デジカメエキスパート 虎の巻

テクニックを知る ― 写真撮影の基本的な考え方やよりよい写真を撮るためのテクニック

小さいものを大きく撮る

小さな被写体を、実際に見た大きさと同じくらいに、あるいはそれ以上に大きく写してみると思わぬ発見や驚きがある。このようなシーンを撮ることをマクロ撮影という。ここでは、写真ならではの表現のひとつ、マクロ撮影について学ぼう。

マクロ撮影とは

小さなものを細密に描写するのがマクロレンズである。マクロレンズのなかにも焦点距離が長いレンズや短いレンズがあり、ズームレンズでマクロ機能を持ったタイプもある。ほとんどのコンパクトデジタルカメラには、マクロモードがあり、マクロ撮影が楽しめるようになっている。マクロレンズは、一般のレンズに比べて、最短撮影距離(被写体にもっとも近づいたときの距離)が短く設計されているため、小さな被写体を画面内に大きくとらえることができる。
マクロレンズでマクロ撮影をするときには、以下のような点に注意したい。まず、カメラを固定して撮影すること。できるだけ三脚を使って撮影したい。中腰や前屈みなどで撮影すると体が前に出やすくピント位置が被写体の後方にずれてしまう。また、オートフォーカスではピント合わせがしにくいので、マニュアルフォーカスでピントを合わせるとスムーズな撮影ができる。そして、ぶれを防ぐためにできるだけ速いシャッタースピードで撮影すること。屋外で花を撮影する場合など、風で動く被写体の場合にはとくに注意が必要だ。最後に、ピントの合う範囲に注意すること。マクロ撮影は被写界深度がとても浅くなる。正確にピントを合わせ、できるだけ被写体と撮像素子が平行になるアングルを選びたい。

55mmのマクロレンズで撮影 セミの抜け殻を55mmのマクロレンズで撮影した(35mm判換算82.5mm相当)。マクロレンズならここまで近づいて大きく写すことができる

Note アングルファインダーの活用

アングルファインダーの活用 マクロ撮影では、カメラの位置が低くなりファインダーをのぞきにくいことがよくある。そんなときにはアングルファインダーが便利。アングルファインダーを取りつければ、このように上からのぞくことができる。

こんなときもマクロモード

マクロ撮影は、被写体に近寄って画面に大きく写すことができるので、花や虫などを撮る以外にも、利用できる。
アクセサリーなど小さな自分の持ち物を撮影しておいたり、地図や誌面などの必要な部分を撮影するときなどにも便利。必要なときにアップで撮影して、情報整理に役立てることができる。

看板をメモ代わりに撮影 公園で花を撮影しているときに、花の名前などが書かれた看板をメモ代わりに撮影した

POINT

  1. マクロ撮影は被写界深度が浅くなる
  2. ピントを正確に合わせる
  3. カメラぶれや被写体ぶれに気をつける