GANREF特別企画 夏のアウトドア撮影術&おすすめアイテム

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GANREF特別企画 夏のアウトドア撮影術&おすすめアイテム

レポート:礒村浩一

海へ山へとアウトドアに最適な季節がやってくる。夏の元気が出るような光景には魅力的な被写体があふれているので、ぜひともカメラを片手に出かけたいところだ。そこで今回はアウトドアでの撮影のコツと、撮影に大活躍のアイテムを紹介する。これを参考にして真夏の魅力をバッチリ撮影してしまおう。

真夏のお出かけには熱中症&虫対策を忘れずに

 真夏の撮影にはいつも以上に気を付けなければいけないことがある。まず忘れてはいけないのが熱中症(日射病や熱射病などを含む)の対策だ。強烈な日差しと高い気温の中、撮影を行っていると、体内の水分や塩分が汗となってあふれ出てくる。そのときに適切な対処を怠ると、やがて脱水症状を伴う熱中症を引き起こしてしまう恐れがある。これを避けるためにもまず大切なことは、こまめに水分補給をすることと帽子を着用すること。ただし帽子の中の湿度も上がるので、適宜脱いで湿度を下げることも大切になる。
 また体温の上昇を抑えるためにも体を冷やすためのアイテムを活用しよう。最近は気化熱を利用して首元を冷やすクールタイや、冷凍庫で凍らした保冷剤を入れるためのポケットが付いたバンドなども販売されているのでこれらを上手に使いたい。
 もうひとつ、注意したいのが虫刺されだ。蚊やアブ、ハチなどの害虫予防や刺された後の迅速な対応のため、虫よけや虫刺されの薬は常備してほしい。また万が一ハチやアブなどに刺されたりかまれたりしてしまった場合には、毒を吸い出すためのポンプなどで素早い応急処置を行い、一刻も早く病院で手当をしてもらう必要がある。特にスズメバチに刺されると生死にかかわる危険があるので十分に気を付けなければならない。ちなみに黒い服や帽子はハチの標的になりやすいので避けるようにしよう。

熱中症&害虫予防アイテム

熱中症&害虫予防アイテム:1/3 熱中症予防には帽子の着用は欠かせない。熱のこもりにくい素材のものを選ぼう。また帽子は突然の雨よけとしても効果的だ。クールタイは一度ぬらして首に巻くことで、蒸発する水による気化熱の作用で首回りを冷やしてくれる。

熱中症&害虫予防アイテム:2/3 体に熱がこもってしまった際には効果的に体温を下げる必要がある。首回りや脇の下など大きな動脈がある部位に、冷凍庫で冷やした保冷剤やドラッグストアなどで売られている急冷用パックを当てて血流を冷やすと効果的だ。

熱中症&害虫予防アイテム:3/3 夏のアウトドアでは虫刺されに十分に注意しよう。あらかじめ虫よけ薬を肌に塗っておくのはもちろんのこと、携帯用虫よけ剤も効果的だ。万が一刺されてしまった際に毒を抜き出す注射器状の応急処置器具「ポイズンリムーバー」なども携帯しておくといいだろう。

時間帯によって変化する海の表情をとらえる

作例 海の色は、真っ青な空の色が海面に映り込むことでその青さに深みが出る。また青い空は太陽を背にした方向の空に出やすい。つまり太陽の逆方向の海が深い青となるのだ。さらに透明で透き通った海の水と白い砂と岩に覆われた海底といった条件がそろえばマリンブルーの海が出現する。そのような海を撮る場合は、高度の高い太陽から降り注がれる日光が海底の白い砂を照らすことで、海底からの反射光が強くなる正午前後を狙うのがポイントとなる。
カメラ:シグマ SD1/焦点距離:20mm/露出モード:マニュアル露出/絞り:F6.3/シャッタースピード:1/250秒/ISO感度:100/WB:太陽光

 夏のアウトドアの代名詞ともいえる海の表情は、太陽の位置と光の方向の変化によって、その印象も大きく変化する。特に太陽が空の高い位置にある場合と水平線の近くの低い位置にある場合とでは海面での日光の反射の仕方が大きく変わってくる。また順光と逆光では海面の色合いが大きく変わることにも注視したい。これらの違いをあらかじめ理解していれば、イメージどおりの写真を撮るためのカメラポジションを選ぶ際の参考になるだろう。

作例 海の輝きと雲の表情をダイナミックに写し込む
海の写真だからといって海面だけを撮っても平坦なつまらない写真になってしまう。特に水平線は空との境界があって初めて存在が示せるのだ。空に浮かぶ雲の表情を見逃さずに撮影しよう。立体感のあるダイナミックな作品にすることができる。
カメラ:オリンパス E-3/焦点距離:14mm/露出モード:絞り優先AE/絞り:F8/シャッタースピード:1/1,000秒/露出補正:+0.3EV/ISO感度:100/WB:太陽光

作例 太陽が映り込むアングルで海面の質感を表現する
夏の水平線から昇る朝の太陽、そして昼間のパワーを残したまま夕方の水平線へと沈みゆく太陽は、力強い日光で海面を黄金色に輝かせる。複雑な海面の動きと海面から顔を出す大きな岩のシルエットが影絵のような独特な雰囲気を醸し出す。カメラのAEを海面の輝きに合わせたことで、光が反射していない海面の明るさは抑えられ、まるで硬い石の板のようにも見える。
カメラ:オリンパス E-3/焦点距離:112mm/露出モード:プログラムAE/絞り:F13/シャッタースピード:1/1,000秒/露出補正:+0.3EV/ISO感度:100/WB:太陽光

作例 山の頂きに登り朝焼けに染まる海を見下ろす
山の頂上など高い位置から海を見下ろすと、その目線の角度から奥行きのある海面が広がる。海の向こうの離れ島越しに空を赤く染める朝焼けが海面に反射することで海が赤く染まった。朝の微小な光の中でも高い画質を得るためにはISO感度は極力抑えたい。そのためにも三脚は忘れずに用意しておこう。
カメラ:オリンパス E-3/焦点距離:101mm/露出モード:マニュアル露出/絞り:F3.5/シャッタースピード:1/8秒/ISO感度:100/WB:太陽光

アウトドア撮影おすすめアイテム ~海編~

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山や高原を歩きながら自然豊かな光景を収める

作例 北海道の広大な土地に広がる牧草地の緑と青い空がとても印象的。草を食む牛たちも思い思いの場所でくつろぐ。近景の牛たちから遠景の山並みまでシャープに見せることで広大さを表現するため、レンズの絞りが絞り込まれるシーンモードの「風景」を選んだ。初心者のユーザーもフルオートばかりで撮影せず、シーンモードなどの機能を生かせば、デジタル一眼カメラの描写をより楽しむことができる。
カメラ:ニコン D5000/焦点距離:18mm/シーンモード:風景/絞り:F10/シャッタースピード:1/400秒/ISO感度:200/WB:オート

 夏の山や高原は生き生きとした草木の緑と抜けるような青空によって、とても気持ちのよい光景となる。広々とした風景は見る者の心を爽快にし、深い青空はどこまでも続く宇宙を連想させる。それをまるごととらえる際には広角レンズを使いたい。そして広角レンズの広がりを生かすためにも空と陸地の配分には注意を払おう。コツとして一例を挙げれば、横位置写真なら陸地を下から1/3~1/2にすると空の割合が大きくなり広がりを感じることができる。また足元の草花などの被写体を見逃さないよう、よく周りを見ながら歩けば、より自然を楽しめるはずだ。

作例 見せたいポイントを中心に明るさを決める
高原に広がる湿地帯。原生植物を保護するために整備された木道を歩いていると強い日差しに汗がにじむ。途中木陰に入り、まばゆい草地に広角レンズを向ける。広い画角が木から延びた枝葉までも画面に収める。カメラ任せの露出では、明るい湿地帯に露出が合ってしまい木陰が真っ暗になってしまう。そこで露出補正をかけて程よく木陰の明るさを調整し、これにより木陰の涼しさが伝わる写真とすることができた。
カメラ:キヤノン EOS 5D Mark III/焦点距離:17mm/露出モード:絞り優先AE/絞り:F11/シャッタースピード:1/80秒/露出補正:+1.3EV/ISO感度:200/WB:太陽光

作例 空と雲海の色を見たままに写し取る
まだ夜も明けぬ暗いうちに2,000m級の山の頂へ向かう。夏だというのに肌寒い空気の中でしばらく待つと、眼下に広がる雲海の向こうから赤銅色の朝日が昇る。太陽から直接届く熱を顔で感じながら望遠レンズを向けシャッターを切る。雲海からその姿を現した太陽は次第に辺り一帯を赤く染め始めた。ホワイトバランスを太陽光に合わせることで太陽の赤さをそのままに、露出モードをマニュアルにして太陽の強烈な明るさに影響されぬように調整しながらシャッターを切り続けた。
カメラ:キヤノン EOS 5D Mark III/焦点距離:220mm/露出モード:マニュアル露出/絞り:F8/シャッタースピード:1/50秒/ISO感度:100/WB:太陽光

アウトドア撮影おすすめアイテム ~山・高原編~

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滝や渓流の流れをとらえて涼感あふれる作品に仕上げる

作例 街から離れて山に囲まれた細い道をしばらく走っていると、突然視界が広がり渓流が現れた。まるで巨石を洗うかのような水の流れは、辺り一帯を水音で満たす。岩肌荒い河原と青く深い空、鮮やかな緑の森を広々とした画角で一緒にとらえることで、自然が持つ荒々しさを夏の爽快感へと変える。
カメラ:ニコン D5000/焦点距離:10mm/シーンモード:風景/絞り:F10/シャッタースピード:1/320秒/ISO感度:200/WB:オート

 山を流れる渓流や滝の水音やしぶきは、連日の暑さをひととき忘れさせてくれる。普段都会に暮らしていると自然の水音を耳にすることは少ないが、クルマや鉄道に乗って平日とは逆方向に少しだけ足を伸ばすだけで、意外なほど早くに水遊びもできる渓流や滝に出会うことができるのだ。その際にはぜひとも持っていきたいのが三脚である。カメラを三脚に据え、ISO感度を低く設定してシャッタースピードを思いきり遅くすれば、流れる水を白く滑らかな流体として撮影することができる。通常肉眼では見ることができない独特な描写のおもしろさから、滝や渓流の撮影にのめり込むカメラユーザーは多い。それだけ魅力のある被写体なのだ。

作例 滝の動感を表現するならNDフィルターが必須
里山を流れる渓流。その先は落差数mの滝へとつながる。長靴を履き、用心して滝のすぐそばまで近づき三脚を立てる。ISO感度を最低感度にまで下げてさらにNDフィルターをレンズに装着。カメラがぶれないように気を付けながら長時間露光すると、水の流れが白いベールのように広がり、普段目にすることがない神秘的な光景をとらえることができる。
カメラ:キヤノン EOS 5D Mark III/焦点距離:24mm/露出モード:絞り優先AE/絞り:F16/シャッタースピード:13秒/露出補正:+1.3EV/ISO感度:50/WB:太陽光

作例 被写体のイメージに合わせた表現を心掛けよう
信仰の対象としてあがめられる山に入り、荒々しい流れの滝と向かい合う。まるで生き物のようにうねり跳ねる圧倒的な水流にしばし心奪われた。カメラを向ける際にもどこか祈りに似た思いが横切る。周囲を満たす清浄かつ清涼な空気を全身で呼吸しながらシャッターを切った。ここでは水量の多い滝の勢いを表現するため、流しすぎず止めすぎず、水の流れる動きと水が跳ね上がる瞬間の両方をとらえることを意識している。
カメラ:オリンパス E-1/焦点距離:14mm/露出モード:プログラムAE/絞り:F3.2/シャッタースピード:1/40秒/ISO感度:200/WB:太陽光

アウトドア撮影おすすめアイテム ~滝・渓流編~

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