写真が絶対うまくなる2つのルール Powered by Nikon College 特別補講 第2回

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中井精也先生の人気講座がGANREFで特別開講! 写真が絶対うまくなる2つのルール Powered by Nikon College

特別補講 第2回

実際に撮影してみよう

「どう撮るか」を変えるテクニックを学んだら、今回も撮影現場で実践です。訪れたのは我が家の近所にある公園。すっかり冬景色となっていますが、幸いお天気はピーカン晴れ。この公園でお昼から夕方まで、いろいろな写真を撮ってみます。

今回の撮影場所は埼玉県越谷市の出羽公園です!

 ブログ「1日1鉄!」では「いつもの公園」としてよく登場するこの公園。毎回もう撮るものはないだろうと思っても、なにか作品を生み出せる宝島のような公園なのです。じつは今回も新しい発見がありました。さっそく、実践テクニックをご紹介します!

作例

今回は出羽公園とその周辺の約200m四方に限定して撮影しました。あいにくイチョウの木の葉も落ち、季節的にはあまり撮影向きではありませんでした。また、朝の光を使おうとすると、画面の外にある大きな鉄塔がジャマをします。この、なんの変哲もない公園と特徴のない武蔵野線の通勤電車が、どんな作品を生み出してくれるのか? 乞うご期待です!

A. 光を変えて劇的に撮る!

順光は正確さを、逆光は劇的さをねらう

 「どう撮るか?」を意識すると撮影する場所も決まってきます。たとえば電車を「正確に撮る」と決めたら順光側で撮影しますし、「ドラマチックに撮る」と決めたら、逆光側にいくほうがよいでしょう。目指す作品により、撮影前の行動そのものが変わるのです。

  • 順光 順光
    順光では青空も列車の色も正確に再現されていますが、おもしろみには欠けます。ほぼ同時刻に、線路をはさんだ場所から撮影した右の写真と比較してください
  • 逆光 逆光
    「どう撮るか?」を「ドラマチックに撮る」と決めて逆光になる場所を選び、太陽を画面に入れました。同じ場所とは思えないような、ドラマチックな表現になりました
ここがポイント! 太陽に合わせて撮る位置を変える
太陽に合わせて撮る位置を変える 太陽に合わせて撮る位置を変える リンゴの場合は好きな場所に置けば光線が変えられますが、風景写真などの場合は自分が動く必要があります。時間ごとの太陽の動きを計算して、光線を予測して移動しましょう

B. 露出を変えてゆるく/重く撮る!

ハイキーはふんわりやわらか、ローキーはどっしりギラリ

 下のハイキーとローキーは、じつはほぼ同じ位置で撮影しました。ハイキーはお昼過ぎ、ローキーは夕方ごろと、時間帯と光線を選んで露出を変えただけで、まったく印象の違う写真になっています。明るさだけではなく、芝生や空の入れ方、カメラの高さなども変えて、写真を演出しているのにも注目です。

  • ハイキー ハイキー
    電車を「ゆるく撮る」と決めて、+1EV露出補正しました。露出オーバーになると飛んでしまう空の上部をカットし、芝生の緑を入れることで、やさしい印象に仕上げてみました
  • ローキー ローキー
    電車の側面に太陽が反射していたので、-2EV露出補正して撮影。電車がいない状態で撮影すると、ほとんど真っ暗です。電車がギラリと光ることで重々しさを表現しました
ここがポイント! 露出補正で手軽に作る
露出補正で手軽に作る ハイキー、ローキーはカメラのAEと露出補正ボタンを使ってコントロールするとわかりやすいでしょう。ローキー側には-2〜-3EV、ハイキー側には+1〜+2EVくらいが目安です。極端に変える場合は、やはりRAWで撮影しておいたほうが安全です
僕のおすすめレンズ AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8G
今回ハイキー作品で威力を発揮してくれたのが「AF-S DX NIKKOR 35mmF1.8G」です。単焦点レンズならではの明るい開放F値が生み出すやさしいぼけ味が、作品にやわらかな印象をプラスしてくれました

C. 色を変えて現場の光を強調する!

ホワイトバランスで劇的変化! 現場の色を強調しよう

 ホワイトバランスはつねにオートという人が多いと思いますが、ぜひシーンに合わせてフィルター代わりに使ってほしいところです。フィルムカメラで撮影する場合、フィルターを入れると露出も暗くなってしまいますが、デジタルカメラでホワイトバランスを変更しても露出は変わりません。RAW現像の際にも変更できますが、強調したい光がある、撮影現場で行うのがいちばんです。

  • ブルー ブルー
    本来は逆光と合わせて使いたい[電球]ですが、ここではあえて順光で使ってみました。青空と青い貨物列車のように、もともと青い被写体をさらに強調することができます
  • アンバー アンバー
    僕は朝夕の逆光、半逆光の際にはほとんどこの色を使っています。ホワイトバランスは[晴天日陰]にするのがコツ。ローキーとの相性もよく、夕日の色を自然に強調できます
  • マゼンタ マゼンタ
    ホワイトバランスの微調整機能を使って、マゼンタを最大値まで高く設定し、夕暮れの赤色を強調しました。さらにアンバーも足すと、より印象的な色になります
ここがポイント! ホワイトバランス微調整でグレートな色に
ホワイトバランス微調整でグレートな色に 撮影メニューの[ホワイトバランス]各モードから右に進むと微調整画面になります。色の調整をアンバーとブルー、グリーンとマゼンタのふたつの方向で調整することができます

D. 仕上がりで全体の雰囲気を変える!

それぞれの特性を理解しよう

 ピクチャーコントロールを使って、より自分好みの色調に仕上げることができます。とくに使えるのは青空をよりキレイに見せる[ビビッド]と、イメージを一変させる[モノクローム]。作例はどちらも大胆な構図で攻めてみました。それぞれの特性をつかんで、ぜひ試してみてください。

  • ビビッド ビビッド
    青空をより鮮やかにする[ビビッド]は僕の大のお気に入り。カメラを縦位置に構え、列車を画面の下のほうに配置して大胆な構図に仕上げました
  • モノクローム モノクローム
    なんの変哲もない風景を、作品に変える魔法のモード。ここではさらに微調整を加え、コントラストを高くして、非日常的な雰囲気をねらいました
ここがポイント! パラメーター変更で効果アップ
パラメーター変更で効果アップ それぞれのピクチャーコントロールの[輪郭強調][コントラスト]などの各パラメーターは、自分好みに微調整が可能。カスタムピクチャーコントロールとして保存、選択することもできます

テクニックを組み合わせよう

 今回は僕のホームグラウンドでさまざまな作品をねらいました。どこにでもあるような公園でも、フツーの通勤電車でも、「どう撮るか?」を意識すれば、作品に仕上げることができるのです。
 作例ではわかりやすく解説するために、できるだけトレーニング編で解説した4つのテクニックのうち、ひとつだけを使いました。ここからさらに、シャッター速度を遅くして流し撮りをしたり、ピントを浅くして前ぼけを入れたり、4つのテクニックを組み合わせて撮影することで、さらに多くのバリエーションで作品を生み出すことも可能です。無限の組み合わせのなかからどれを選ぶかはむずかしい選択ですが、それこそが写真の楽しさなのかもしれません。

特別補講は今回で終了です。「デジタルカメラマガジン2010年3月号」(2010年2月20日発売)では、スペシャルテクニックについてお話ししますので、ぜひご覧ください!

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