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公開日2010年05月26日
製品版の「PENTAX 645D」を携えて、新緑の撮影に新潟方面へ出かけた。速報でもお伝えしたとおり「PENTAX 645D」では4,000万画素のCCDイメージセンサーの能力を十分に活用し、極めて高精細な風景撮影が可能になっている。ここでは操作性の印象や画質面の使いこなしを含め、より詳細にレポートしたい。
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「PENTAX 645D」を風景撮影の実戦に投入してみてまず感じるのは、撮影機能面において同社のデジタル一眼レフカメラ「K-7」とほぼ同様の簡単な操作が可能で、水平方向だけでなくアオリ方向の検出も可能な水準器機能やレリーズ時の振動を抑えるミラーアップ機能、そして野外の撮影ではうれしい防塵・防滴性能など、風景撮影での使い勝手が非常に優れているということだ。また、バッテリーの持ちが大変優れていて、筆者のペースでは丸1日の撮影をバッテリー1本で済ませることができた点も高く評価したい。ただ、4,000万画素ともなると画像サイズが展開時で約113MB、記録サイズでもJPEGで18MB前後、RAWで40~50MBにもなるため、さすがに画像処理とメモリーカードへの記録に時間がかかる。バッファメモリーはかなり積んでいるようで、連続撮影も可能なので撮影自体にストレスを感じることはなかったが、撮影後の再生はデータの記録が完了するまでできないので、ピントや露出などの詳細確認を行うまでは少々待たされることになる。CFカードなどの採用により少しでも書き込みが速くなるのなら今後改善を希望したい部分だ。
画質面は作例をご覧いただければ明らかなように、いずれも極めて解像感が高く高精細な画像が得られている。しかし、遠景の木々など細かな空間周波数成分の多い絵柄では微細部分の描写にやや不足を感じることもあるだろう。これは、おそらく偽色やジャギーなどが目立たないようにシャープネスの輪郭を太めに設定しているのと、ペンタックスでは従来からシャープネスをやや控えめにした絵作りを基本としているためだと思われる。
そこで、DNG形式で記録したRAWデータをAdobe Camera Rawで現像してみた。その結果、画像処理の設定にもよるが非常に高精細な仕上がりが得られた。このクラスのカメラを使うユーザーでJPEGオンリーで撮影するという方は少ないと思うので、解像感を最優先する場合はDNG形式で記録してDNG形式に対応するRAW現像ソフトで現像するのが、現時点では「PENTAX 645D」の解像感をフルに生かす手段としておすすめである。
ダイナミックレンジについては特に広めという印象はないが、通常レベルのレンジは確保しているように感じられる。また「D-Range設定」の「ハイライト補正」をオンにすると、ISO感度は1段分上がってしまうが、ハイライト側のダイナミックレンジを約1段分拡張でき、明暗差の大きな被写体にも十分対応可能となる。このあたりの詳細については後日性能テストでも検証したい。
新しく加わったカスタムイメージ「リバーサルフィルム」は、既存のカスタムイメージでは描写が柔らかすぎると感じているカラーリバーサルフィルムユーザーの声を反映したというだけあって、強烈なコントラストと彩度が特徴だ。一般的なデジタル一眼レフカメラでここまで彩度やコントラストを上げると色飽和などアラが目立つものだが、高精細な描写の「PENTAX 645D」では不自然さは感じられない。もちろん被写体や条件によっては彩度が高すぎるという場合もあるのでほかのカスタムイメージを使うことも多いが、曇天や雨天時など画面がフラットになりがちなシーンには非常に効果的だ。また、撮影時の記録方式を「RAW+」(RAW+JPEG)に、カスタムイメージを「リバーサルフィルム」にしておくと、RAW現像時の彩度決定の目安になり、非常に参考になった。
「PENTAX 645D」の高画質を支えているのが交換レンズの性能の高さである。「PENTAX 645D」はレンズの色収差と歪曲収差の補正機能を持っているが、これらの機能はほとんど必要としないほど645交換レンズの基本性能は高レベルである。これは、もともとは645フルサイズ(56×41.5mm)の画面サイズ用に設計されたレンズの中央部の44×33mmの範囲だけを利用しているので、画面中央部の画質の良い部分だけを使用しているというメリットも大きいのであろう。今回の試写では掲載していないものも含めると、同時発売の「D FA645 55mmF2.8 AL[IF] SDM AW」のほか、単焦点レンズは「FA645 35mmF3.5AL[IF]」「FA645 マクロ 120mmF4」、ズームレンズは「FA645 33-55mmF4.5AL」「FA645 45-85mmF4.5」「FA645 80-160mmF4.5」「FA645 150-300mmF5.6ED[IF]」の7本を使用した。このなかでは特に「FA645 マクロ 120mmF4」「FA645 45-85mmF4.5」「FA645 80-160mmF4.5」「FA645 150-300mm F5.6ED[IF]」の4本の描写は申し分なく、画面全域で極めてシャープな描写が得られていた。一方広角ズームの「FA645 33-55mmF4.5AL」も中央部ではシャープな描写が得られるものの周辺部で多少の乱れが感じられた。
85万円前後という、中判デジタルカメラとしては衝撃的な価格で登場した「PENTAX 645D」であるが、その実力は想像をはるかに超えていた。4,000万画素の画素数は35mm判デジタル一眼レフカメラの最多画素機の2倍弱に相当するためおおよその画質は予想していたが、実際の撮影結果を見るとローパスフィルターの省略による効果はやはり大きく、画素単位での解像感が圧倒的であり、さらに高性能な645交換レンズとの組み合わせによって、実際の画質差は画素数の違い以上に大きく感じられた。フィルムカメラ時代に35mm判と645判の違いで感じていた画質差と同じかそれ以上の開きがあるように思う。かつてフィルムカメラにおいて一度大中判の高画質を体験すると35mm判には戻れなくなってしまったように、一度中判デジタルカメラの高画質の世界に身を置いてしまうともう後には戻れない気がする。それゆえ、「PENTAX 645D」は風景撮影をデジタルカメラで撮影し、究極の高画質を求めるユーザーにとって、他に代え難い最上の1台となるだろう。
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