デジカメエキスパート 虎の巻

テクニックを知る ― 写真撮影の基本的な考え方やよりよい写真を撮るためのテクニック

よくある失敗とその対策 1/2

うまく撮れたつもりでも、あとで大きく画面で見たらぶれていたとか、カメラの液晶モニターで確認しただけではわからなったが、プリントしてみたら画像に黒っぽい部分があったということがある。こうしたよくある失敗について、その原因を理解しておこう。

フレアとゴースト

フレアとゴースト。どちらもレンズに直接光が当たったり、強い光が入ったりした場合に、レンズ内あるいはボディ内で乱反射した光が 起こす現象だ。
フレアは、写真全体が白っぽく写ったり、ぼやけた仕上がりになることをいう。ゴーストは、フレアの一種で、部分的に光の点が現れることをいい、絞りの形をしていることが多い。太陽を入れた撮影やレンズに光線が直接入ってくるような状況では、フレアやゴーストが出やすい。レンズフードを使用するなどして、レンズに直接光が入らないようにすることで防ぐことができる。フードをつけていても、花型のフードの場合には、へこんだところから光が入ってくることがあるので、注意したい。
また、デジタルカメラ特有の撮像素子の電荷過多によるスミアやブルーミングという現象もある。

ゴースト ちょうどフードの先端あたりに太陽があり、ゴーストが出た。ゴーストはこのように絞りの形で現れることが多い

フレア フレアによって画面全体が白っぽくなってしまった。フレアもゴーストもフードの代わりに、レンズ前面に手をかざすだけでもその効果が確認できる

ケラレ

ケラレとは、光が届かず画面の一部が写らなかったり、暗くなってしまうことをいう。
レンズに合ったフードやフィルターを正しく装着しなかった場合などに多く現れる。周辺を広く写し込む広角レンズを使用しているときは、とくに注意が必要だ。

ケラレ ポップアップの内蔵ストロボを使用して撮影したら、フードでストロボ光が遮られてケラレが発生した

ぶれを防ぐ

意識的にぶらす場合を除けば、ぶれのないシャープな写真を撮りたいものだ。ぶれを防ぐには、まず三脚を使うなどカメラを固定することが重要である。
では、手持ちで撮影しなくてはならない場合にはどうやってぶれを防ぐか。何よりも、シャッタースピードを速くすることだ。
そのためには、
・ISO感度を上げる
・ストロボを使う
・絞りを開ける(絞り値を小さくする)

といった方法がある。
もちろん、こうした手段をとったときに、同時にどのような影響があるのかをしっかり考慮して、ケースごとに対応しなくてはならない。
絞りを開けて撮影しなくてはならないときには、被写界深度をうまく利用すべきだし、ストロボを使ったら、被写体との距離によって画面の奥行きが違うということに考えが及ぶべきだ。
これらのことはある程度経験を積んでいくと身につく。

35mm判換算33mm相当で撮影 35mm判換算33mm相当で撮影。手持ち撮影だったので、シャッタースピードが遅くならないように絞りF4で撮影したが、画面全体はシャープに見える。これは木の並び具合が撮像素子とほぼ平行になっているからだ。被写界深度内に主題がおさまっていればシャープに見えるという例

ISO感度1600、シャッタースピード1/400秒で撮影 どしゃぶりの雨が傘をたたいていた。その雨粒が美しいので手持ちで撮影。傘の上の雨粒を止めて表現したいので、ISO感度を1600にしてシャッタースピード1/400秒で撮影。背景の降る雨は流れていて、その対比がおもしろい画面効果を生んだ。ただし、ISO感度は上げすぎると高感度ノイズが発生する危険があるので注意が必要

ストロボを使用して撮影 小さな花が微風に揺れていたので、ぶれないようにストロボを使用して撮影。自然光からカメラが判断した露出は、F4で1/30秒だが、ストロボ撮影では1/125秒となった。ストロボを使ってこのように撮影すると、背景が黒く沈み主題が浮かび上がる効果も期待した