写真家・川北茂貴が勧める! 試す! フォトライフ快適化計画

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RAW現像&レタッチのコツと注意点は?

RAW現像やレタッチによって、イメージ通りの写真に仕上げる作業は多くの写真家が実践している。もちろん人それぞれのコツや気にするポイントがあり、同時に注意しなければいけないこともある。それでは、川北氏のRAW現像やレタッチのポイントと注意点を見てみよう。

撮影時に決めることとRAW現像時に決めること

私の夜景写真の作成手法としていちばんの特色を述べるとすれば、それはJPEG撮って出しではなく、すべてRAW現像していること。カメラ内で作成されるJPEG画像を否定するつもりは毛頭ないので誤解しないでいただきたいのだが、RAW現像を行うことでさまざまな設定を細かく指定できるので、より自分好みの作品に仕上げることができるのだ。

そのためには撮影時点で最善を尽くして、現像しやすいRAWデータで記録しなくてはいけない。たとえばピンボケやブレのないシャープな写真を撮ることが大切。ピント合わせはカメラのAF性能が向上したのであまり気にすることはないが、長時間露光中に風や振動などで三脚やカメラが揺れて、ぶれてしまうことがあるので、1カット撮るごとに最大倍率に拡大して確認している。その場で気が付けば撮り直しできるが、帰宅してからでは遅いのだ。

またなるべく明暗部の白飛び、黒つぶれが少なくなるように露出設定を行い、RAW現像時にそれらを描写できるように心掛けている。現像時には記憶している現場の明るさや色合いを正確に再現するのではなく、自分の好みを大いに加えている。たとえばホワイトバランスを変えてみるだけでも、同じ写真でもイメージが大きく変わるのだ。あまりやり過ぎないよう注意は必要だが、報道写真や測定用の写真ではないのでこれでいいのだ。

ホワイトバランス比較

昼光(晴れ) 写真
蛍光灯(温白色) 写真
白熱球 写真

1枚のRAWデータから代表的なホワイトバランスを選んで現像してみたがどれが正解だろうか? 実は3枚とも正解。肉眼で見た色合いはすでに記憶の中のもの。測定ではないので夜景の色合いは柔軟に好みで選んでいいのだ。私は蛍光灯(温白色)が好きかな。
焦点距離:62mm/絞り優先AE/絞り:F11/シャッタースピード:30秒/露出補正:-0.7EV/ISO感度:100

コントラスト強弱

やや軟調(弱める) 写真
超硬調(強める) 写真

夜景写真に限らずコントラストを強くかける人が多いが、夜景の場合は明暗の中にも多くのディテールが含まれているので、強くするとそれらがつぶれてもったいない。もちろんホワイトバランスと同様好みではあるのだが、コントラストを弱めるということも試してみると良いだろう。右の写真ではわかりやすくかなり強めにかけてみたが、タワーの明部や右の反射したガラスの中の模様などがつぶれてしまっている。
焦点距離:24mm/絞り優先AE/絞り:F11/シャッタースピード:2秒/露出補正:-0.7EV/ISO感度:200/WB:蛍光灯(温白色)

部分調整は丁寧に

撮影後の調整はRAW現像だけでなく、ほかにも気になる箇所があれば修正を加えていく。とはいってもこちらはそれほど大きく修正するのではなく、せいぜい構図内の明暗差を整えるぐらいだろうか。これはあくまでも見栄えを良くするためのものなので、修正が分かってしまうと失敗。修正箇所の選択範囲のボカシを大きくし、修正されたとは気付かれないように自然な感じにするのがコツだ。後から自分で見て、どこを修正したのかわからないぐらいが成功といえる。

部分調整

Before 写真
After 写真

ライトアップされた手前の明るい建物に露出を合わせたため、奥の高層ビル群が暗くなってしまった。そこでPhotoshopで、奥の高層ビル群と夜空だけを選択し、明るく画像処理を施す。選択範囲はぼかしを大きくし、境目が目立たないようにした。
焦点距離:24mm/絞り優先AE/絞り:F11/シャッタースピード:6秒/ISO感度:200/WB:蛍光灯(温白色)