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写真家・福田幸広のフォトブック「デパ帳」レビュー記事

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投稿日:2014/09/08

■写真に物語性を持たせることは上達にもつながる

私は1年の3分の2を山や海、川など野生動物のいるフィールドで過ごしている。常に3本程度のテーマを同時進行で撮影を進めている。私が日頃時間をかけて撮影しているテーマについては「写真集」としてまとめることが最終目標だ。写真集はその作家の顔。撮影対象についての考え方だけでなく、作家の撮影への取り組み方まで、本のなかで表現されてしまう。私が1年で撮影する量は膨大だが、写真集に組み込むための作品はそう多くは生まれない。だからこそ、また次の撮影へのエネルギーになるのだ。

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レンズ:
キヤノン EF300mm F2.8L IS II USM
焦点距離:
300.0 mm
フラッシュ:
Off
撮影モード:
Aperture-priority AE
シャッタースピード:
1/250秒
絞り数値:
F2.8
露光補正量:
+0.7EV
ISO感度:
1600
ホワイトバランス:
Daylight

私はひとつのテーマについて撮影を始める前に写真集の大きさ、ページ数、どんな物語性を持たせるかなどを決めることにしている。これは初めからイメージを強く持つためで、撮影を進めていく途中で変更があってもかまわない。むしろ撮影対象となる動物を深く知っていくと、おのずと本の形やページ数は変化していくものだ。スタート時から完成イメージを持つことが重要なのだ。

私が撮影のときにいつも心がけているのは、写真の物語性。決定的なシーンより、写真から何か語りかけてくるような作品を撮りたいと思っている。なので、1日の撮影を終え作品を見直すとき、写真セレクトは「物語性」の有無を重視する。そして、その作品が写真集を作ったときにどのページに使えるかを考える。

写真集を最終目標に自分の作品を見つめていくと、自分の撮影の癖が見えてくるはずだ。アップが多かったり、動きの少ないシーンばかりだったり、同一色の絵柄ばかりだったりと、写真集としてまとめていくうえでのマイナスポイントがはっきりしてくるはずだ。ブログなどに、その日撮影した一番のお気に入りを投稿している方は、そのアルバムを見てみるといい。今挙げたような偏りがないだろうか。マイナスポイントが見えてきたら、そこを補う部分の撮影をすればいい。実はこれが写真上達の早道でもある。

クローズアップが多い人は風景的に撮影することを心がける。積極的に躍動感のあるシーンを狙う。違った季節や異なる時間帯、別の背景を選ぶなど、画面に変化が出るように工夫する。今までやってこなかった撮影をどうやって成功させるかを考えていくと写真に幅が広がり、おのずと上達するというものだ。

■動物写真家が『デパ帳・フォトブック』制作にチャレンジ

私は5年ほど前から八ヶ岳山麓でニホンリスの撮影を続けている。もちろん「写真集」としてまとめるつもりだ。そこで今回『デパ帳・フォトブック』を使って写真集を作成し、完成イメージを膨らませてみた。

『デパ帳・フォトブック』には、その大きさが153x152mmの小型スクエアサイズから291×204mmのA4ワイド、また255×254mm大型スクエアサイズまで、豊富にそろっているので、テーマに合った写真集の形を選ぶことができる。写真集の内容によっては小型の本が似合うものもあるし、大型ハードカバーが似合うものもある。判型選びも写真集作りの楽しみのひとつだ。書店の写真集コーナーで気に入った本を見つけ、その形をまねてみるのもいいだろう。

写真集作成の第1ステップは「デパ帳」のWebサイトにアクセスすることから始まる。ここには「デパ帳」の特徴が書かれている。最大の特徴は印刷にはCanon製最新型フォトプリンター「ドリームラボ」が使われていること。一般的な写真集の印刷ではCMYKの4色機が使われる。4色機はPCのモニターなどで見たときの、鮮やかな緑色や水中の青色などはうまく再現できない。モニターではきれいに見えているのに、通常の印刷ではあきらめるしかないのが現実だ。しかし、この「ドリームラボ」はCMYK+PC(フォトシアン)、PM(フォトマゼンタ)、Gray(灰色)の計7色のインクを使って印刷する。後述するが、この効果は絶大だ。とにかく色再現性がとてもいい。

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カメラ:
キヤノン EOS 5D Mark III
焦点距離:
50.0 mm
フラッシュ:
Off
撮影モード:
Manual
シャッタースピード:
1/160秒
絞り数値:
F5.6
ISO感度:
1600
ホワイトバランス:
Manual

印刷紙は2種類用意されていて、マット系の「サテン」と半光沢の「ラスター」から選ぶことができる。判型、印刷機、紙種と「デパ帳」には写真集作りに十分な仕様がそろっている。

■作り方は簡単! 写真のセレクトが重要!

制作方法だが、「デパ帳」専用のソフトをダウンロードして行う。Webサイトの「つくりかた」から入って、手順に従えば簡単にダウンロードは終わってしまう。ソフトを起動したら「新規作成」の後、作りたい本のサイズ、紙質などを選んでスタート。編集画面が起動する。実際の編集作業は直感的にできるように作られているので、少し、いじればおおよその操作はできるようになる。

ここで、写真集作りで大切なポイントを述べておく。どんな本を作りたいか明確にすること。「思い出詰めこみブック」なのか「作品集」なのかを決める。前者なら今までに撮った好きな写真をいくらでも詰め込めばいい。昔からあるアルバムと同じ感覚だ。

私は「作品集」にこだわりたい。読者も同じ意見で、今まで撮りためたものを「作品集」としてまとめてみたい人は多いと思う。
まずは「作品集」のテーマを決め、それに沿った写真をあら選びすることから始めよう。アップ、引き、動き、色味などを考慮してバリエーション豊富にチョイスする。この中から実際に写真集に載せるものを決めていくわけだ。一番落ち入りやすいのが、“あれもこれも型”。写真集は限られたページ数でひとつの作品を作る作業だ。心を鬼にして写真を削っていくこと。動物写真でよくあるのが決定的なシーンばかりを選んでしまうこと。これでは本として成り立たない。載せたい写真でもテーマから外れていれば削除していく。100点前後まで絞り込みたい。

おおよそ写真選びができたら、「デパ帳」のイメージファイル管理で写真を取り込んでいく。コツとしてはある程度写真の並び順を前もって決めておき、ファイル番号を書き換えておくといい。季節や色ごとのファイル名でもいい。ひと工夫すれば編集作業がぐっと楽になる。

■レイアウトが写真集のイメージを左右する


ここからが神髄だが、写真集はレイアウト次第で大きくイメージが変わってしまう。慎重に進めたい。「デパ帳」には「レイアウト」ボタンがあり、さまざまなレイアウト見本がある。1見開きごとに、この中からレイアウトを選んでクリックすれば編集画面に反映される。写真集のレイアウトが初めての人でも見本を見ることで感覚的に組み立てることができるだろう。このとき、お気に入りの写真集などがあれば、レイアウトの見本にするのもいい。作品集のコツは1ページにたくさんの写真を載せたりせず、厳選したものだけを並べていくこと。何ページ分かのレイアウトができたら、プレビューボタンで確認する。実際にページをめくっているように見ることができるので、おかしいところや、違和感のあるページを発見できる。最終ページまで組んでしまう前に、何度もチェックすること。
ページ数を増やしたくなっても、操作はいたって簡単だ。現在の価格も左上にリアルタイムで表示される。

納得のいくレイアウトが最後までできたら、注文決済をして1週間ほどで手元に写真集が送られてくる。

■7色印刷の「デパ帳」は色がきれいで満足

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カメラ:
キヤノン EOS 7D
焦点距離:
300.0 mm
フラッシュ:
Off
撮影モード:
Manual
シャッタースピード:
1/250秒
絞り数値:
F5.6
ISO感度:
800
ホワイトバランス:
As Shot

<<「デパ帳・ギャラリー」で福田幸広の写真集を見る>>
※ページが表示されたら[full screen]をクリックしてご覧ください。
http://ganref.jp/common/monitor/nagatomo/depacyo/review.html#gallery

1週間後宅配便で到着した写真集を手に取っての第一印象は「色がきれい!」。どのページも発色に不満はまったくない。通常の印刷なら色校正という試し刷りを行うが、ほとんどの場合、モニターで調整した色味で印刷されてくることは少ない。しかし、「デパ帳」の印刷は一発でモニターの色をほぼ忠実に再現していた。CMYK印刷のときのような緑の葉や青空のくすみもない。7色印刷の「ドリームラボ」のおかげだ。

今回、私は255×254mmスクエア/ラージ・ハードカバーをチョイスした。小さなニホンリスが森の中にいる雰囲気を出すには大きな判型が合うと思ったからだ。リスのかわいい感じをアピールするために縦横比はスクエア型を選んだ。出来上がりを手に取って見て、このチョイスは正解だったと感じた。美しい印刷でリスのかわいらしさと、森の中にいる様子が見事に表現できたと思っている。

印刷紙は「サテン」「ラスター」両種で印刷した。マット系の「サテン」は十分な発色を持っているがコントラストをやや抑えた、しっとりとした仕上がりになっている。柔らかな色を使って、本を作りたい人は「サテン」がお勧め。半光沢の「ラスター」はまさに写真紙というべきで、影や暗部にしまりがあって立体感が感じられる。陰影のはっきりした写真が多いときや、ダイナミックな風景などにはうってつけだと思う。しかし、どちらを選んでも不満を感じることはないと思う。

■自分の新しい写真の世界を広げてみよう

「デパ帳」は早く誰かに見せたくなる写真集ができる。それはやはり美しい印刷にあると思う。撮りためた写真を並べて、あれやこれやと考えながらページを作っていくのはとても楽しい作業だ。私はこの作業がたまらなく好きだ。自分の写真がひとつの物語となっていくのを見るのは、味わったものにしかわからない。読者の皆さんもぜひ一度自分の撮った写真を見直し、自分の物語を作ってみてはいかがだろうか。きっと、新たな写真の世界が広がることだろう。

そして最後に、プロフェッショナルの写真家にとっても、「デパ帳」はひとつのツールとして利用できるということ。写真集企画を立てるとき、今まではPCの画面上で組み立て、PDF化して出版社に見せることが多かった。また、自宅のプリンターで出力し、本の形にしてみることもあった。しかし、『デパ帳・フォトブック』を使えばリアルな完成形を目にすることができる。写真集を作りたい写真家のプレゼンテーション用としてもうってつけのサービスだ。完成度が高いので、自分が作りたい本をリアルな形で出版社へ売り込むことができるのだ。アマチュアカメラマンだけでなく、プロカメラマンにも注目の逸品だと思う。

写真集を作ることは自分の作品を見つめなおす最大のチャンス。写真集は決定的なシーンの連続より、物語性が重要だ。『デパ帳・フォトブック』を使って、世界にひとつだけの物語を作ろう!

「デパ帳」
http://www.depacyo.com/depacyo/

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連動記事/写真家・佐々木啓太のフォトブック「デパ帳」レビュー記事
http://ganref.jp/m/st8_keita/reviews_and_diaries/diary/8549
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写真の感動をはっきりと伝える最高品質のフォトブック
注目製品レビュー~ナガトモ デパ帳編~
http://ganref.jp/common/monitor/nagatomo/depacyo/
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福田幸広

メインカメラ
EOS 5D Mark II

プロフィール

動物写真家です。 「山もいいけど!海もいい!」をモットーに好きな動物がい...

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