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公開日2007年09月01日
実写レポート第4弾は、EOS 40Dをいよいよフィールドに持ち出して風景撮影を行った。今回はロケ地として北アルプス(長野県・岐阜県)の乗鞍岳周辺を選択、早速出かけてみた。乗鞍岳は以前はマイカーで山頂近くの畳平まで行くことができたが、2003年夏から自然保護のためマイカー規制が始まり、長野県側の乗鞍高原・観光センター前駐車場または岐阜県側・高山市ほおのき平駐車場などからのバスを利用する。乗鞍岳といえば標高2,700mもの高地からの日の出(御来光)が有名だが、朝3時40分発の御来光バスも運行されていて、今回の試写も御来光バスを利用した。山頂まで行っても御来光を望める確率は3割程度という厳しい条件ながら、この日は幸いにもまずまずの朝焼けと御来光を見ることができた。さらに、珍しく畳平付近の天候も安定していて、のどかな高原の風景を撮影できた。
今回の撮影では、やはり新しく発売されたキットレンズとの相性なども気になるので、朝焼けの空のアップ以外は手ぶれ補正機構が新搭載されたEF-S18-55mm F4-5.6 ISを使用している。また、作例はRAWデータで撮影して、カメラでの現像結果を踏襲する「Raw Image Task」によって現像しているのでJPEG撮影派の皆さんも参考にしやすいはずだ。
さて肝心の撮影結果についてであるが、従来からのピクチャースタイルを継承しているので色再現の傾向はやはりEOS 30Dなどと非常によく似ている。しかしよく見ると、DIGIC IIIでは14bit処理を行っているためか、若干であるが色再現がクリアになっているようで、彩度の高い部分でのグラデーションも豊富になっているように見受けられた。作例では青空のカットが少ないが、山荘方面を撮影した絵柄ではやや赤みのあるクリアな青空の色が見られ、EOS 30Dとはわずかに空の青の発色の傾向が異なるようだ。これは、先にレポートしたカラーチャート撮影の結果ともリンクする。
また、朝焼けの空のグラデーションなどを見ても、14bit化の効果であろうか、鮮やかな中にも確実にグラデーションの変化が見られ、美しい階調が得られているのがわかる。解像感については画素当たりの解像感はほぼ従来どおりであり、画素数が増えた結果、全体の解像度は確実に上がっているといえる。半面、レンズに対する要求度はよりシビアになるので、1,010万画素の実力を出しきるには、できれば描写性の優れた高性能レンズと組み合わせて使用したい。
EF-S18-55mm F4-5.6 ISについては、全般にシャープな描写が得られており、マクロ撮影にも強く、価格を考慮すれば一般的な撮影は十分にこなしてくれる実力を持つことがわかった。もちろん、4段分の手ぶれ補正効果もいざというときには心強い味方となるはずだ。しかし、どの焦点域でも常に確実に周辺部までシャープな描写を要求するには実力的に多少無理がある。そのため、描写性を最優先するならばLレンズや単焦点レンズなど、より描写性に優れた高性能レンズの購入も視野に入れたほうがよいだろう。
レポート:杉本利彦
朝焼けの空(1) カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(33mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F11、1/8秒)/露出補正:-1.0EV/ISO感度:100/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景、色の濃さ+3)
御来光前の朝焼け。天空の薄雲がマゼンタ色に染まった。彩度がやや不足気味であったため現像時に色の濃さを[+3]に設定しているが、水平線付近の高彩度な赤に染まった雲を見ても、階調はよく再現されており14bitデータからの処理の余裕を見ることができる。さすがにこれほど雄大な風景になると倍くらいの解像感が欲しくなってしまうが、そこは上位機のEOS-1Ds Mark IIIの領域というべきか。
朝焼けの空(2) カメラ:EOS 40D/レンズ:EF70-200mm F4 USM(113mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F11、1/80秒)/露出補正:-0.7EV/ISO感度:100/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:スタンダード、色の濃さ+1)
御来光近くになると、日の出地点の上空の雲がさらに赤く染まった。この場合、ピクチャースタイル[風景]では、色調が赤方向にシフトしてしまうため[スタンダード]を選択している。雲の合間に見えるオレンジの微妙なグラデーションの表現力に注目してほしい。
ハクサンイチゲ(群生) カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(39mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F8、1/60秒)/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景、色の濃さ+1)
高山で見られるハクサンイチゲの群生だ。葉の緑と花びらの白のコントラストが美しい。手前の花の部分にピントを合わせているが、花びらのシワまでわかるほどの極めてシャープな描写が得られている。花びらの白の抜けも素晴らしく、鮮やかでクリアな色再現が得られている。
畳平・お花畑の大岩 カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(18mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F8、1/250秒)/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(デジタル露出補正:-0.2、ピクチャースタイル:カスタム、色の濃さ+1)
畳平駐車場のすぐ下にあるお花畑での風景。適用したピクチャースタイルは、EOS 40Dで初めて同梱された「Picture Style Editor」を使って、ピクチャースタイル[風景]をベースに筆者が独自に調整したカスタムピクチャースタイルを使用している。グリーンがあまり青っぽくならない方向でかつ空の色がより濃くなるように調整を加えている。EF-S18-55mm F4-5.6 ISの広角端の描写は、中央部はまずまずながら最周辺部でやや乱れが見られる。
道端の植物 カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(41mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F8、1/100秒)/露出補正:-0.3EV/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(デジタル露出補正:-0.2、ピクチャースタイル:風景)
乗鞍高原でのひとコマ。道端の植生はさまざまで、まさに百花繚乱。夏を謳歌しているように見える。ピクチャースタイルは[風景]を選択しているが、この場合は各植物の色の分離が適切で美しい。EF-S18-55mmの描写も優秀で、41mm付近では画面周辺部までシャープな描写が得られている。
ウラギンスジヒョウモンカメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(55mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F5.6、1/500秒)/露出補正:+0.3EV/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景)
新しいEF-S18-55mm F4-5.6 ISでは、最短撮影距離が0.25mとマクロ域の撮影にも強くなったので昆虫を狙ってみた。茶色のチョウはウラギンスジヒョウモン。警戒心が強いためあまり近づけないが、開放絞り近くで使用すると背景が大きくぼけて背景から浮き上がらせることができる。背景のぼけ味もなかなか良好だ。
モンシロチョウ カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(55mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F5.6、1/500秒)/露出補正:+0.3EV/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(デジタル露出補正:-0.2、ピクチャースタイル:スタンダード)
同じくモンシロチョウをマクロ域で狙ってみた。こちらは警戒心が弱く、最短撮影距離いっぱいまで近づくことが可能だ。撮影距離0.25mなら小さなチョウもここまでアップにすることができる。これ以上のマクロ域はさすがにマクロレンズが必要になる。背景のぼけ味もなかなかだ。
ハチとオオハンゴンソウ カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(55mmで使用)/露出モード:シャッター優先AE(F9.0、1/500秒)/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(デジタル露出補正:-0.5、ピクチャースタイル:スタンダード)
オオハンゴンソウはスキー場の夏場の花として植えられ、群生している場合がよく見られ、ハチやチョウが集まってくる。この花の黄色は色再現が鮮やかすぎるとレモン色に転びがちで再現が難しい色であるが、ピクチャースタイルの[スタンダード]では記憶色に近い再現色が得られた。
植物 カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(47mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F11、1/6秒)/露出補正:-0.3EV/ISO感度:100/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景、色の濃さ:+1)
林が開けて明るくなったところの山の植物だ。光を求めてできるだけ明るい方向にすき間なく葉を向けている。ピクチャースタイルは[風景]を選択。色の濃さを[+1]にしてやや彩度を上げている。緑がやや青方向にシフトしているようにも感じるが、鮮やかな色再現が得られている。
シシウド カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(35mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F11、1/10秒)/露出補正:+0.3EV/ISO感度:100/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景、色の濃さ:+1)
シシウドの花。花の非常に微細な花弁や雄しべなどが克明に記録されている。調子再現や色再現も記憶色に極めて近く、撮影時の雰囲気をそのまま伝えているといえるだろう。
滝 カメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(55mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F11、0.6秒)/ISO感度:100/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景、色の濃さ:+1)
EF-S18-55mm F4-5.6 ISとの組み合わせでの解像感を見るため、やや引きの風景写真も見ておこう。滝の左右の木の葉がよく解像されており、そのままでも解像感は高いが、フォトレタッチソフトなどで若干シャープネスを上げると、さらに切れ味の鋭い描写が得られるだろう。望遠側のレンズの描写性はまずまずで、周辺部までシャープな描写が得られている。このレベルの解像感が得られれば風景写真でも十分活用できるといえる。
畳平・山荘方面を望むカメラ:EOS 40D/レンズ:EF-S18-55mm F4-5.6 IS(27mmで使用)/露出モード:絞り優先AE(F8、1/400秒)/ISO感度:200/WB:太陽光/色空間:sRGB/RAW/現像:Raw Image Task、設定(ピクチャースタイル:風景)
青空が顔を出したので、山荘方面を撮影してみた。青空の発色は、従来はやや緑方向に振れた発色であったが、同じピクチャースタイルを使用してもわずかに赤みのあるクリアな発色の青空に見え、テストチャートでのテスト傾向を踏襲しているといえる。レンズの描写性の方は、この焦点域では中央部の描写性はまずまずながら、周辺部の描写性はあまり良いとはいえない。
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