ハイキー・ローキーフォトコンテスト ローキー部門 選者:茂手木秀行 先生

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小宇宙
カメラ:ニコン D90  レンズ:タムロン SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1  撮影地:滋賀県草津市立 水生植物公園みずの森

 入賞

小宇宙
作者:まーくんさん (滋賀県)

渋めの色合いがおしゃれな作品ですね。いちばん目につく花びらを右へ置き、左を大きくあけたことで浮遊感がでました。心が漂泊するような、すこし頼りなげな浮遊感が色み、トーンとマッチしています。小さなつぼみは星のようにも見え、宇宙のボイド(空洞)を連想させる立体感を生み出しました。重くなるはずのローキーなのに、儚げな世界観を描出できました。

 佳作

LINE&RING
作者:帆印さん (静岡県)

暗いなかに女性の足と手。なんともエロティックですね。大きく右側に空間があけたことがかえって空気感を感じさせます。この女性はどんなポーズなのか、どういう状況なのか、想像をかき立てられます。暗くトーンを抑えることで、右側の空虚な空間のなかに手と足が浮くようにも感じられ、情報が少ないことで誘(いざな)われる空想とで、見たもの、見るもののあいだに共有の心象が生まれるのです。

 佳作

沈殿池
作者:Lolomoさん (神奈川県・39歳)

これは、正真正銘のローキーフォトといえます
ね! 手前の金網は閉塞感や行き詰まり感を表し、その向こうにある古びた水門や水面の広さが、閉塞した状況から違う状況を求める心なのだと思います。ローキーではこのようにダウナー系の心象風景が基本といえますが、人間とは不思議なもので、この写真を撮りながら、作者は泣いていたのでしょうか。いえ、けっしてそんなことはなく、とても楽しんでいたに違いありません。

隧道 
カメラ:フジフイルム FinePix F31fd  レンズ:N/A 

 佳作

隧道 
作者:taikaさん (神奈川県・59歳)

暗闇にぽっと浮かぶ四角。とても目を引く作品です。暗いなか、淡々と目標に向かって歩く生き方を表すような心象です。奥のトーンも抑えられ、光の印象は弱いのですが、そのことがかえって、写真全体にしっとりとした印象を与えています。左の壁にきちんとトーンを作ったことと、右側に垂れ下がったツタが奥行き感も強調し、静かでありながらも明るい希望を感じるいい作品です。

 佳作

ローキーMINI.jpg
作者:COBAさん

ローキーとハイコントラストの組み合わせで真っ赤なミニがさらに印象的です。ヌメヌメとした金属感がなまめかしく、クルマのボディラインの魅力をうまく引き出しました。赤いミニが左に寄りすぎていることは、「いい構図」ではないかもしれませんが、そのことはオフビートな感じで、スナップ的であり悪くありません。ふと街中で見かけた赤いクルマの印象を心のなかでかみ砕き、色の印象を抽出したという感じです。

 佳作

little Sun
作者:lenojioさん

むっちりと濃い色作りが印象的な作品です。晴天下で撮ったひまわりでしょうか。思い切ってトーンを抑え、色に濁りを加えたことで、なんとも不思議なひまわりを作り出しています。まるで、プラスチックの作り物のよう。「きれいだなあ」と漫然とシャッターを切るのではない、「自分はこのように見た」という作者の意図が感じられます。一歩進んだ写真の楽しみ方です。

 佳作

儚い命
作者:bigbuild190さん (沖縄県・36歳)

寒そうですね〜。寒さでドライフラワーになってしまった花が落ちた瞬間でしょうか。生命の終焉(しゅうえん)であり、寒さも感じるのですが不思議とさびしい写真ではありません。廃墟写真にも感じるような「滅びの美学」なのかも知れませんね。濁った色と花びらのディテールがほのかに生命感を残し、いのちの回生さえ感じさせるからでしょう。見る者の心によって意味合いがいろいろ変わるよい作品です。

 佳作

1時間1本
作者:KuriyaNさん

闇をつんざく直線の銀鱗(ぎんりん)。デザイン的で目に止まる作品です。黒のなかにも、つぶしすぎることなくディテールを残し、その一角に直線である電車を配したのは、なかなかに格好いいですね。電車のラインがもっと水平になるようにほんの少しトリミングするとさらにいいでしょう。ローキーでも勢いのあるいい作品です。

 佳作

椿の花を落とさぬほどに
作者:border.さん (40歳)

こんなプライベートな瞬間をのぞき見る。カメラってエロですねえ。明るい部分にある枕やシーツの寝乱れたシワが一人称であることを物語り、作者自身の体験であることを伝え、私小説的です。ローキートーンが夜であることを伝え、女性を具体的な個人として見せないことで、見るものが代理体験できる余地を残しています。写真を見るという行為は、撮影したものの人生を追体験することでもあるのです。

 佳作

流れ着いた秋
作者:オーパさん (宮城県・66歳)

この作品は厳密にはローキーとはいえないのですが、光のとらえ方がうまいですね。ふと差し込んだ光の美しさをとらえています。もっと思い切って、アンダーにしてみましょう。するとさらに差し込んだ光の存在だけが強調されて、心象的な風景になります。そのとき、暗くなることで画面の構成要素が変わるので、フレーミングも変わってきます。もっと、左に振る、縦位置にする、正方形にトリミングするなどの選択肢もあります。

 佳作

彼岸、向う。
作者:nakatakechさん

これはまたなんとも、ものすごい風景ですね。鬱蒼(うっそう)とした森の下に真っ赤な花の群生。緑色と赤色は補色関係なので色の対比自体が強い印象を与えます。ひまわりの写真でもそうなのですが、トーンを落としぎみにしたほうが、彩度を上げてもトーンが維持されるので、濃い色作りができます。カメラの色域は平面ではなく氷山のような形をした立体であり、中央の部分、つまり中間調でもっとも色域が広がるのです。そのため、ローキーにする方が色の濃い印象の作品を作りやすいのです。

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