シャッタースピードや絞りの効果を使い分けることができるようになったら、もうワンステップ上の表現にも挑戦したい。日常的に使うものではないけれど、知っておくと写真表現にひねりが加えられるテクニックを学ぼう。
繰り返しになるが、カメラは光を記録する道具であり、写真は光による表現である。
つまり、写真のなかで光をどのように見せるかが表現の差になり、工夫のしどころということだ。
太陽から注ぐ日差しのライン、木々の隙間から落ちる木漏れ日、水や葉の反射が見せるきらめき、スポーツなど人間の激しい動きが見せる残像、イルミネーションなどの人工光が残す色彩、写真ならではの見せ方ができる対象は、多種多様にある。ここでは、その数例を紹介していこう。
ストロボには、設定の切り替えによって、シャッターが開いてから発光する機能と、シャッターが閉じる前に発光する機能を備えているものがある。前者を「先幕シンクロ」、後者を「後幕シンクロ」という。
たとえば、2秒のシャッタースピードで先幕シンクロしたとすると、シャッターが開くと同時にストロボが発光するので、被写体が動いた方向に、つまり被写体の前方に像が流れて写る。後幕シンクロの場合は、逆に被写体の後方に像が流れるので、前進するという動きを表現するのに適した写真になる。デジタル一眼レフカメラでは、内蔵ストロボにもこの機能がついている機種が多い。
デジタルカメラによっては長時間露光時のノイズリダクション機能がついている。この機能は、長時間露光時に発生するスターノイズを低減する機能だ。一般的に、長時間露光時のノイズリダクションは撮影時の情報からノイズを減算処理するため、撮影時の露光時間と同じだけの時間がかかる。すなわち、長時間露光時のノイズリダクションをオンにして5分のシャッタースピードで撮影すると次の撮影までは10分の時間が必要になる。