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[GANREF特別企画]写真家・中野耕志に聞く “瞬間”をとらえるための双眼鏡の重要性
Featuring Nikon MONARCH HG

双眼鏡は、野鳥撮影においてなくてはならないモノの1つであると中野氏は語る。それは撮影はもちろん、野鳥保護の観点からも重要なのだという。今回は、双眼鏡の重要性、選び方や正しい使い方を解説するとともに、ニコン「MONARCH HG」シリーズの30mm口径モデルのレビューをお届けする。
[執筆・作例:中野耕志/人物撮影:加藤丈博]

ニコン MONARCH HG
ニコン MONARCH HG
8×30/10×30

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中野耕志中野耕志(なかの こうじ)
1972年生まれ。野鳥や飛行機の撮影を得意とし、広告や雑誌等に作品を発表する。「Birdscape~鳥のいる風景」「Jetscape~飛行機の飛ぶ風景」を二大テーマに、国内外を飛び回る。著書に『デジタルカメラによる野鳥の撮影テクニック』(誠文堂新光社)、『デジタルカメラ飛行機撮影術』(アストロアーツ)などがある。

野鳥撮影で双眼鏡が必要な2つの理由

野鳥撮影になくてはならないモノ。それはカメラとレンズと双眼鏡である。

なぜ双眼鏡が必要なのか。理由は2つある。1つ目の理由は対象種の識別にある。野鳥は季節によって見られる種類が異なるのはもちろん、同じ種類でも雄雌や年齢、夏羽や冬羽というように季節によっても羽衣が変わるので、観察条件によっては識別が難しい場合もある。目の前の野鳥を正しく識別することはとても重要であり、優れた野鳥撮影者は例外なく良い双眼鏡を使っている。

双眼鏡が必要な2つ目の理由は野鳥の行動をつぶさに観察することにある。野鳥の動きを先読みし、たとえば野鳥が飛び立つ予備動作を観察できればシャッターチャンスを予期することができるし、あらかじめ画が見えればカメラの設定を詰めたり構図を追い込むのにも役立つ。

また、野鳥の表情が読み取れれば緊張しているのかリラックスしているのかということもわかる。もし相手が緊張していればストレスを与えないようその場を離れるなどの対処ができる。特にカメラ好きの延長で野鳥写真を楽しむ人のなかには、野鳥観察の経験を経ずに情報を頼りに動いてしまい、ほとんど周りが見えていないケースがある。結果として野鳥にストレスを与えて営巣放棄させてしまうなどの問題があるのだ。

  • 双眼鏡で野鳥の動きや表情を読むことが重要。撮影することばかりを考えるのではなく、野鳥観察を楽しむことが、先読みする力の向上にもつながるはずだ。

  • コガモのメスが大きく羽ばたいた。日頃の観察を通じて「カモ類は水浴び後の仕上げに羽ばたく」ということを知っていれば、水浴びをしている個体に狙いを定めてこのようなダイナミックなシーンを撮影することも可能だ。

野鳥写真を始めたばかりの人は、双眼鏡を使わずともカメラの超望遠レンズで観察できると思われるかもしれない。しかし良い双眼鏡を覗いたときに感じる像の立体感や野鳥の生命感は、ファインダースクリーン越しに見る平面な像とは比べものにならない。双眼鏡で見ているシーンに感動して、写真に撮るのがもったいないとさえ思うことも少なくない。ミラーレスカメラが普及するであろう今後においては、生の光学ファインダー像ですらない電子ビューファインダー像を見ることになるため、ますます双眼鏡の必要性は高まるだろう。

フィールドで使う双眼鏡の選び方

良い双眼鏡の条件は、当然ながら「対象物がよく見えること」である。それは像がシャープに見えて適度なコントラストがあり、逆光時にフレアが出づらいことである。野鳥観察では野山を歩きながら対象物を探すことが多く、手持ちでの使用が前提になるので、双眼鏡の重量や手に持ったときのバランス、ピントリングなどの操作性の良さも重要である。

双眼鏡を選ぶ主なポイントは、「倍率」と「口径」である。野鳥観察においては8倍か10倍が人気だ。8倍は視野が広いため野鳥を導入しやすく、10倍は倍率が高いため遠くの野鳥が大きく見えるというそれぞれのメリットがある。口径とは対物レンズの口径で、25mm、30mm、40mm、50mmそれぞれのクラスがある。このうちスタンダードともいえるのが30mmクラスと40mmクラスで、30mmは軽量コンパクト、40mmは明るいというそれぞれのメリットがある。

多くの双眼鏡ブランドでは8×30、10×30、8×40、10×40というように8倍と10倍のモデルが30mmクラスと40mmクラスの口径でラインアップされており、ユーザーのニーズに合わせて選べるようになっている。

  • 野鳥を撮るときの基本セット。「ニコン D500」に、レンズは500mm f/4と1.4×テレコンを組み合わせて700mm f/5.6とし、35mm判換算1,050mm f/5.6相当で使っている。双眼鏡と三脚は堅牢かつ軽量なものを選びたい。

  • 双眼鏡はバックパックの雨蓋やサイドポケットなど、ほかの荷物の荷重や圧力がかかりづらいところに収納している。

双眼鏡を選ぶときにチェックすべきポイント

  • 倍率
    野鳥観察では8倍から10倍程度が使いやすい。視野の広さを優先する場合は8倍、少しでも大きく野鳥を見たい場合は10倍がおすすめだ。
  • 見掛視界
    同じ倍率なら見掛視界が広いほど実際に見える範囲が広い。野鳥は動きが素早いため、見掛視界が広い方が野鳥を導入しやすく追跡もしやすい。
  • 明るさ
    野鳥観察用双眼鏡では対物レンズの口径が30mmもしくは40mmクラスのものが一般的で、軽快さを重視するなら30mm、暗い場所で使うことが多いなら40mmとなる。
  • 防水性
    いつ現れるとも知れない野鳥に対応するためには、双眼鏡は常に首に掛けておくもの。そのため双眼鏡は防水性が高いものを選びたい。

双眼鏡の使い方の基本を覚えよう

双眼鏡の性能を最大限に発揮させるためには、正しい使い方を覚える必要がある。使い方といってもいたって簡単。使用前に各部調整を済ませれば、現場では対象物を捕捉してピントを合わせるだけで観察を楽しめる。

  1. 1 アイポイントを合わせる


    裸眼では接眼目当てを引き出して使用し、メガネ使用時は接眼目当てを引き出さずに使用することでアイポイントが合い、視野全体がケラレなく見られる。

  2. 2 目幅を合わせる


    両目で覗きながら左右の鏡筒を両手で持ち、開閉させることで目幅を合わせる。左右の視野がひとつの円形に見えれば両眼視できている証だ。

  3. 3 左目でピントを合わせる(視度調整1)

    両目の視度調整をするため、目標物を決めて左目だけで覗き、中心軸にあるピントリングを回してピントを合わせる。

  4. 4 右目でピントを合わせる(視度調整2)

    左目でピントを合わせたものと同じ目標物を、今度は右目だけで覗き、右側鏡筒にある視度調整リングを合わせてピントを合わせる。これで両目の視力差調整が完了する。

  5. 5 使用時には対象物を目指して双眼鏡を構える。


    まず肉眼で対象物を見つめて、間に双眼鏡を差し込むようにするとすんなりと対象物を導入できる。対象物の位置がわかりづらい場合は、近くの目立つ目標物を導入し、そこから辿るようにしていくのも有効だ。

ベストバランスなMONARCH HG 30mm口径シリーズ

ニコンのバードウォッチング用双眼鏡であるMONARCH(モナーク)は、低価格帯のMONARCH 5、中級機のMONARCH 7、そして高級機のMONARCH HGの、3つのグレードで商品展開している。このうちMONARCH HGは42mm口径モデルが先行して発売されていたが、このたび待望の30mm口径モデルが発売された。倍率は8倍と10倍の2モデルで、用途に応じて選択できる。

今回「MONARCH HG 10×30」のモデルを試用したが、重量わずか450gでとにかく軽い。ボディーにはマグネシウム合金を使用しており、軽量化と堅牢性を両立している。ホールディング性能も抜群なうえピントリングの操作性も良好なので、片手で双眼鏡を保持しながらのピント操作も快適だ。

  • 現場では双眼鏡の操作を片手のみで行わなければならないシーンもしばしばある。その時に過度に負荷がかからない重さであることと、片手での操作がしやすいことも、双眼鏡選びでは重要なポイントになる。

実際の見え味は30mm口径とは思えないほど広視界で明るいことに驚かされる。一昔前の双眼鏡では視野の中心はシャープでも視野の周辺では像面歪曲が目立つモデルも散見されたが、MONARCH HGはフィールドフラットナーレンズシステムにより視野全域でシャープでクリアな像を実現している。遠くにいる鳥がすぐ目の前にいるかのような立体感あふれる見え味は、野鳥観察の楽しさを再認識させてくれる。

  • 最高透過率92%以上の明るい視界を実現するため、すべてのレンズ、プリズムに高品質多層膜コーティングを施し、またダハプリズムとして構成される補助プリズムの唯一全反射しない面に高反射誘電体多層膜を採用している。

  • 視野の隅々までシャープに結像する「フィールドフラットナーレンズシステム」を採用。なお「フィールドフラットナーレンズシステム」は、ニコンの双眼鏡の上位モデルのほか、フィールドスコープの上位モデルでも採用されている。

大口径超望遠レンズやハイエンドカメラなど、重量級の撮影機材が多い野鳥撮影行に組み合わせる双眼鏡としては、この軽量コンパクトなMONARCH HG 30mm口径がベストバランスといえるだろう。いよいよ秋冬の野鳥撮影ベストシーズン到来。今期はMONARCH HGを使って野鳥観察力を身につけ、マナーを守って野鳥撮影を楽しもう。

  • 水辺の枝にとまって魚を探すカワセミ。双眼鏡を使って鳥の表情を読み取ることで、どこまで接近を許してくれるかをはかる。いかにして相手を緊張させないよう自然な姿で撮影できるかが野鳥写真家のウデの見せ所だ。

  • 農耕地で探餌するナベヅルの群れ。群れの中に他の野鳥が混ざっていないかも確認しておきたい。野鳥を発見したらまずは正しい識別と観察から。自分が撮っている野鳥の名前や基本生態を知っているのと知らないのでは、写真の仕上がりに差が出てくる。

ニコン MONARCH HG

ニコン MONARCH HG 8×30/10×30

メーカー希望小売価格(税別)
8×30:112,500円
10×30:117,500円
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  MONARCH HG 8×30 MONARCH HG 10×30
倍率(倍) 8 10
対物レンズ 有効径(mm) 30
実視界(゜) 8.3 6.9
見掛視界(゜) 60.3 62.2
1000m先の視界(m) 145 121
ひとみ径(mm) 3.8 3.0
明るさ 14.4 9.0
アイレリーフ(mm) 16.2 15.2
最短合焦距離(m) 2.0
高さ (mm) 119
幅(mm) 126
厚さ(mm) 47
質量(重さ/g) 450
眼幅調整範囲(mm) 56-74
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