ISO感度を上げると、暗いところでもより速いシャッターが切れるようになる。デジタル一眼レフカメラなどにはISO 1600といった高感度モードも用意されているため、明るさに応じた感度設定ができるのだ。だが、高感度撮影にはノイズが増すデメリットもある。
ISO感度とは撮像素子のセンサー感度のことだ。フィルムの撮影感度と同じで、数値が大きくなるほど感度が高くなり、同じ明るさの被写体でもより速いシャッターを切ることができるようになる。具体的にはISO 100、200、400、800と、数値が2倍になるごとにシャッタースピードを1段分速くする(または絞りを1段絞る)ことが可能。フィルムカメラでは使用するフィルムごとに感度が決まっていたため、感度を変更するにはフィルムを入れ替える必要があった。だが、デジタルカメラは、撮影中いつでも感度の設定が可能で、1枚ごとに違うISO感度で撮影することもできるのだ。
ISO感度を高くすると高感度ノイズと呼ばれるものが発生する。これはわずかな光を電気的に増幅して信号を取り出すために、増幅による電気ノイズが発生するからだ。とくに画面のなかの暗部にざらつきが目立つようになる。最新のデジタルカメラでは高感度ノイズも少なくなってきており、ISO 400でも低ノイズの画像が得られることが多いが、それでも感度が高くなるほどノイズが増えていくことに違いはない。ノイズの少ないなめらかな写真を撮りたければ、やはり感度は低いほうがよいのである。
ISO規格とは、国際標準化機構が定めたフィルム感度規格のこと。フィルムの感度表示には米国標準規格であるASAと欧州標準規格のDINが用いられていたが、1983年以降ISO感度として統一された。正式には、ISO 100/21°というようにASAとDINの併記をするが、実質的にはASA 100がISO 100となっただけで感度を表す数値に変更はない。デジタルカメラはフィルムを使わないため、本来であればISO感度という表現は適切ではなく、便宜的に撮像素子の感度を表す単位としてISO感度が用いられている。このため、デジタルカメラの撮像素子感度は「ISO 100相当」となっている。これはISO 100のフィルムを使ったときに得られる感度と同等の感度が得られるという意味。ただし、通常は「相当」という言葉が省かれ、「ISO 100」と呼ばれているのだ。