ニコン AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II 実写レポート

現在表示しているページ
ホーム > デジタルカメラマガジン > デジタル一眼レフ新製品レビュー > ニコン AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II 実写レポート

公開日2009年10月16日

ニコン D300Sの発売とともに、人気レンズたちもリニューアル。そのうちの1本が今回レビューする「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」だ。先代の「AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)」から光学設計を一新し、盤石の態勢を固める。旧タイプユーザーにとっても気になる新レンズの実力を、早速試してみるとしよう。

注目点は周辺画質の向上!! 本質をズバッと見極めたい

 フルサイズ、APS-Cサイズと撮像素子のフォーマットにかかわらず、70~200mmクラスのズームレンズは望遠側の要として大切なポジションにある。各社が力を入れて開発するレンズのひとつであり、極めて高度な開発競争が行われている。
 ニコンの70~200mmレンズの歴史は80~200mmに端を発し、その後に各社の動きにも呼応して70~200mm化。2003年に「AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)」を発売し、このレンズが手ぶれ補正機構の搭載とともに、最新の装備とぜいたくな作り込みで市場を沸かせた。しかし発売当時のニコンはDXフォーマット全盛期であり、このレンズの資質をデジタル環境ですべて見抜くことは容易ではなかった。特に周辺画質に関しては、フォーマットの関係から“トリミング”されて写っていたからだ。

 それから時を経て、FXフォーマット機であるニコン D3、ニコン D700が出た際は「AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)」で筆者も撮影を実施し、フルサイズ環境下での周辺画質については幾度となく雑誌で感想を述べてきたが、特に問題視していたのは200mm側における周辺部での描写性だった。絞って撮影しても画質が不安定となり、最後の最後で解像感がガタンと低下するのを何度も経験したからである。この現象の原因には複数の収差が絡んでいると予想されるが、絞りによる変化がないことから単純なコマ収差(球面収差を含む)の影響は排除できる。その次に浮上するのが非点収差であり、絞り込みによって改善されないという点において、最も可能性が高い。おそらくこの収差が他の収差と複合的に関連し、前述の現象を引き起こしていたと考えられる。

 さて前置きが長くなったが、今回の新レンズは先代のウイークポイント対策を徹底的に実施。レンズ構成を一新させるという力の入り具合には並々ならぬものを感じる。公開されているMTF曲線もまったく別のレンズであることを示しており、S方向(サジタル方向:放射方向)とM方向(メリジオナル方向:同心円方向)での両レンズのデータを突き合わせれば、その差は一目瞭然である。「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」では、2方向から計測した解像力がほぼそろい、良好なカーブを示していることが改良の証といえるだろう。ナノクリスタルコートの採用なども話題のひとつだが、このレンズの注目点はココにあり、手ぶれ補正機構の強化以上に大きな意味を持つ。それではD700で実写した画像をもとに、新レンズの性能をチェックしてみたい。

AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR IIのMTF性能曲線図
AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR IIのMTF性能曲線図:1/2 AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR IIのMTF性能曲線図:2/2
AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)のMTF性能曲線図
AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)のMTF性能曲線図:1/2 AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)のMTF性能曲線図:2/2
MTF性能曲線図凡例
空間周波数 S:放射方向 M:同心円方向
10本/mm MTF性能曲線図凡例(S:放射方向、10本/mm) MTF性能曲線図凡例(M:同心円方向、10本/mm)
30本/mm MTF性能曲線図凡例(S:放射方向、30本/mm) MTF性能曲線図凡例(M:同心円方向、30本/mm)

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:1/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F5.6/シャッタースピード:1/2,000秒/露出補正:-0.3EV/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
筆者に向かって彼らなりに(爆)全速前進してくる姿をAF-Cで撮影したもの。ふんだんに用いられたEDレンズにより色収差もない。補正効果約4段分に強化された手ぶれ補正機構によりファインダー像が安定。手持ち撮影の可能性が高まった。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:2/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F5.6/シャッタースピード:1/500秒/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
用心深い性格のミーアキャットを、植物の陰から撮影した。F5.6まで絞り込むと鮮鋭度は増すが、同時に線も太くもなる。ふわりと表現したい場合には、なるべく絞りは開け気味で使うのがコツだ。円形絞りの効果は2段絞り程度まではある。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:3/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F7.1/シャッタースピード:1/250秒/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
さすがにフルサイズ環境下での200mmはやはり200mm。思うほど長くはない。柵に身を乗り出すようにして撮ったものだが、小動物の撮影ならば300mmオーバーは必要だ。レンズ先端部の形状が変更となり(後述)、ホールディング性が一段と向上していた。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:4/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F4/シャッタースピード:1/1,250秒/露出補正:-0.3EV/ISO感度:800/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
質感を出すため1段だけ絞って撮影したが、列車のテカリ具合やシャープさは予想以上だ。また自然と消失していく遠景の描写も素晴らしく、お世辞抜きで優秀なレンズだと実感した。トーンの変化もなだらかであり、光のニュアンスを伝えてくれる。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:5/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F8/シャッタースピード:1/250秒/露出補正:-0.3EV/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
旧70-200mmで何度も撮影し夢破れた現場で再挑戦した。画面の両端の岸壁もシャープに解像。先代との違いは明白だ。かつてはこのシーンで画面端の画質が急激に流れるように乱れてしまい、雑誌掲載を断念したことを思い出す。同じシーンを撮ると違いがよりわかるもの。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:6/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F2.8/シャッタースピード:1/3,200秒/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
総合的な画質向上により、細線の表現も以前より上手になっているよう。収穫を間近に控えた稲穂に近接。収差の補正が全域で行われているかチェックしている。結果としてはとても満足できるレベルにあり、望遠マクロ的に使っても高い性能を発揮するだろう。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:7/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(180mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F5.6/シャッタースピード:1/800秒/露出補正:-1.3EV/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
この程度の光ではナノクリスタルコートの本当の実力はわからないが、それでも暗部の締まりとコントラストの良さはおわかりいただけるだろうか。色のりもしっかりとしており、あえて彩度を高めてフィニッシュする必要はない。思いどおりの夕日が写し出された。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:8/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F8/シャッタースピード:1/320秒/露出補正:-0.7EV/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
像面の平坦性を見るため、あえて過酷な被写体を撮影した。結果はご覧のとおりであり、画面全域でしっかりとピントが合っている。先代ではおそらく画面上の2辺の画像が流れるはず。このように画面をフルに使う風景撮影で、新旧の差が最も表れやすい。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:9/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F2.8/シャッタースピード:1/640秒/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
開放でのシャープさも折り紙付き。絞って使うよりも線は細く、そのため細かい羽根のニュアンスがより伝わってくる。さすがにフルサイズになると解像力も上がるため、ピント合わせには細心の注意が必要となる。しかし決まったときの爽快感は格別だ。

「AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II」実写画像:10/10

カメラ:D700/レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II(200mmで使用)/露出モード:絞り優先オート/絞り:F7.1/シャッタースピード:1/160秒/露出補正:-0.3EV/ISO感度:200/WB:晴天/ピクチャーコントロール:スタンダード/RAW
黒が落ち込みすぎることもなく、また白っぽくもならない。レンズの性能とカメラの資質が高度にマッチしている。池を挟んで遠くから撮影したものだが、毛の細部まで見事に解像。顔の形状やテカリも忠実に再現していた。すべてにおいて納得がいく。

光学系とともに外観も一新。随所で感じた改善の跡

 新型となり、光学系だけではなく外観も少なからず変更されている。全長は約10mm短縮されコンパクトになり、レンズの太さがやや増している。そして最も大きな変更点は、レンズ先端部にあったAFスタート/ストップボタンの廃止である。これによりレンズ先端部までゴムが巻かれ、ホールド性が向上。また全体の凹凸も少なくなり、携帯性の面においてもプラスだ。

 光学系の変更は各作例でも述べたとおり、随所でその効果を実感できた。特に周辺画質の向上には目を見張るものがあり、画面全域を使い構図を作る場合でも、もうちゅうちょはいらない。また色収差補正の徹底ぶりも舌を巻くほどであり、よほど意地悪をしなければ問題点は見出せないだろう。価格的には1割ほど高くはなっているものの、新型を選ぶ理由はこれだけある。新たにこのクラスのレンズを購入したいと考えている人には、新型を強くオススメしたい。当然旧型ユーザーにとっても気になる存在であり、これまで使ってきて周辺画質に不満があるようであれば、下取りで買い替えてしまうという選択肢もある。ただし被写体を中央に据えて背景を大きくぼかす用途であれば、両者の差はそれほど大きくはない。また今後ともDXフォーマットで使い続けていくのであれば、旧型でも十分にその責務を果たす。将来的にフルサイズ化をするか否かで、レンズ購入のロードマップを考えてみてもいいだろう。

撮影/レポート:高橋良輔

本ウェブサイト内のコンテンツ(情報・資料・画像・音声等)の著作権は、各著作者が保有し、許可なく複製、転用、販売などを行うことを禁じます。

スペックや性能などの詳細情報を見る

デジカメエキスパート虎の巻

↑ページの先頭へ