塀の部分がシルエットになっているが日没後の雰囲気のある画像に仕上がり、「α550」で撮影した画像は、塀などのディテールも確認でき、明暗差が小さい明るめの雰囲気に仕上がった。陰影を生かしたいなら「オートHDR」を使用せず、全体的にしっかり明るい雰囲気で写し取りたいときは「オートHDR」を使用して撮影する、という使い分けもおもしろい。