デジカメエキスパート 虎の巻

テクニックを知る ― 写真撮影の基本的な考え方やよりよい写真を撮るためのテクニック

ズームを使いこなす

ひとつの焦点距離しかないレンズを「単焦点レンズ」というのに対し、一本のレンズで焦点距離を変えることができるのが「ズームレンズ」である。被写体に近寄ったり、被写体から引いたり、自在なその画面効果を活用しよう。

レンズの焦点距離と画角を知る

撮影においてまず大事なのは、使うレンズの「画角」を知っておくことだ。画角とは写真に写る範囲のこと。画角はレンズの焦点距離と画面サイズ(撮像素子のサイズ)で決まる。画面サイズが同じならば、レンズの焦点距離が長くなるほど画角は狭くなり、短くなるほど広くなる。
どのレンズにも焦点距離は示されている。たとえば、レンズに「17-55mm」と表記してある場合、焦点距離は17mmから55mmということだ(※Note参照)。
焦点距離を変える、つまり画角を変化させるということは、被写体の周りにどれくらい背景を入れたいのか判断して選ぶということでもある。被写体だけを目いっぱい大きく入れたいと思えば、焦点距離を長くすればよい。逆に、背景部分を多くしたいと思えば、焦点距離を短くするわけだ。
画角を知っておくと、スムーズに焦点距離を選んで撮影できるし、あらかじめ撮影のイメージを膨らませることもできる。

Note 画角の表記

デジタルカメラのレンズの焦点距離について、「17~55mm(35mm判換算約25.5~82.5mm相当)」といった記述がよくなされている。これは35mm判フィルムカメラで同じ画角になる換算値を示している。
これまでのスタンダードとして定着していた35mm判フィルムカメラの画面サイズ(24×36mm)に換算することで、画角のイメージが多くの人に伝わりやすいというメリットを期待して、このように表記されるのである。
ほとんどのデジタルカメラの画面サイズ(撮像素子のサイズ)は、35mm判フィルムカメラより小さくできている。そのため、例のように35mm判フィルムカメラだと25.5mmでの画角が、デジタルカメラでは17mmでの画角となるわけである。

標準・広角・望遠それぞれの特徴

レンズの焦点距離は、「標準」「広角」「望遠」の3つに大別できる。それぞれの特徴を知っておこう。

標準レンズの自然な仕上がり

一般的に、画面の対角線の長さと同じくらいの焦点距離のレンズを標準レンズという。
これは35mm判フィルムカメラの画角に換算して、40mmから45mmくらいになるのだが、広く50mm前後を指して標準とされている。この画角は人間が両目でふつうに見ているときの視野に相当するといわれ、自然な感じに仕上がるのが特徴である。
この50mm前後の標準レンズの自然な仕上がりを期待して、仮に画角が1.5倍の焦点距離相当に狭くなるデジタル一眼レフで撮影しようとする場合、焦点距離は33mm前後での撮影が必要になる。

標準レンズ相当の画角で撮影 画面サイズが23.7×15.6mmのデジタルカメラを使い、33mmで撮影。35mm判フィルムカメラの画角で換算すると、およそ50mm相当になる。人間の肉眼に近い、自然な画角である

広角レンズで遠近感や迫力を出す

標準レンズよりも短い焦点距離のレンズが広角レンズだ。これまでの広角レンズに対してより広い画角のものを、とくに超広角レンズなどといったりもする。広角レンズを使えば、広い風景を写せるだけでなく、レンズの歪みを利用して対象の形をデフォルメする表現(デフォルメーション)も可能となる。
被写体に向かいファインダーをのぞいて、ふだんよりも二歩三歩と前に出てみると、その効果がよくわかる。広角レンズで撮影する場合、被写体に対して上向きに撮影すると下から上にしぼむように写り、逆に高いところから下向きに撮影すると上から下にしぼむように写る。

広角レンズで撮影1 35mm判フィルムカメラに換算して約25mm相当の画角で撮影。奥までびっしりと植物が茂っている広がりの様子を出そうと、少し高い位置から撮影してみた

広角レンズで撮影2 35mm判フィルムカメラに換算して約20mm相当の画角で撮影。木の根元から見上げるようにして、力強さを表現した

望遠レンズで遠くのものを大きく

標準レンズよりも長い焦点距離のレンズを望遠レンズといい、焦点距離の長さによって「中望遠」「望遠」「超望遠」の3つに大別される。35mm判フィルムカメラでいう、70mm前後を「中望遠」、135mm 前後を「望遠」、200mm以上を「超望遠」という。
焦点距離が長いほど画角は狭くなり、遠くの被写体を引き寄せて大きく写すことができるということになる。画面内に引き寄せてみると、肉眼では見えなかったものが写っていたりして、思わぬ発見や効果を得られる。
しかし、望遠レンズは狭い範囲を撮影するだけに、ぶれを起こしやすいため、撮影には注意が必要だ。

望遠レンズで撮影 35mm判フィルムカメラに換算して約140mm相当の画角で撮影。実際は10mmくらいの小さな昆虫も、望遠レンズを使えばこのように大きく写すことができる

POINT

  1. 広角レンズは広い範囲を、望遠レンズは狭い範囲を写すことができる
  2. 広角レンズの使用時は、いつもより前に出るとよい
  3. 望遠レンズはぶれに注意
  4. 自分のレンズの画角と最短撮影距離を把握しておこう
  5. どんなふうに被写体を画面に入れたいのかを考えてレンズの焦点距離を選ぼう