写真の明るさは撮像素子に当たる光の量と撮影感度によって決まるが、光の量は絞りとシャッタースピードによってコントロールすることができる。絞りとはF値という数値で表され、数字が大きいほどレンズを通過する光の量が少なくなる。一方、シャッタースピードは1/250秒などのシャッター幕が開いている時間で表される。撮影感度はISO感度ともいい、ISO 100、200、400といった数値で表し、数値が大きいほど光に対して感度が高い。これらの組み合わせはちょうど、水道の蛇口から流れる水をコップに溜める状況に似ている。
蛇口の開きぐあいを「絞り」、水を流している時間を「シャッタースピード」、そして受け止めるコップの大きさが「撮影感度」、水は光の量だ。コップいっぱいの水を溜めるには、蛇口の栓を大きく開けば短い時間ですむし、栓を閉じぎみにすれば流す時間は長くなる。さらにコップの容量自体が小さければ、少ない水量ですぐに満たされる。つまり、絞りを開いてシャッタースピードを短くしても、絞りを閉じぎみにしてシャッタースピードを長くしても、同様な光の量が得られるということになる。また、撮影感度が上がれば、より少ない光量でも必要な明るさが確保できるといえる。このように、同じ写真の明るさを得るにも複数の組み合わせがあるということを知っておきたい。
絞りとシャッターの関係表(相反則)
「ダイナミックレンジ」とは明るさの再現能力を表す数値のことで、もっとも暗い部分からもっとも明るい部分までの比率をビット数で表したものだ。撮像素子のダイナミックレンジを数値で表すこともできるが、デジタルカメラでは白飛び、黒つぶれしない範囲のことを指すのが一般的である。フィルムではこれをラチチュードと呼んでいた。ダイナミックレンジが広いカメラは、明暗差の大きな被写体を撮影しても白飛びや黒つぶれを起こしにくく、幅広い階調の再現が可能となる。しかし、フィルムに比べると、デジタルカメラのダイナミックレンジはまだまだ狭いというのが実情だ。さらなる性能向上が期待されるところである。
露出モードとは、シャッタースピードと絞りの組み合わせを決定する各種方式のことで、「プログラムAE」や「絞り優先AE」「シャッター速度優先AE」「マニュアル露出」などがある。「プログラムAE」は絞りとシャッタースピードの両方をカメラが自動的に設定するもの。「絞り優先AE」は撮影者が絞り値(=F値)をセットすると、それに応じたシャッタースピードをカメラ側が自動設定してくれる。逆に「シャッター速度優先AE」は、撮影者がシャッタースピードを決定し、それに応じたF値が自動選択される。絞りとシャッタースピードの両方を撮影者が決定するのが「マニュアル露出」だ。撮影意図や状況によって使い分けよう。