デジカメエキスパート 虎の巻

テクニックを知る ― 写真撮影の基本的な考え方やよりよい写真を撮るためのテクニック

人物を撮る 1/2

誰にとっても、カメラを向ける機会がいちばん多い被写体は、人間ではないだろうか。ここでは、表情をしっかりと写真に残し、よりすてきな一枚を仕上げるためのハウツーを解説していこう。

記念写真・集合写真を撮る

大切な思い出を記録しておくために、旅先や会合などではきれいな記念写真を撮っておきたいもの。
しかし、どんなにいいシーンに巡り合えても、ピントがしっかりと合っていない写真では台なしだ。とくに、画面の中心が空いている構図で撮影するときは要注意。そんなときによくある失敗が「ピントの中抜け」である。多くのオートフォーカス機構は、基本的に画面中央でピントを合わせるようにできている。ピントを合わせたい対象が画面の中心にないときは「AFロック」を使おう。ピントを合わせたい部分を画面の中心においてシャッターボタンを半分押し込む。するとピントが合った時点でロックされる。この状態(半押し)で、ピント位置がロックされることやその方法を「AFロック」という。あとは構図を決めて、最後までシャッターボタンを押せばいい。

背景にピント

人物の顔にピント

銅像と人物を並べて撮影。左の写真のように、「中抜け」といって、ピントが背景に合ってしまうことがよくある。人物の顔にピントを合わせAFロックをして、フレーミングを戻して撮影すれば、右の写真のようにうまく撮ることができる

人物だけでなく、背景もしっかり見える記念写真を撮りたいときは、絞り値を大きくしたり、広角レンズを使うなどして、被写界深度を利用しよう。
ただし、絞り込む(F値を大きくする)ということは、シャッタースピードが遅くなるということである。手ぶれが起きたり、人物が目をつぶって写ってしまう可能性も高くなるので、十分注意が必要だ。

広角レンズで撮影 背景の氷川丸もぼけないようにしっかりと撮りたかったので、被写界深度の深い広角レンズ(35mm判換算で25mm相当)で撮影

子どもを撮る

子どもは動きが速く、その動きを予想できないので、撮影しにくいもの。子どもに限ったことではないが、動いているものにピントを合わせるとき、オートフォーカスが追いつかないことがよくある。そんなときは「置きピン」といわれる方法が便利だ。
オートフォーカスをマニュアルフォーカスに切り替え、ピント位置を一定の距離に決めておく。あとはそのまま、設定したピントの位置に子どもが入ってくるのを待って、シャッターボタンを押せばいい。この方法が「置きピン」である。
また、子どもの動きと同じようにカメラも動かしながら撮影したり、シャッター速度優先AEモードで1/15秒くらいに設定して撮影したりすると、動きのある楽しい写真ができる。