写真が絶対うまくなる2つのルール Powered by Nikon College 特別補講 第1回

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中井精也先生の人気講座がGANREFで特別開講! 写真が絶対うまくなる2つのルール Powered by Nikon College

特別補講 第1回

人気講座がならぶニコンの写真教室「ニコン カレッジ」のなかでも、あっというまに予約で埋まるのが中井精也さんの講座だ。中井さんのソフトな語り口、穏やかな人柄もさることながら、人気の秘密はその内容。写真はなにによって構成されているのか、というそもそもの話から、イメージどおりに作品を撮るための機能、さらには撮影現場での実践テクニックまで網羅されているのだ。GANREFでは、2009年12月に特別講座を実施したが、場所や時間の問題で、受講したいけれど受講できなかった人も多かったのではないだろうか。そこで、「写真が絶対うまくなる2つのルール Powered by Nikon College 特別補講」として教室の内容をGANREFで特別に公開する。座学と実践のふたつの面から、鉄道写真にとどまらない、上手な写真の撮り方を学んでいこう。

※本記事は「デジタルカメラマガジン2010年1月号」に掲載されたものです

本企画についての詳細はこちら
GANREFメンバーが参加した特別講座の模様は、こちらをご覧ください。

ニコン カレッジとは?
ニコンが運営する写真教室。写真を基礎から学びたい人から、よりクリエイティブな写真を撮りたい人、あるいはカメラをもっと使いこなしたい人を対象に、レベルや目的に合わせたさまざまな講座を用意している。
http://www.nikon-image.com/jpn/activity/nikoncollege/
講師ご紹介
中井精也 中井精也
1967年東京生まれ。東京ビジュアルアーツを経て鉄道写真家の真島満秀氏に師事。独立後、2000年に山﨑友也氏と有限会社レイルマンフォトオフィスを設立、現在に至る。従来の鉄道写真の常識にとらわれない作風で、鉄道愛好家以外にもファンが多い。エントリークラスのレンズキットから、プロ機材まで、カメラの使いこなしにも定評がある。甘党。

構図のキモは、主題と副題なのだ。

第1回は構図がテーマ。写真のそもそもの考え方から、撮影現場での構図決定まで詳しく解説します。

なにをどう撮るかが重要。主題と副題をバランスよく

 もしあなたが自分の写真を、いまひとつピリっとしないと感じているなら、「なにを、どう撮るか?」を意識しながら撮影することをオススメします。なにを当たり前のことを……なんて思われるかもしれませんが、意外にもそれを意識せず、漫然と撮影している人が多くいらっしゃいます。
 ここでの「なにを」は、その写真の「主題」と「副題」がなにかを意識することを意味します。メインで強調したいものが主題、それの補足となるものが副題です。たとえば風景写真のように画面内に要素が複数ある場合は、そのなかの主題と副題を決め、それらをバランスよく配置することが重要。バランスが悪くなるようなら、どんなに魅力的な被写体でも画面から外す勇気が必要です。「構図は引き算」と昔からいわれるのは、まさにそのことなのです。

ポイント
写真は「なにを(主題/副題)」「どう撮るか(表現方法)」が重要
主題と副題のバランスをとると構図が上達する!

構図ドリルでトレーニング!

これは僕が開発した、構図を学ぶためのドリルです。画面内の主題と副題を自由に組み合わせたり、動かしたりすることで、それぞれのバランスに注意しつつ、これだ!という組み合わせを学ぶことができます。

主題と副題を意識しよう

たとえば、下の例は主題が列車、副題が青空と地面となっています。青空と列車、というシンプルな例からスタートしていますが、主題と副題の関係がわかりましたでしょうか。このうえに、写真の魅力的な要素をプラスしていき、そのなかでベストな構図を探します。

作例
主題:列車
この画面の主人公です。ですが、必ずしもアップで撮る必要はなくて、空を入れて空気感をプラスしたほうが、のんびりした雰囲気が伝わるはずです
副題:青空
副題のメインになります。どれぐらい画面に入れるかがポイント。広く入れると空気感が出ますが、列車が小さくなりすぎないようにしたいです
副題:地面
空を副題のメインにしたため、地面の占める面積は狭くなりました。ですが、この地面がナノハナ畑に変わったら? 空によい雲が現れたら? それぞれに構図は変化します

トレーニング1 雲と列車の関係は?

列車の位置を先に決めましょう!

空を大きく取り入れてさわやかさを強調 ○空を大きく取り入れてさわやかさを強調
表情の乏しかった空に雲が追加されました。こうなると空を大きく入れるのは決定的。あとは列車の大きさと位置を決めるだけです。右下で解説するレイルマン比率にしたがって列車を配置しましょう

空の高さを強調して雲の存在感をアップ ◎空の高さを強調して雲の存在感をアップ
これも副題のメインは雲ですが、ヨコ位置では空の広さが、タテ位置では空の高さを表現することができます。この場合も、まずは列車の位置を決めてから、空の入れぐあいを決めましょう

主題と副題が中途半端 ×主題と副題が中途半端
慣れていないと動くものを画面の真ん中で追ってしまい、主題が中央にくる「日の丸構図」になりがち。三脚を使って、列車がくる前にしっかりした構図を作っておきましょう

トレーニング2 ナノハナをどこまで入れる?

多く入れればよい、わけではありません

青空が少なくてさわやかさがダウン △青空が少なくてさわやかさがダウン
さえない畑が輝くナノハナ畑に変身! こうなると青空とナノハナのどちらを優先するか悩ましくなります。ナノハナを大きく入れたこの写真も悪くはないのですが、空の青い部分が少なくてイマイチです

すべての要素が均等でメリハリがない ×すべての要素が均等でメリハリがない
青空とナノハナというふたつの副題のどちらを優先するか決められず、画面を2分してしまいました。列車が真ん中に来ることで、全体のバランスが悪く、引き締まりません。構図の決定には、決断力が大事なのです

ナノハナは少ないけど存在感が十分 ◎ナノハナは少ないけど存在感が十分
こちらは青空をメインに考え、ナノハナは大部分をカット。それでも、ナノハナ畑の広々とした感じは失われていません。広く見えるような構図が重要。「構図は引き算」というのは、つまりこういうくふうです

列車をぼかしてナノハナをさらに強調 ◎列車をぼかしてナノハナをさらに強調
これはナノハナを主題にしたもの。鉄道写真なのですが、列車は副題としてアウトフォーカスにしています。主題を意識することで、ピントをおく位置や、露出の設定なども変わります。詳しくは次回に解説します。

トレーニング3 富士山が入ると?

副題としては最大級。山の形に注意です!

列車と富士山を対角線に配置 ◎列車と富士山を対角線に配置
いきなり富士山が登場〜! 副題のメインは文句なく、富士山です。まずはレイルマン比率をもとに列車の位置を決めて、対角線上に富士山が来るようにします。そうすれば、画面左右の重点のバランスがとれます

画面の右側だけ重い例 一両なのでまだマシ ×画面の右側だけ重い例 一両なのでまだマシ
列車と富士山が両方とも右側にあるため、画面の右側だけが重くなってしまいました。列車が一両なのでまだいいのですが、新幹線のような長大編成に置き換えると、よりバランスの大事さがわかると思います

対角線に配置したが富士山の形がイマイチ △対角線に配置したが富士山の形がイマイチ
基本をきちんとおさえた構図ですが、バランスが悪い。それは右上にある富士山の宝永火口の盛り上がりによって、わずかに右側が重くなっているからです。構図作りには、繊細なバランス感覚が要求されるのです

チェック! 三分割法とレイルマン比率

三分割法
三分割法 三分割法 画面の縦・横それぞれの辺を3分割する線を引き、その交点に主題を置くという考え方。写真でも絵画でも昔から構図の基本とされています
レイルマン比率
レイルマン比率 レイルマン比率 画面を縦に4分割した線と、対角線の交点から中心を除いた4点に主題を置く方法。鉄道写真の場合はこれを参考に主題と副題を配置しましょう

重要なのはバランスです!

 何度も「バランス」という言葉が出てきましたが、構図を作るうえでいちばん大切なのは、やっぱりバランス。主題と副題を整理し、それをバランスよく配置することから、構図作りははじまります。次ページでは、リアルな撮影地での実践編をお見せします。

構図のルールを復習したい方に最適!

「写真が絶対うまくなる 構図のルール」画面 中井先生の解説を復習したい方に最適なテキストを用意しました。中井先生の解説に沿って進めていくと、構図について学ぶことができます。ぜひ活用してみてください!

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