「命、つなぐもの達」
産卵のため故郷の川に遡上するカラフトマスを水中撮影しています。低く構えたカメラに目もくれず、必死に上流へと向かう群れの姿をきっちりとらえています。フィッシュアイレンズを使用して至近距離でねらった画面からは命をつなぐ魚の宿命が静かに伝わってきます。迫力ある画面作りとともに環境をリアルに再現したドキュメントという見方もできます。タイトルもすばらしく、優秀賞にふさわしい作品です。
「あいあいがさ」
なにげにたたずむ1本の木。その下に束の間を過ごすふたりの存在。作者はこの光景を相合い傘とイメージづけています。夕暮れ色と影の存在が物語のひとコマのようです。一見シルエット風の描写ですが、わずかに色を残してソフトな描写を加えています。また、煩雑な枝ぶりを活かしたシンプルな構図作りのうまさに感心しました。
「しぶき」
一羽のカモが水面をたたく瞬間をモノクロで表現した作品です。逆光でねらったことで、目にはとらえられないほどのしぶきをキャッチしています。こうしたシーンは、とっさに撮れるものではなく、日ごろから鳥の習性をよく観察して、シャッターチャンスを知っていることが大切です。さらにモノクロを選んだことも意図を端的に表すよい選択でした。
「日暈かすかに」
冬の美ヶ原で出合った空を美しくとらえました。太陽にかかった雲に現れた日暈(ひがさ)がいくぶん弱いことは残念ですが、それがなくてもこの光景は風景としての味わいを十分に醸し出している作品です。地上、木立、帯雲のそれぞれの存在感をケンカすることなくまとめた絵作りのうまさを評価しました。
「寸光」
険しい谷川岳、一の倉沢の急斜面に正面から向かい合い、差し込むスポット光をとらえました。辺りは秋の盛りが美しく、思わずその彩りに目が向いてしまうところを、あえてダークに落として、わずかな光を主役に選んでいます。荒々しさのなかに静けさが感じられる、男性的でとてもインパクトのある風景です。
「紫ウチワに群ル」
紫色のウチワに群がる鮮やかな魚たちをアクセントにダイバーをとらえています。このダイバーのポジションが最適で存在感が縦構図にとてもマッチして、そこからたち上る排気泡も活かされています。魚が逃げないように注意したとのことですが、その成果がみごとに発揮されています。
「湿原の朝」
湿原に漂う霧と景色とのコラボレーション。どちらを主役に表現するか迷いやすいシーンです。じつはこの場面、一時は霧で見えなかったそうですが、霧が晴れて、光が差し込むタイミングでチャンスをものにしています。水面と日陰の背景との割合もほどよく、水際の景観を印象的に見せた画面構成の選択がよかったです。
「蜻蛉」
夕日をバックにトンボをクローズアップでとらえています。シルエットによる構成ですが、背景の光の広がりを形よくとらえ、そこにトンボを配置した画面構成が情緒感を漂わせています。トンボを見れば羽はボロボロ、枝をつかむ足もおぼつかない様子です。写真からは作者の優しさが伝わります。
「それぞれのメロディ」
歪んだ影絵は地面に映った柵と人の影。作者はこのラインを五線譜に見立てたそうですが、そこに映る人影はバラバラ。仕上げはざらついた描写です。さまざまな要素をアンバランスに組み合わせた不思議な作品です。コントラストが高そうでネムい、あいまいなメリハリ感が個性的です。
「夜の帳が下りる頃」
暮れゆく薄暮の時間帯を古びた建物で見せています。この暮れなずむ気配は、3枚の露出違いのカットを重ねて広いダイナミックレンジを作り上げています。その効果によりストレートな1枚撮りでは再現されない不思議な色調を見せています。作者の意図を反映した個性的な作品です。
「水のカーテン」
スポーツ写真のなかでも珍しい水上スキーの作品です。カーブする際に舞い上がる波しぶきのカーテンを美しくとらえています。逆光を選び、高速シャッターを使用したことでスキーヤーがシルエットになり、水しぶきが美しく再現できています。右側をもう少し詰めればより緊張感が増しました。
「番傘の華」
番傘が干してあったのでしょうか。重なる傘をデザイン的に、そしてシャープにとらえています。作者には珍しい光景で、華やかな傘に見えたのかもしれませんが、私がイメージしたこの作品は、手前の内側が口で、後ろにあるふたつの傘の芯が目玉に見えます。だからデザイン的と評したのです。ユニークな構図です。
「ちんどん」
昭和中期までは盛んだったチンドン屋さん。いまではほとんど目にしなくなりました。映画のなかでしか見ることのない懐かしい光景です。この一行はアマチュアによるパフォーマンスだそうですが、色彩を劣化させたようなレトロな描写が印象的で、この絵柄にはよくマッチしています。
「それぞれの夕刻」
夕暮れの忙しい時間帯に見る人の影。家路につく人、夕日を見守る人、はしゃぐ子どもたち。わずか数メートルの範囲ですが、さまざまな人間模様を見ることができます。背景に目を移せば落陽があり、この場面を選んだ作者の視点はなかなかのものです。タイトルも決まっています。
「ひだまりの中で」
「ひだまりの中で」。この微妙な空気感が色浅めの色調にマッチして雰囲気がよく現れています。また、アップねらいの多いカワセミを、引きぎみの構図を選んで撮影したことで自然な印象を醸し出しています。小さくとらえられたカワセミですが、目にはキャッチライトが入り、ピントもシャープで完成度の高い作品です。
「天空に舞う」
左右から伸びる木々たちを埋め尽くすように紅葉が生い茂っています。その色彩を天空に見立てたのでしょう。まさに紅葉のピークといった感じです。アングルもさることながら、シルエット化した幹の配列がとてもよく、上に伸びていく勢いを感じます。絞りはF8ですが、もう1段絞れば全体がより引き締まったでしょう。
「またあした」
美しい夕景を背景に遊んでいる子どもがワンポイントになっています。この子どもの足を洗うしぐさが波紋を起こし、シャッターを切るきっかけになったと作者はコメントしていました。風景作品としては全体もよく、子どもを点景にしたこともよい判断だったと思います。ただ、色彩に冴(さ)えがなかったことが残念です。
「紅く染まる海」
渚から眺める落陽です。太陽の位置と浜辺を対比したベーシックな構図のなかで、枯木や遠くの建物の存在を的確に活用しています。つい太陽を主に構成しがちですが、ひとつひとつの素材にも気を配り構図を決めています。そのうえで色に染まる濃厚な雰囲気を展開している完成度の高い作品です。
「花一輪」
一輪のコスモスですが、色の階調がたいへんなめらかで美しい描写に驚きました。花の色濃度と背景の色使いが上手に使い分けられており、やさしさのなかにしっかりとした花の存在感を見せています。作者は、はかなさとコメントされていましたが、華やいだイメージを感じます。
「H D」
ハーレーダビッドソンのロゴ入りのデニムジャケットを羽織った、金髪の女性の後ろ姿が粋です。彼女はこのバイクショーのモデルだそうですが、右に入れたバックミラーの存在がオーナーイメージをかき立てます。レンズと絞りの選択が最適で無駄なく、ほどよい構図を構築しています。
「月光の尾瀬ケ原」
月夜で撮影された尾瀬ヶ原です。人がねらわない着眼点がとてもよく、背景に靄(もや)を入れながら安定した構図を見せています。しかし、月夜の露出としては気持ちオーバーぎみです。青みをプラスすることで月夜のイメージが高まります。この微妙なニュアンスはWBでも調整できます。
「窓辺にて」
横顔がステキな女性が、窓辺にたたずんでいます。外を眺める目線はなにを思うのでしょう。そんな物語性を感じるポートレートです。光線のとらえ方や、抱え込む腕のポーズは、この場面に最適です。ここまで雰囲気よくとらえているので、頭の上の空間が中途半端に見えてしまい気になります。
「光りの中で」
キラキラ輝くあふれんばかりの光のなかでコスモスが透けています。縦構図を選択したことで光の存在をアピールできました。そして花数を一輪に制約したこと、またそれをこぢんまりと添えたことで全体のバランスが整いました。ただし、画面右の光がオーバー露出で白飛びした点が悔やまれます。
「海へ……」
砂丘を横切り海へ向かう母子。なんでもない光景ですが、じつは内容の深い作品にまとめられています。まず砂に残るタイヤ痕と足跡、そしてワンポイントの岩と草。さらには低いポジションから空に抜いたアングル。仕上げは彩度を少し落とした色調でしょうか、みごとです。
「黄金に輝く秋の夕暮れ」
カラーバランスをくずした夕暮れは、色の主張が顕著で、ぱっと目に止まる個性的な作品です。作者はこうした描写が得意のようで、すでに自分のものとして習得しています。ところが、ここには農民の存在があります。この人の気配がもう少し主張できたならば、より完成度が高まったことでしょう。
「光のシャワー」
枝先に透けるモミジは紅葉か新緑か。色のない表現は見るものの想像力をかき立てます。モノクロにすることで季節はどちらでもよくなり、降り注ぐ光のシャワーが主役に躍り出ました。無駄のない構図に的確な表現効果は作者の感性の豊かさを表しています。
「アフターバーナー」
F-15戦闘機を背後からとらえた迫力満点の作品です。オレンジ色に燃え上がるエンジンと、それによりにじむ機影も印象的です。機体をねじらせて上昇していく姿を縦位置でおさえた、とてもスマートで格好のいい構図です。しかし機体の全容をとらえたことで絵柄としてはおとなしくなりました。
「野生」
長い髪で体を包み、のどから胸にかけてのラインを見せて、ローキー調に仕上げられたポートレート。あごを突き上げるようなポーズを低いポジションからねらっています。このアングルにより、モデルが放つ色気のあるしぐさを美しくも妖しく表現しています。ただ、下部の指は中途半端なので、もう少し見せたかったです。
「心に浸みる泣声」
「おぎゃーっ」と鳴き声が聞こえてくるようなポートレートです。はじめてのお子さんだそうですが、セピア調の暖色に包まれたこの作品は、父親として元気な泣き声を写真で表現しようとしたあふれんばかりの愛が写っています。シンプルでやわらかい描写が印象的です。
「雫の中の薔薇が…!!」
一枚の葉から滴がこぼれ落ちた一瞬をとらえた作品です。その滴にはバックにぼけるバラの花が映り込んでいます。5分おきぐらいに落ちる滴だそうですが、これはわかっていても簡単に撮れる場面ではありません。タイミングを見ながらシャッターを切るとなれば、これは作者の粘り勝ちです。
「アイスキャンディー」
大人たちの雑踏のなかでアイスを手に持つ子どもに目を止めています。ふたりは姉弟でしょうか。カメラに気づいていないので、とても自然で素直な表情です。近くには両親がおられるのでしょうが、その気配を感じない構成がうまく、子どもに集中できます。ただし画面右のカメラマンはカットしたほうがよかったです。
「Run aground ship」
浅瀬に打ち上げられた難破船。前景となる浜辺を大きく入れて周囲の状況までとらえています。露出はアンダーぎみで空は鉛色。こうした状況を空間描写として活かした構図作りがうまく、難破船の悲壮感を漂わせています。これで高波が襲うような荒れた天候ならばすごい作品になったでしょう。
「チャンスタイム」
荒れた海と釣り人、そして背景には光が差しています。低いポジションからねらった光景は釣り人の印象も強く、風景ともスナップともつかぬあいまいな絵柄です。その不思議な距離感を残しながら、上手に画面をまとめました。なんとも不思議な作品です。
「線路の向こうは……」
生い茂る森を抜けるように線路が延びています。辺りには秋色が見え隠れして、この先にはもっとすばらしい紅葉があるのでは、と思わず誘惑されそうです。しかし線路脇には「私有地立ち入り禁止」の看板が立てられています。この存在が作品のポイントです。映画『スタンド・バイ・ミー』のワンシーンを思い出しました。
「夕焼けの詩」
沈みゆく太陽にコスモスの花を重ねています。花のガクには足の長いクモが止まっています。虫の存在と花影、そして夕暮れの3つの要素を詩としてまとめています。まぶしい太陽を花びらで隠してリングに見せたひと工夫が、花やクモの存在を引き立たせました。
「紅葉づくし」
幹に宿る、燃えるようなツタウルシが色鮮やかです。広角で縦構図を選んだことで奥行きのある立体感が広がりました。また、画面下には一葉の緑があり、よいアクセントとなっています。ただ、上部左にある空間が目立ちます。わずかに撮影位置を調整することでカバーできたと思うだけに残念です。
「本日も猫日より」
ノラネコが日を浴びて、うつろな表情をしています。とくに目が四角になってマンガに出てくるネコのようです。魚眼レンズを使用した至近距離からの撮影ですが、ノラネコにここまで近づいて撮影することは簡単なようで、なかなかむずかしいものです。わずかな表情の変化をキャッチして、すかさずシャッターを切った判断がよかったです。
「秋色一葉」
一枚の葉を色で見せて季節を描くことはとてもむずかしいことです。それをさりげなく構図した作者のセンスはみごとです。とくに葉の色と形の存在感は、フォトジェニックです。それだけに間延びしたストレートな枝が気になります。ここでは少し短くして、背景を広めに見せてもよかったのではないでしょうか。
「ロッククライミング」
急勾配を子ザルが登っています。2匹は兄弟なのでしょうか。上が兄とすれば下が弟。兄は弟を心配そうに見守りながら励ましているようにも見えてきます。互いを助け合いながら登る姿が印象的です。縦構図の扱いと、サルの位置関係を上手にまとめ、とくに下に間をもたせたのは正解でした。
「希望」
左から右へと傾くコスモス。背景には同じコスモスのリングぼけがイメージを高めています。自作フィルターによるこのリングぼけはよい効果を見せていますが、いくぶんコントラストが落ちてしまったようです。花とぼけの位置関係は、バランス・配分ともによく計算されています。
「Happy Photo Life」
毎回、友人のポートレートを送ってくれるさちさんですが、みんな美人ばかりのせいか、作品のイメージが少しモデルの雰囲気に左右されすぎる部分もあり(もちろん、うまく個性を引き出しているということもいえますが)、次なる展開を期待していました。今回のこの作品のモデルも、とてもおしゃれでかわいい女性ですが、首に巻くマフラーと左腕の時計が背景とした黄葉の色みと重なって、非常にやわらかい印象を受けました。もし友人にスタイリストまでいたとしたら脱帽です。なにより写されるモデルと写しているさちさんのイメージが重なって、活き活きと写真を撮るさちさんの「ちょっと上目遣いにして!」と友人にポーズをつけている声が聞こえてきそうです。見ているこちらも温かい気持ちになりました。これからも幸せなフォトライフを送ってくださいね。
「まったり」
若い女性が縁側に腰掛けて素足を大きな庭石に置き、「まったり」しています。この家の娘さんに仕立てられたモデルが、眼を閉じてまどろむような表情を浮かべるこの作品は、まるで雑誌の1ページか、テレビCMのワンシーンを見ているようです。その表情や雰囲気に少し「作られた感」はありますが、家のなかを少し見せるような絶妙なカメラアングル、窓に映り込んだ庭の木々などの見せ方に、細かな配慮が冴(さ)えています。それにしても風情のある家だなあと思っていたら、吉島家という岐阜県高山市にある国指定の重要文化財となっている住宅だそうで、納得でした。
「威厳」
題名どおり、暗闇のなかで浮かび上がるガウルの、威厳に満ちた顔のポートレートです。作者は、横浜市立金沢動物園で数頭いるガウルのなかで、ひときわ大きく、そして形のいい色鮮やかな角をもった一頭を見つけ出しました。露出を抑えぎみにしたことで黒が締まり、まるでレンブラントの描く人物像を思わせるような、絶妙のライティングが際立つ作品となりました。プリントの仕上げもすばらしく、黒の締め方などモノクロ作品でのプリント経験を感じさせるものがあります。作品の質的には申し分ないのですが、すでに同様の表現をねらった作品が、このコンテストで掲載されている点が惜しかったといえるでしょう。
「翠渓」
毎回、渓谷を題材とした作品は10点近く寄せられますが、今回は石井さんの作品が、いちばん際立っていました。私もときどき撮影に行く山梨県の板敷渓谷ですが、なんといっても構図的なバランスがみごとです。渓谷の撮影では定番ともいえるスローシャッターで上部といちばん手前の水の流れを美しく表現するだけでなく、途中の静かな流れの部分に深い木々の緑を映すことで、色彩的なポイントを作り出しました。このフォトコンテストでは、数少ない正統派のネイチャー派としてこれからも期待しています。
「Lonely」
一般的なモデルを使ったポートレートとひと味もふた味も違った作品作りに取り組むアズマさん。毎回、次はどんな作品を見せてくれるか楽しみな作家のひとりです。そのアズマさんが大切にしていることは、自分と息が合ったモデル探しをすることと、そのモデルと仲よく、長く取り組んでいける関係を作ることだそうです。この作品はあるひとりのモデルと取り組んでいるシリーズで、成功の象徴である城(部屋)と、その半面、失ったなにかをモデルの寂しげな表情からくみ取ろうとしています。その結果がなんなのか、興味津々といったところですが、この作品の強さはもっと単純で、ひとりの女性の内面=不安に迫った点にあると思います。
「仲良し三人組」
川越祭でのスナップです。前号での、望遠レンズによる祭り群像から一転、今回は小学校6年生の仲よし3人組に広角レンズで迫りました。こちらを見据えてポーズをとる男の子を中心に、着物姿の女の子がもうひとりの男の子におどけてみせるしぐさがなんともかわいい感じで描写されています。作者は、3人にこの年代特有の淡い思いを感じとり、「10年後にまた会いたい」と書き記していますが、この子たちがどんな大人になっているのかは、いまの大人の責任でもありますので、お互いふるまいに気をつけたいものですね。
「奥穂高岳&ジャンダルム」
一般的なカメラ雑誌の月例フォトコンテストと同様、選者が風景、なかでも山岳写真に精通しているため風景は避けられているのか、もしくはデジタルカメラマガジンの内容とその対象のせいか、このフォトコンテストはジャンルとしてはスナップの応募作品が多いです。とくに、風景のなかでも山の写真はあまり送られてきません。金森さんは、そのなかで数少ない風景写真の投稿者でしたが、この作品は久しぶりに見る本格的な山岳写真で、山の稜線の高さ、光を受けて浮かぶ面積の取り分など構図のよさが光ります。積乱雲が立ち昇るなか、残照に浮かぶ穂高岳という岩山に神々しさを感じるのは私だけではなく、山岳信仰のルーツを垣間見るようです。
「墓場」
落ちたツバキの花が、まるでその役割を終えた廃車に捧げられた献花のように見えて、この題名を思いついたのでしょう。なかなかシュールな作品です。作者はクルマで走っていて偶然見つけた光景だそうですが、テクニックがどうというより、これを写真的な題材と考えて撮影したことにある種のセンスを感じます。いつも作者の作品は女子高生から海外スナップまでと守備範囲が広くて驚かされていますが、この作品のように、さらにその奥まで掘り起こせるといっそう力強さが出てくると思います。
「ハイタッチ」
毎号、地元ならではのカメラアイで、舞妓さんのいる花街シリーズで楽しませてくれている福井さん。気づいてみれば年間ポイントの最上位に位置しています。今回もさまざまな舞妓さんのいる花街風景が送られてきましたが、いままでと少し違った切り口のこの作品を選びました。コメントによると、前日に店出しを果たした同じ屋形のふたりだそうで、お店の前でひとりの舞妓さんがお礼のあいさつを済ませて出てきたところで、もうひとりの舞妓さんにバトンタッチしているそうです。ただし、題名のハイタッチとは少し意味合いが違うような気もします。
「見学」
水族館に見学にやってきた園児たちが、クラゲに興味津々といった感じで水槽を見つめています。水槽が薄暗い室内に浮き上がるような絶妙のライティングで照らし出され、そのなかにはたくさんのクラゲが水中に浮かんでいます。よく見るとその水槽の強化ガラスに数人の園児が大きく歪んで映っていて、なかなかユーモラスな感じがします。左後ろの壁にかけられている地球の写真も雰囲気作りに役立っています。残念なのは、園児の中心となるべき水槽に近い男の子がやや右下を向いてしまったことでしょうか。
「まぁ、いいや」
ベストショットを求めて、15歳の吉谷さんが訪れた旭山動物園でのひとコマ。クモザルがカピバラの上に乗り、あくびをしながらくつろいでいるユニークな光景を見つけて思わずパチリ。登場動物の対比がおもしろく、いくら見ていても飽きない2ショットです。カメラの進歩も手伝って、最近、学生では女性のほうが写真をやる人が多く、どこの学校の写真部も女性のほうが増えているとか。メカニカルなカメラが男性のひそかな遊びだった時代は、急速に影を潜めています。誰でもカメラまかせでシャッターボタンを押せばそれなりに写る時代、それだけに撮影者のセンスが問われそうです。
「秋トンボ」
毎回、前田さんはマクロで撮影した花の作品で、特徴のある切り口によって力を発揮していますが、今回はサルビアレウカンサの花に止まっていたムギワラトンボを送ってくれました。本人いわく、「秋の雰囲気を醸し出すように」とハイキー調のやわらかいイメージに仕上げて、プリント用紙もそれに合うマット紙を使用しています。レタッチでぼかしツールを使ってイメージを完成させたとありますが、私的にはやわらかいイメージは秋の雰囲気というより、春のような気がします。しかし、作品の完成度は高いものがあります。
「ウーン、重い!!」
南栃市城端町の善徳寺で行われる、盤もち大会のちびっ子の部でのひとコマ。俵を担ぎ上げる少年の重たそうな感じが、その表情からよく出ていて、思わず見ているほうも力が入ります。情景描写がうまく、後ろで出番を待つ少年たちの不安そうな表情もよくとらえています。しかし、画面右側で少年を支える関係者とおぼしき男性の入り方が中途半端なので、もう少しレンズを右に振ったほうがよかったと思います。または少年の全身を入れなくても、ひざから上だけのアップでも十分に迫力が伝わったでしょう。
「出会い」
公園で1羽の白鳥を見守るひとりの若者。とうそんさんは、たまたま見かけたこの出合いをそのまま素直に写し止めました。とうそんさんにとってこれもひとつの出合いといえます。考えれば人生はさまざまな出合いの連続で、カメラを持つということは、その出合いを写し止める、いわば証人ともいえるかもしれません。この作品は雰囲気が命の作品ですが、おそらく手ぶれが原因でピントがやや甘く、すでにA4サイズとしては厳しいレベルです。今後は、ぶれない写真の撮り方を意識されるといいでしょう。
「神秘」
この作品を見て、すぐになにを撮ったのかがわかる方は少ないと思います。じつはハスの種なのですね。ハスの花が散って、花の中心部分は徐々に大きくなり、そこに種ができてきます。種の周りには水がたまっているのですが、まるでゼリーのような質感で種を守っているかのように見えます。クローズアップの世界ではさまざまな不思議なものが見えてきますが、撮影者の洞察力や視点が試されて、シビアな感性が要求されます。その点でも優れていると思いますし、周辺の焼き込み効果によって立体感のある描写になっていることも作品の完成度を高めています。
「一休み」
ねこじゃらしと大きなクモ、そして白い背景に影の落とされたシンプルな光景は、どこか現実離れしているように見えます。おそらく、クモが巣を作るような条件ではないというのに造形的な要素が加わり、写真としてもおもしろさが出たのだと思います。日常的に見慣れないものを発見したときの素朴な驚きが、外連味のない構成で表現されており、前回に引き続き、造形感覚の鋭い作品になりました。
「朝の風景」
コットンペーパーに写し出された素粒子調の街の風景は、日常と非日常の狭間を浮遊するかのような幻想的な雰囲気です。夜は人通りの多い飲み屋街のようですが、雨上がりの早朝に人気はなく、カラスだけがどんよりとした空を物欲しげに羽ばたいています。人間の喜怒哀楽がこの時間だけ潜んだような、不思議な空間を作り出しています。
「大地の息吹」
生々しいほどの岩の質感と噴煙は、大地の鼓動を感ずるような力強さがあります。その存在感は的確な画像処理によるものであり、とくに、周囲の焼き込みを大胆に行うことで生み出されています。このように、作品に対する思いやイメージをしっかりもつことで後処理を的確に行うことができるのです。
「歌謡ショー」
こいのぼりの季節、屋外でのイベントのようですが、女性が祝儀袋を片手に熱唱している姿がたくましい。おそらく広場には演歌が響き渡っているのでしょう。背景のこいのぼりの配置や、集う人々などの情景を巧みに写し込んだみごとなスナップショットです。このように広角側で撮影することで、背景を活かした構成ができます。また、セピア調の色調もレトロな雰囲気をかもし出していますね。
「電柱」
都市近郊の撮影だと思いきや、広島県の尾道で撮られたとのこと。それにしても、電話線が所狭しと電柱に群がっているように見えます。もう少し整然とならないのかと思うほどですが、その背景にはこれまた所狭しと洗濯物が干されています。これが日常の生活というものなのかもしれないと思わせるワンショットです。
「港の野良猫」
土管をのぞき込んでいるのかと思ったのですが、タコ壺なのだそうです。なにやらそそられる匂いがしみこんでいるのでしょう。人が近づいているのに気づかず、必死にのぞき込んでいる姿がかわいらしいですね。とくに後ろ足をおもいっきり踏ん張っている様子がじつにけなげです。斜光線であったため、ネコの毛並みをふくよかに再現できたのだろうと思います。
「母」
小学校の運動会を見つめる婦人の後ろ姿には品があり、優しさにあふれた穏やかな雰囲気です。子どもたちの演技をじっと見つめる視線が後ろ姿からも伝わってきます。できればもう少し絞り込んで、子どもたちの輪郭がある程度わかるぐらいにしたいところです。
「隆々たる岩壁」
質感描写に優れた作品で、飛沫(しぶき)で岩が濡れたため、このような質感となったのでしょう。岩と滝のリアルな姿は、画面から飛び出してくるような立体感です。構成的にはもう少し滝の流れを見たいところなので、縦位置構成のほうがよかったと思います。
「出現」
まるで恐竜が口を開けているかのような姿に見えますね。よく見ると口には歯があるようです。また、前景の葉をなめながら奥行きをもたせた構成も恐竜の存在感を引き出しています。空を焼き込んで調子を出すと、さらに迫力が出てくるでしょう。
「リフレッシュ」
高いところが苦手な私にとっては、くらっときそうな光景ですが、高原のすがすがしさを感じる作品です。裸足になった少女は、遠くをゆったりとした気分で眺めているのでしょう。そこに緊張感はなく、ゆとりすら感じます。背景のススキ野の形もおもしろく、よい構成だと思いますが、画面上部の山並みをもう少し入れてもよいでしょう。
「きみのさがす音」
「卒業演奏に向けての練習中」の写真ということですが、どこか不安そうな気持ちが表情に表れており、心理描写に優れています。ピントが楽器に合っていますが、目に合わせたいところです。
「仲良し4人組」
子どもたちのおどけた様子と楽しげな表情を、バランスのとれた構成で見せてくれました。とくに広角レンズで俯瞰(ふかん)からのアングルというアイディアもおもしろくて斬新です。四方さんと子どもたちのコミュニケーションが生み出した作品です。ね。
「十本煙突」
使われなくなった登り窯の煙突だそうですが、歴史の跡をたどるようなダークトーンの描写が写真に深みを与えています。ただし、もう少し暗部のコントラストを上げて階調を出したいところです。
「そこに海があるから」
サーフィンに限らずスポーツ写真は、いつの時代もつねに撮られているので平凡になりがちです。スポーツ新聞がねらう決定的瞬間というクライマックスの写真は、よほど被写体に魅力がなければ、ただの説明写真になってしまいます。福村さんはスポーツとしてのサーフィンの魅力を表現しようとするより、サーフィンをする、それ以前、以後のサーファーのメランコリーな気分をねらっています。まず意表をついたビーチサンダルのアップ。この写真が全体の構成を楽しいものにして、見る側の想像力を喚起しています。3点とも望遠で一切の無駄を排除して、光と空気感と波だけで表現しています。色調も2枚目のイエローと3枚目のブルーという補色関係の構成。かなりのテクニシャンです。望遠レンズの世界は、こんなふうに主題を際立たせ、空気感を表現するのに向いています。
「夏の終わりに」
夏も終わり。少し乾燥した空気、草の根元からスズムシの鳴き声が聞こえている。夏の終わりというよりすっかり秋の気分。そんな説明を読むと、情緒的な風景を想像します。ところが光を切り詰め、ローキー調のモノトーンの写真は言葉とは裏腹にぎらぎらした雰囲気に仕上がっています。実際体験したことと、表現する写真の世界が違うといった落差は、じつは写真のおもしろさともいえるでしょう。雲を見ればどれもが秋の雲です。3枚目の写真だけ空の色調が違いますが、組写真としては3枚とも色を統一したほうがよいでしょう。
「祝福」
たまたま泊まったホテルで結婚式。それを見た娘さんが「お嫁さんキレイ」と叫んだそうです。娘をもつ父親はいつか自分の娘が嫁ぐ日を想像するのでしょう。それを遠くから、まるで盗み撮りするようにねらっています。ふつうに撮ったら平凡になっていたでしょう。結婚式の風景も、写真になるとありふれたものになりがちです。モノクロームにしたことで、遠い世界のできごとのようになりました。ぼけた娘さんの後ろ姿が、スズキさんの複雑な気持ちをあらわしています。
「フロリダの湖」
フロリダの湖って? アメリカですか? 2枚組になっていますが、カメの写真1枚でも十分に魅力的です。理由は、ハスのつぼみ? がまるでカッパのように見えるからです。カメに向かって声をかけているのか、写真を撮っているようにも見えます。もし、2枚で組むなら1枚目の写真にも、ほんの少しでいいのでカメや、小動物や昆虫が写っていれば魅力を増したでしょう。もしくは、もう1枚同じような雰囲気のシンプルな写真を撮り、3枚で組むやり方もあります。
「小宇宙創造」
クモの巣を、小宇宙に見たてる発想がおもしろい。このテーマで撮り続けてみてください。大きなテーマなので、さまざまな場所に存在するクモの巣を撮るとよいでしょう。そうすることで、光や自然現象の微妙なありようが理解でき、いつかきっと想像以上のシチュエーションに出合うことがあるでしょう。
「灯籠流し」
金沢市百万石祭りの灯籠(とうろう)流しの風景だそうです。色調も光もとてもよく気持ちのよい写真になっています。1枚目、3枚目、4枚目の灯籠の大きさや、4枚ともちょっと高めのアングルが似ていて、単調に見えてしまいます。もっとぐっと寄ったり、アングルを下げたりしてリズム感のある構成にするとさらに魅力が増すでしょう。
「雨の鉄工所」
雨の日の鉄工所は、やわらかな光でさび色が落ち着いた色に発色しています。こういう被写体は、肉眼で見るよりレンズを通して見るほうがずっと魅力的になります。日が差していたら光と影が強調されて、鉄自体のもつ微妙な色彩や、質感がかえって失せてしまいます。もっとフレーミングに工夫があるとさらに魅力的になります。
「暗雲に向かって」
写真表現を追求する者にとって、決定的瞬間をつかむことがいちばんの醍醐味です。この写真は、その決定的瞬間をうまくつかみ取ったみごとな傑作です。毎月応募作品を前にして、優秀賞はなかなかスムーズに決まらないものですが、この作品をひと目見た瞬間、「今月の優秀賞はこれだ!!」と強い衝撃を受けました。地上の世界での平穏な営みを過ぎ、暗雲の未来に向かって飛び立つ飛行機。明暗がくっきりと分かれたふたつの世界を独自の視点で切り取りました。いままで見たことのない不思議な力強さがあり、景気後退や地球温暖化など不安がいっぱいの現代を象徴しているかのようです。チャンスをつかむために長年通い続けたという陰の努力が実を結びました。
「体育の日」
秋晴れの澄んだ青い空に白い雲が浮かび、すがすがしくさわやかな作品です。今日は秋の運動会。開会式では、全校生徒がそろってラジオ体操をしています。全員がそろって背筋を伸ばし、後ろにそる人々の姿がまことにユーモラスです。リズミカルに並んだそのポーズがこっけいで、存在そのものが画面でしっかり活かされ、入賞の決め手となりました。画角を考えたレンズ選びや、適正な露出で光と影を活かしてベストな撮影ポジションで撮影できたことなど、多くの要素が加わって成功へと導いてくれました。ラジオ体操のメロディがこちらまで聞こえてくるようです。
「収穫」
午後の陽光を受けて、棚田には実をつけてほんのり色づいた稲穂が垂れ下がっています。畦道にはお彼岸の風物詩である曼珠沙華(マンジュシャゲ)が並び、日本の原風景そのものです。逆光で稲の葉に夕陽が輝き、満開のマンジュシャゲが実った稲穂に彩りを添えています。そろそろ収穫の時期を迎えるようです。今秋はきっと大豊作で、収穫の喜びが伝わってくるようです。畦道を流れるように構成した安定した構図と、絞り込んだ適切な露出で、遠景の山々の描写までたいへんシャープに表現できました。添景となった作業をするご夫婦の存在も効果的です。
「パフォーマンス!」
世界最速ロードレースMotoGP。ライダーは世界屈指のスペシャリストたちです。さらにそのマシンは、レースを戦うためだけに誕生したテクノロジーを結集した究極の逸品。ファンサービスでウィリーをしているという選手、かっこいいですね! ナイスシャッターチャンスです。引き締まった露出が重みを出しており、背景も日陰であったので、ライダーとマシンに逆光線が当たって輝いています。ただし、トリミングをされたそうですが、バランスがいまひとつです。画面左と下をカットして、ライダーが向いているほうを広く空けたほうがバランスがよいでしょう。構図はバランスです。優秀賞を決める最終選考まで残ったすばらしい作品ですが、構図のバランスが悪かったため入選に留まりました。
「愛」
2頭のキリンが戯れる様子を、逆光がそのアウトラインを鮮やかにして存在をくっきりと引き立てています。「愛」というタイトルからラブリーなキリンのカップルかと思いましたが、顔や体の大きさなどから判断するとどうもキリンの母子のようです。どちらにしてもやさしく体をなめる姿と、気持ちがいいのか背筋を伸ばして「もっともっと」と甘え、背伸びをして喜びを表現する姿が、「ん~いい気持ち」といっているようで、愛らしい作品となりました。母キリンの愛情あふれる想いと、子キリンの安心しきった動作と表情をよくとらえています。
「飛ぶが如く」
池に浮かぶスイレンを、まるで鳥が羽を広げていまにも飛び立つようなイメージで仕上げた妖艶な作品です。水面のゆるやかな波と画面を傾けて決めた構図など、なかなか工夫を凝らして作画されています。作者の意図するイメージが心地よく伝わってきます。水面に花びらが一枚落ち、ちょこんと膨らんだその先端がまるで鳥のくちばしのように見えており、空間を活かした構図がセンス抜群です。シンメトリーに写り込んだ花びらが、勢いよく羽ばたいているようで、臨場感あふれる作品となりました。
「雲海の夕日」
朝日が沸き立つ雲海に注ぎ、光の層が美しいグラデーションとなっています。絶好のシャッターチャンスをとらえました。暖かい色調でまとめた心休まるステキな作品です。手前の山を大きくシルエットにして遠くに山々を並べ、見晴らしがよい広々とした画面でまとめたことで、心地よいリズムとインパクトがある画面になりました。雲海を強調するために空の明るい部分を大胆にカットしてみるなど、フレーミングに変化を与えた撮影を試みることもよいでしょう。露出を加減して光のグラデーションを強調することもおもしろいでしょうし、この場所にはまだまだいろいろな撮り方がありそうです。
「花蝶絵図」
背高泡立草(セイタカアワダチソウ)の周りを飛びまわるモンシロチョウを、いいポーズで写しています。左右を分けた構成のバランスがよかったので、画面中央にチョウを配置しても違和感なくおさまりました。絞りを開いてシャッタースピードを速くして、ISO 800でしっかり動きを止めて撮影していますが、一方でシャッタースピードをここまで速くする必要があったかは少し疑問です。この場合、1/500秒程度のシャッタースピードが得られれば十分手持ち撮影が可能でしょう。被写体ぶれを恐れるあまり、感度をやや上げすぎているように思います。高感度にすると画質が落ちることを忘れないようにしましょう。
「うず潮」
鳴門のうず潮がみごとですね。これは船上からの撮影だそうですが、瀬戸大橋、空と雲、海とうず潮をバランスのよい配置でまとめることができています。お天気もよかったので、青空がさえてさわやかな色となりました。橋などの建造物は、順光で直射日光が当たる角度からねらうほうがインパクトのあるものとなります。海の変化をよく観察して、動きのあるうず潮の激流をとらえることに成功しました。
「追跡」
カモメが太陽の強い光のなかにタイミングよく入り、光とシルエットが印象的な作品となりました。露出をアンダーに決めたことで、四方に広がる光彩をより際立たせることができました。光のなかに2羽のカモメが入っていることがポイントとなっています。また、カモメが画面全体にうまく散らばってくれたので、躍動感のある効果を得ることができました。写真は光をいかにうまく取り入れるかが大切です。
「叫ぶ雲」
空にオーラを放つような、幻想的で躍動感あふれる一枚です。露出の決め方、光のとらえ方がすばらしいです。太陽を雲間に隠したことにより、放射状に広がる状況がより強烈なものになりました。ただしフレーミングはあいまいです。広さや大きさを出すには、画面下方に建物など風景を入れるべきだとは思うのですが、なぜか画面が曲がっています。カメラを左右に回すなど角度を少し変えてまっすぐにして、安定感を出したほうがよいと思います。シャッターを切る前に画面の四隅をよく観察しましょう。フレーミングは、写真を活かすためによく考えてほしい要素のひとつです。
「凧、凧、上がれ♪」
凧糸を片手に草原を駆け抜ける女の子。夕暮れのやわらかな光のなか、ふんわりと白い凧糸のラインが、走る少女の風を受けて舞っているようです。風になびく長い髪の毛、ゆったりとした緑のワンピース。全体的に淡いトーンでまとめられ、空気感と情景描写に優れています。斜光線が芝生に当たってふんわりとしており、まるで芝生のじゅうたんのようです。また、小走りの足元と凧糸がリズミカルで、メロディを奏でているようにも見えます。低く流れる凧糸の先が気になります。ちゃんと凧は高く上がったのでしょうか?
「冬のモーション」
雲ひとつない青空に舞うハクチョウとカモの空中コラボレーション。これは珍しい光景です。編隊を組んで大空を舞う姿は優雅で美しいものです。まるでスローモーションの分解写真のようになっていておもしろいです。光に向かって飛んでいるので、斜光線によってハクチョウのボディに立体感が出て、体のラインが美しく浮き立っています。動物の撮影は偶然性に大きく左右されます。観察力と根気でジャストシャッターチャンスをつかみました。
「だんじり」
だんじり祭りは、人が山車に乗り、その山車を勢いよく引き回す有名な男の祭りです。手の込んだ山車は職人の作ったものらしく、繊細な細工がステキです。山車の上では若衆が、「大工」と書かれた半纏(はんてん)を着て、うちわを持ってかっこよくポーズをとっています。クライマックスのシーンでは危険なので撮影は無理でしょうが、青い空をバックに表舞台で踊る若衆と、笛を吹き脇で支える若衆たちを、日なたと陰のふたつの世界にくっきり分けて、力強くまとめています。
「森!?」
魚眼レンズは被写体をデフォルメできるからおもしろいものです。できるだけ歪みを感じさせずに、バランスをとることが上手な撮影テクニックです。この作品は、オブジェのようではありますが、「これはいったいなんだろう?」と、興味をひかれる作品です。木々に囲まれたおひさまをイメージした「森」のオブジェだそうですが、レンズワークがしっかりしているうえに、プラスαの存在として自然光や人工光など光のコラボレーションがうまく活かされたことで、オリジナリティあふれるものに作り上げられています。とても不思議!! 好奇心いっぱいで発見した作者のセンスが光ります。
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