GANREF特別企画 アイソン彗星撮影術&おすすめアイテム

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GANREF特別企画 アイソン彗星撮影術&おすすめアイテム

レポート:飯島 裕

おすすめアイテムコレクション~TOAST TECHNOLOGY編~

星が東から西へと巡るスピードは意外と速い。そこで、来るアイソン彗星の一期一会をしっかりはっきりと撮影したいとなると、どうしてもその日周運動を追尾してくれる赤道儀が欲しくなる。赤道儀も最近ではさまざまな機種が発売されているが、なかでも、スタイリッシュなデザインだけではなく、その実力でも人気を得ているモバイル赤道儀が「TOAST-Pro」だ。そのメーカーであるTOAST TECHNOLOGYでは「TOAST-Pro」の販売を終了、このたび新しく「TP-2」を発表したので特徴を見ていこう。

TOAST TECHNOLOGY
モバイル赤道儀「TP-2」

メーカー希望小売価格:オープン価格

一眼レフカメラに対応した「モバイル赤道儀」
大好評モデルが一新されて11月に発売開始!

 赤道儀とは、そもそも日周運動を追尾する架台に搭載された天体望遠鏡一式、あるいはその架台そのもののことで、本来は、地球の自転軸(地軸)と平行に据えて逆回転させることによって地球の自転をキャンセルする軸(極軸・赤経軸)と、それに直交する軸(赤緯軸)の2軸を備えていて、望遠鏡を空のどこにでも向けられる仕組みになっている装置だ。
 そのうち極軸だけを取り出してコンパクトに作り、カメラを搭載して星空撮影することに特化したものを一般に「ポータブル赤道儀」と呼んでいる。TOAST TECHNOLOGYにおける「モバイル赤道儀」だ。
 従来の「TOAST-Pro」では、恒星に同期して回転する星野撮影モードと、地上風景の流れを抑える1/2速の星景撮影モードの2スピードの搭載だったが、「TP-2」では一気に10種類もの駆動モードが搭載された。モバイル赤道儀が星空の撮影だけではなく、広くタイムラプスムービーなどの撮影にも応用されてきたためである。
 外見上は駆動モード選択スイッチ以外あまり変わっていないように見えるが、ほかにもさまざまな点がグレードアップされている。そのうちのひとつが電源関係。昇圧回路が搭載されて従来機よりも低い電圧でも十分な駆動トルクが得られるようになった。安価な大容量USB-5ボルトリチウムイオンバッテリーにも対応。また、アルカリ単3形電池よりも電圧の低い「エネループ」などの充電式ニッケル水素電池でも、容量いっぱいまで安定した駆動ができるとのことだ。電池交換の目安になる電圧低下警告ランプも採用されている。
 さらに駆動メカも改良された。直径83.5mmのウォームホイールの歯形を変更し、対加重性能と追尾の安定性の向上が図られている。

撮影風景

「TP-2」のシンプルで美しい外観は「TOAST-Pro」譲り。日本の緯度に合わせて35°の傾斜を持たせた底面が、卓越した安定性と高剛性を実現している。写真はオプションのパンベース・クランプユニットを装着したところ。アルカスイス規格のプレートに対応していて、ジンバルヘッドやパノラマ撮影用パーツの使用ができる。

撮影風景

「TP-2」に70-200mm F2.8望遠ズームレンズ装着の一眼レフカメラを搭載。アイソン彗星のクローズアップを狙うのにおすすめだ。望遠での撮影は極軸をなるべく正確に合わせよう。そのための「TP-2」にはポーラーファインダー(4倍の極軸望遠鏡)がオプションで用意されている。「TP-2」と三脚の間に見えるパーツは、精密な極軸合わせのための専用微動架台「Dish-2」だ。

撮影風景

新設された駆動モード選択のロータリースイッチ。星・月・太陽追尾モードのほか、1/2速の星景撮影モード、10°/1hから360°/1hまで10段階のタイムラプスムービー撮影モードで、動画表現の可能性が大幅に広がった。10°/1hは日周運動の2/3速に当たり、星のぶれを少なくした星景撮影モードとしての利用も可能だ。ロータリースイッチの下に見えるLEDランプは、通常グリーンに点灯。電圧低下を赤の点滅で知らせてくれる。

作例

「オリオンの三つ星と大星雲M42」 オリオン座の三つ星の下方に肉眼でも見える大星雲M42がある。大きく明るく写っている星雲がそれだ。M42のすぐ上にはM43、三つ星左端のζ星に隣接した暗黒帯が横切る散光星雲はNGC2024、ζ星下の赤い星雲には有名な暗黒星雲「馬頭星雲」が見える。画面下半分がうっすらと赤いのも、この辺り一帯に広がった星間ガスの光だ。

カメラ:キヤノン EOS 70D/レンズ:キヤノン EF70-200mm F2.8L IS II USM(焦点距離:155mm)/露出モード:マニュアル/絞り:F2.8/シャッタースピード:3分/ISO感度:1600/TP-2で追尾撮影

作例

「カシオペア座の天の川とアンドロメダ銀河」 画面中央を上下に流れているのが秋の天の川。中央にW字が縦になったカシオペア座が見えている。追尾撮影したため星がシャープに写し止められ、画像を拡大してみると、きめ細かな天の川の微光星にいくつもの散開星団を見つけることができる。カシオペア座の左に見える楕円形の光がアンドロメダ銀河M31だ。

カメラ:キヤノン EOS 6D/レンズ:キヤノン EF24-70mm F2.8L II USM(焦点距離:24mm)/露出モード:マニュアル/絞り:F2.8/シャッタースピード:60秒/ISO感度:3200/TP-2で追尾撮影

TP-2 Time Lapse Mode「tracking the Orion」

TP-2 Time Lapse Mode「Nobeyama」

TP-2
形式
名称 TP-2
型式 マルチファンクショナル・ターンテーブル
方式 ビッグウオームホイール方式
モーター 超小型高精度ステッピングモーター
大きさ・質量
本体寸法 幅:104mm×高さ:43mm(最薄部29mm)×奥行き:180mm ※本体のみ
本体質量 約1.3kg ※本体のみ(ステージを含まず)
カラー ブラッドオレンジ(濃赤色)
※モニターなどご利用の環境により、実際の色とは異なる場合がありますので、ご了承ください
電源
外部電源電圧 DC5V-12V
動作温度 0℃~40℃
駆動時間 7時間~10時間(20℃)※単三型アルカリ電池4本使用時
※使用する撮影モードにより駆動時間は異なります
ウオームホイール
歯数 150歯
直径 83.5mm
ピリオディックモーション ±7″角以下
Pモーション周期 約9分35秒
撮影モード
天体撮影モード 星野撮影モード(キングスレート)、月撮影モード(平均月時)、太陽撮影モード(平均太陽時)、北半球駆動モード、南半球駆動モード
星景撮影モード 0.5倍速および10゚/hを使用可能
タイムラプスムービー撮影モード 10゚/h、30゚/h、60゚/h、90゚/h、180゚/h、360゚/h
※正転逆転切り替え可能
本体極軸調整
Polar Alignment Hole(本体極軸調整穴) 実視界約5゚
※焦点距離100mmレンズを4分追尾可能(肉眼誤差1度以内に調整した場合)
ポーラファインダー
4倍 実視野12゚暗視野照明装置(南北天共用)
※焦点距離300mmレンズを追尾可能
標準セット内容
本体、電池BOX、電源ケーブル、取扱説明書、保証書、ユーザー登録書
オプション
暗視野照明装置付きポーラファインダー(取付ステー&脱落防止リング付) 極軸合わせ専用微動架台「Dish-2」、タイムラプスアダプタ「Dish-25」
価格
オープン価格