執筆:武石修
BenQから、プロ・ハイアマチュア向けの32型4K対応カラーマネジメントモニター「SW321C」が登場する。発売は6月上旬で価格はオープンプライス。店頭予想価格は税込25万円前後の見込み。
SW321Cは、プロの世界では標準的といわれる30型オーバーの写真・動画編集モニターだ。大画面に加えて4K(UHD)解像度に対応しているため、27型以下のモニターに比べてグラフィックソフトや動画編集ソフトの細かいインターフェースも操作がしやすく、作業効率の向上が見込める。 また画面の映り込みが極限まで抑えられている。
このクラスとしては価格を抑えているのも特徴で、コストパフォーマンスの高さもSW321Cの大きな売りとなっている。
写真編集に適したカラーマネジメントモニター「BenQ SW321C」の詳細を見ていこう。
SW321Cは同社の写真・動画編集向けとなる「SW」シリーズの最上位モデルとなっており、正確な色再現を同社が保証する「AQCOLOR」に対応している。
AQCOLORでは、常に最適な色表現を可能にするため色再現に優れる液晶パネル(IPSタイプ)を厳選して採用するほか、正しい色を表示するために最適なハードウェアキャリブレーションを採用している。工場出荷時には1台ごとに、ガンマ補正、色温度調整、色域補正を行っている。特に注目は、ユニフォミティ補正も行うことで画面全体の色ムラや輝度ムラが抑えられていることだ。
製品に同梱されている工場キャリブレーションレポートは、業界基準に準拠する厳格な発色試験に合格していることを保証しており、また購入後のアフターサービスも充実している。
[1]AdobeRGB 99%, DCI-P3 95%,Display P3 95%
[2]32インチ大画面で実現した均一なユニフォミティ
[3]ハードウェアキャリブレーション対応
[4]HDR10/HLG再生、1080/24Pサポート
[5]Panton認証、CalMAN認証取得
[6]60W充電可能USB Type-C端子
写真・動画編集モニターを謳うため、色再現性にもこだわった。色域はAdobeRGBカバー率99%のため、AdobeRGBをほぼ忠実に再現可能。ちなみにsRGBは100%カバーとなる。また、映画用の色域であるDCI-3Pも最大95%がカバーされる。
液晶パネルは10bitパネルを採用。従来の8bitパネルに対して64倍の色再現が可能となる。加えて、入力信号を内部で16bit処理することで、滑らかなグラデーション表示が可能になるとしている。
ピクチャーバイピクチャー機能も搭載しており、同じ画像を異なる設定で並べて表示可能。一例としてAdobeRGBで編集しながらsRGBでどのように見えるのかを確認できる。
また、カラー画像を一時的にモノクロ表示できる機能もあり、編集前にモノクロに合った写真を選ぶことが可能となっている。
SWシリーズではおなじみとなったホットキーパックが付属。ダイヤル付きのコントローラーとなっており、色域やモノクロモードを簡単に切り替えられる。またモニターのOSD(メニュー表示)もホットキーパックで素早く設定できる。
ユーザーによるキャリブレーションは、モニター自体で補正が行えるハードウェアキャリブレーションに対応。グラフィックカードの出力を調整するソフトウェアキャリブレーションと異なり、ディスプレイ側で補正するため階調表現に優れる方式だ。
キャリブレーションに使うソフトは同社が無償で提供する。測色器はX-Riteのi1 DisplayProなどの市販品が利用できる。
動画におけるHDR表示の規格「HDR10」および「HLG」にも対応した。HDR10はパッケージメディアや動画配信などで使われる一方、HLGは4K/8K放送やデジタルカメラなどが利用している方式となっている。
例えばHDRの動画制作において、対応機器と組み合わせてHDMI経由でHLG信号をカメラから入力し、そのまま表示することが可能となる。
また、24Hz出力に対応したグラフィックカードを使用すれば、フルHDの24p再生が可能。24pを正確に表示できるため、プロの現場用モニターとしての採用などを見込む。
印刷業界で使われるPantone認証と、放送業界で使われるCALMAN認証を取得している。おのおの対応製品と組み合わせたワークフローを実現できる。
インターフェースにはHDMIやDisplayPortのほか、USB Type-C端子も備えている。USB Type-Cを使えば1本のケーブルで映像信号とデータ信号を転送可能。そのためキャリブレーション時も1本のケーブルで対応できる。
加えて、このUSB Type-C端子は60Wまでの給電にも対応している。対応しているノートPCであれば、給電しながらSW321Cを外部ディスプレイとして使えてスマートだ。
取り外し可能な遮光フードが付属する。モニターが縦位置でも使用可能なほか、測色器を設置するために天板だけを取り外せる仕様となっている。