こんにちは、ゲストさん
公開日2009年07月16日
今回から始まった「カメ高レンズアカデミー」。話題のレンズを核にしてほかのレンズとの違いや、そのレンズの使いこなしなどを多角的に考えていくコーナーである。ご好評いただければ「GANREF情報局」から独立し、勢いも増していく予定だ。さて、1回目に取り上げるレンズは、軽くて安くてよく写ると評判の、ニコン AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8G。単焦点レンズの味と素晴らしさを再確認してみたい。
国産交換レンズにおける標準ズームレンズの起源は、ニコンが1963年に発売したZoom-NIKKOR Auto 43~86mm F3.5だ。それから約46年、ズーム比は当時の2倍から大きく拡大し、高倍率ズームレンズを含めると10倍以上にまで高められている。画質も時代を経て大きく向上。かつてのZoom-NIKKOR Auto 43~86mm F3.5ではズーミングによって色収差とコマ収差が発生しやすいなどの問題もあったが、現在では約11倍のズーム比を持つAF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G(IF)であってもまったく問題ないほどに技術が進化している。
ニコンのデジタル一眼レフのズームレンズ環境は、フルサイズのFXフォーマットよりも、APS-CサイズのDXフォーマット用レンズの方が多彩。普段使いに適したレンズとしては、D300をはじめ、D90、D5000の3機種のラインアップがあるDXフォーマットのデジタル一眼レフに対して、現行の標準ズームレンズだけで7本、高倍率ズームレンズ・AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G(IF)を合わせると、なんと計8本もあるのだ。ニコンのズームレンズ環境は他社と比較しても恵まれている。普段使いのレンズとしては、これらの中から自分の好みに合う1本を選んで便利に使いこなしたい。
さて今回の本題である、単焦点レンズの話に入ろう。単焦点レンズとは撮影レンズの原点であり、ひとつの焦点距離のみに対応したレンズだ。ズームレンズのように自在に画角を変化させることはできないが、そのレンズ構成から多くの利点がある。
まず第一にレンズ構成がシンプルであり、入射光の透過効率が圧倒的に良い。そのため明るいレンズを作りやすく、かつコンパクトにまとめられるのだ。ズームレンズの場合にはレンズ構成がどうしても複雑になるため、明るく作るためにはレンズの大口径化が必須。そして大口径化に伴い各種の収差がさらに発生しやすくなり、特殊レンズを用いてこれらを補正しなくてはならない。また焦点距離が変化するため、全域で一定の解像力を確保しなくてはならず、結果として解像力のムラがどこかに発生するのはやむを得ないところとなる。その点、単焦点レンズではレンズを小さく設計できるので、各種の収差が比較的起こりにくい環境がもとより整っている。
今回取り上げるニコン AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8Gは、伝統的なレンズ構成である「ダブルガウスタイプ」に現代的なアレンジを加えたもの。その特性から像面湾曲やディストーションを、前後のレンズがお互いに打ち消し合うという根本的な利点がある。また第7レンズに使われている非球面レンズで、広角レンズ独特の光軸補正を行っている。ぼけに関しても単焦点レンズは元来美しく、ここでもベースとなっている「ダブルガウスタイプ」のレンズ構成がストレートにきいてくる。一般的にぼけの大きさは絞り値で支配される傾向が高いが、ぼけの質に関してはレンズ構成によるところが大きい。
このように単焦点レンズの、構成がシンプルであるがゆえのメリットは計り知れない。ズームレンズではできない表現力をカバーしてくれるのだ。これらを理解した上でズームレンズと単焦点レンズの両方を持ち歩き、用途によって使い分けるといいだろう。
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