小さな被写体を、実際に見た大きさと同じくらいに、あるいはそれ以上に大きく写してみると思わぬ発見や驚きがある。このようなシーンを撮ることをマクロ撮影という。ここでは、写真ならではの表現のひとつ、マクロ撮影について学ぼう。
小さなものを細密に描写するのがマクロレンズである。マクロレンズのなかにも焦点距離が長いレンズや短いレンズがあり、ズームレンズでマクロ機能を持ったタイプもある。ほとんどのコンパクトデジタルカメラには、マクロモードがあり、マクロ撮影が楽しめるようになっている。マクロレンズは、一般のレンズに比べて、最短撮影距離(被写体にもっとも近づいたときの距離)が短く設計されているため、小さな被写体を画面内に大きくとらえることができる。
マクロレンズでマクロ撮影をするときには、以下のような点に注意したい。まず、カメラを固定して撮影すること。できるだけ三脚を使って撮影したい。中腰や前屈みなどで撮影すると体が前に出やすくピント位置が被写体の後方にずれてしまう。また、オートフォーカスではピント合わせがしにくいので、マニュアルフォーカスでピントを合わせるとスムーズな撮影ができる。そして、ぶれを防ぐためにできるだけ速いシャッタースピードで撮影すること。屋外で花を撮影する場合など、風で動く被写体の場合にはとくに注意が必要だ。最後に、ピントの合う範囲に注意すること。マクロ撮影は被写界深度がとても浅くなる。正確にピントを合わせ、できるだけ被写体と撮像素子が平行になるアングルを選びたい。