写真家 木村琢磨が語る「物語を伝える」写真のつくりかた | GANREF
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「その1枚を物語に」セミナーシリーズ
写真家 木村琢磨が語る「物語を伝える」写真のつくりかた
1枚のRAWからいくつものストーリーを生み出すおもしろさ

この記事は2019年8月24日に名古屋で開催された“「その1枚を物語に」セミナーシリーズ・写真家が語る「物語を伝える」写真のつくりかた”をレポートしたものです。

写真の表現方法は十人十色。自分の世界観を表現したい人もいれば目の前の景色を忠実に再現したい人もいるだろう。写真を始めて間もない頃は、フィルムで撮影して暗室作業を行うことで自分の世界観を再現していた。デジタルが主流になった今、暗室作業の代わりをするのがアドビ Lightroomだ。その名の通り「明室」で自分の思い通りの一枚を仕上げていくためのソフトだ。今回はLightroomの基本ツールの使い方をはじめ、自分の世界観や一枚に込められた物語を表現・演出するためのワークフローを紹介する。

木村琢磨木村琢磨 Takuma Kimura
1984年岡山生まれ。フリーランスフォト&ビデオグラファー。地元岡山の広告写真スタジオでコマーシャルフォトグラファーとしての経験を積んだのちフリーランスに。"写真"という言葉にとらわれることのない自由な撮影スタイル。ロング一脚Bi Rodやドローンを使った空撮も手がけ、現在はデジタルカメラマガジンにて「図解で分かる名所の撮り方」連載中。ライフワークとして地元岡山の風景や景色を被写体に独自の作風で作品を制作し続けている。
https://www.takumakimura.com/

作品にストーリーを持たせる

写真を撮影する際に、テーマであったりタイトルであったりと、それぞれにストーリーを持たせる人は多いだろう。一枚の作品を見た時にストーリー性を感じ取ってもらうために、Lightroomのさまざまな機能を駆使して作品を制作している。ここでは作品のBefore&Afterを見ていただきながら、どのようなイメージで作品を仕上げていくのかを解説する。

  • Before
    Before
  • Before
    After

逆光のひまわり畑をレンズのフレアを活かして撮影。日暮れの影の中で咲くひまわりに日が差し込むイメージを再現。周りを焼き込むことで画面中央が明るく見え光が差しているように演出できる。ホワイトバランスをあえて崩すことで絵画のような一枚に仕上げた。

  • Before
    Before
  • Before
    After

満月の真夏の夜の海水浴場を撮影。海面に満月の光が反射し、満潮に近い時間帯だったため海の表情も少し荒い状況だ。かすみの除去と明瞭度を使い全体のディテールとアウトラインをハッキリとさせた後、段階フィルターと円形フィルターを使い海面の白波のディテールを出した。画面中央の航路標識の灯標を主役にすることで海の広さと夜の海の不気味さを演出している。

  • Before
    Before
  • Before
    After

地元岡山県にある「裏見の滝」を裏側から撮影。足元に虹がかかっていたので虹が主役になるようにRAW現像した。露光量をプラス補正して全体のトーンを白飛びしないように調整しつつディテールを出した。画面全体が明るくなると虹が目立たなくなるため周辺光量補正をマイナスに補正し画面の周辺を焼き込んだ。円形フィルターを画面上から下に向かって露光量をプラスにして光が差している部分を強調している。虹の部分だけ彩度を少し高めにすることで虹の存在感を強調した。

  • Before
    Before
  • Before
    After

地元のひまわり畑を超広角レンズを使って撮影。一番手前の一輪のひまわりを太陽に見立てて構図を調整。逆光で撮影して手前のひまわりに重ねることで花びらの透け感を演出している。白レベルをプラスに補正することでハイライトを圧縮して透け感と雲の立体感を演出。自然な彩度をプラスに調整することで青空の彩度を強めにし夏の青空を再現した。段階フィルターでひまわりの足元を焼き込むことでメインの大きなひまわりに視線誘導している。

この記事で解説する「Lightroom」について
 PCで使えるデスクトップ版のLightroomは「Lightroom」と「Lightroom Classic」の二つがあります。どちらもCreative Cloudの「フォトプラン」(980円/月)で使うことができます。「Lightroom」は、デスクトップ、モバイル、webのどこでも動作する、クラウドベースの新しいフォトサービスで、「Lightroom Classic」は、デスクトップ向けデジタルフォト製品です。この記事では「Lightroom Classic」での画面や操作で解説していますが、同等のことが「Lightroom」でも可能です。

1Lightroomでできること

撮影時にカメラでできるほとんどのことがLightroomで再現可能であり、カメラ内ではできないこともLightroom上では可能だ。撮影後に感じる肉眼で見た景色とのギャップや、撮影時には思わなかった仕上がりと撮影前に自分が抱いていたイメージの違いをLightroomを駆使することで解決できる。カメラの持つ画質を最大限に引き出すためには必ずRAW形式で撮影しておくこと。カメラ内で生成されるJPEGもLightroomで調整することは可能だが、RAWとJPEGとでは持っている情報量がまったく違う。

RAW形式で撮影しておくことで後からホワイトバランスを変更したり、露出を失敗した一枚でも劣化を最小限に抑えた状態で現像することができる。また、被写体に合ったプロファイル(※カメラの仕上がり設定のようなもの)もRAW形式の場合後から変更できるため、被写体やイメージにあったプロファイルをベースに現像を進められる。

Lightroomを使ってみたいが難しそうだと感じている人も多いかもしれない。まずは一つずつツールを触ってどのような効果があるのか、どう変化するのかを自分で体感することが上達への第一歩だ。どれだけ調整をした後でも最初の状態に戻すことが可能なので、失敗を恐れずに自分の中の正解を導き出してほしい。

  • プロファイル「Adobeカラー」
    プロファイル「Adobeカラー」
  • プロファイル「Adobeニュートラル」
    プロファイル「Adobeニュートラル」
  • プロファイル「Adobeビビッド」
    プロファイル「Adobeビビッド」
  • プロファイル「Adobe人物」
    プロファイル「Adobe人物」
  • プロファイル「Adobe標準」
    プロファイル「Adobe標準」
  • プロファイル「Adobe風景」
    プロファイル「Adobe風景」

プロファイルを変更することで、ベースとなる色味や階調を被写体に合わせて変更できる。「Adobeニュートラル」は階調を優先した仕様になり、「Adobeビビッド」は彩度が高めに設定されシャドウ部が締まりコントラストが高めになる。「Adobe風景」はビビッドとよく似ているが、ビビッドと同じくらいの彩度の高さにシャドウ部の階調を引き出した仕様となっている。自分のイメージにあったプロファイルを選ぶことでより一層思い描いた一枚に仕上がるはずだ。

  • 元画像
    現像前の元画像。メーカー純正のRAW現像ソフトと違いホワイトバランス以外のカメラ設定はLightroomに読み込まれた段階でリセットされニュートラルな状態で表示される。
  • 現像済
    Lightroomのツールを駆使して自分の思い通りの一枚に仕上げた。細かな露出設定やコントラスト、ホワイトバランスを調整して撮影時に感じた現場の雰囲気を再現しつつ自分の色を演出している。
  • ホワイトバランス変更
    調整後の一枚をホワイトバランスだけ変更。ホワイトバランスの違いで同じ一枚でも印象が違って見える。RAWで撮影しておくことで撮影後にホワイトバランスを自由に変更することができる。

2なぜRAWで撮影するのか

カメラの記録形式にはJPEG形式とRAW形式の2種類ある。JPEG形式は撮影したデータに各メーカーの「味付け」が施されて「画像」に仕上げられる。RAW形式は、JPEGと同じくメーカーの味付けを施したものだが、撮影後の現像処理で自分の好みの設定を施せる画像処理前の「生のデータ」だ。ホワイトバランスを撮影後に変更したり、カラー設定なども自由に変更できたりと撮影後にじっくりと仕上げるのに向いている。さらに画質面でも大きな違いがあり、JPEG形式の画像は撮影時にハイライトからシャドウまでメーカーの味付けが施され、不要なデータは記録されない。

RAW形式のデータはカメラのセンサーが持つ情報を最大限に残した状態で記録しているため、同じ一枚の写真でも画像処理を施した場合に画質に大きな差が出てくる。とくに、ハイライトとシャドウのデータの残り方に大きな差があり、露出を失敗した場合のリカバリー率が格段に高いのだ。ここではJPEG形式とRAW形式の画質の違いを同じアングルの写真で見てみよう。

  • シャドウRAW_JPEG比較元画像
    元画像。空の露出を優先して撮影しているため山はアンダーに写っている。
  • RAW形式
    RAW形式
  • JPEG形式
    JPEG形式

両形式とも、Lightroomの露光量をプラスにしてシャドウ部分を適正露出になるように持ち上げた。

  • シャドウRAW_JPEG比較拡大部分
    全体で見た場合は同じように見えるが赤枠部分を等倍で見てみると……
  • シャドウRAW_JPEG比較
    どちらもかなりディテールが残っているが、JPEG形式とRAW形式を比較するとRAW形式の方は色の情報やディテールがより多く残っている。小さなディスプレイやプリントでは劇的な差を感じないかもしれないが、ディスプレイやプリントのサイズが大きくなるほど細部まで見えるようになるため、その差は大きくなる。こだわりの一枚を制作する場合は、せっかくであれば細部まで気を使ってほしい。
  • ハイライトRAW_JPEG比較元画像
    元画像。光が気持ちよかったので、カメラでコントラストを強めた設定にして撮影した。ハイライト部分が白とびしてしまっている。
  • RAW形式
    RAW形式
  • JPEG形式
    JPEG形式

露光量をマイナスに設定してハイライト部分の情報を引き出した。RAW形式と比較するとJPEG形式の画像は白とびしてしまった部分のディテールは戻ってこない。

  • ハイライトRAW仕上げ
    RAW形式からの仕上げ。全体のトーンは撮影時の仕上げをベースに、ハイライト部分だけディテールを戻している。白とびが必ずしも悪いわけではないがRAW形式で撮影しておくことで同じ一枚からでも色々な表現が可能となる。

3Lightroomの基本的な使い方

Lightroomを使って作品を仕上げる、それは一枚の写真が持つストーリーを演出することだと思っている。Lightroomの基本ツールを使い、一枚の写真が持つ可能性をどのツールがどう引き出すのか、写真にどのような変化をもたらすのかを実例を交えて紹介しよう。

まずカラー、モノクロ問わず写真を撮る上で一番重要なのは露出だ。基本的には撮影時にISOとシャッタースピード、F値の組み合わせで露出は決定されるが、Lightroomで補正する露光量のパラメーターはフィルム現像で言うところの増感、減感にあたる。シャッタースピードやF値は現像では変更することができないので、ISOを撮影後に微調整すると考えればよい。Lightroomには画像の明るさをグラフ化したヒストグラム機能がある。露光量のパラメーターを調整することで全体の露出を整えることはできるが、さらに細かくピンポイントに露出を調整できる「ハイライト」や「シャドウ」、「白レベル」、「黒レベル」のパラメーターを調整することで、カメラ内ではできないような露出補正も可能だ。より理想の一枚を制作する上でも重要なツールとなるのでマスターしたい。

ヒストグラム

  • ヒストグラム
    露出をグラフ化したヒストグラム。カメラの再生画面やライブビュー撮影時に見る人も多いだろう。グラフが左側に偏ると暗い画像、右に偏ると明るい画像と、グラフのバランスを見ることで画面全体のトーンを把握できる。グラフがどちらかに振り切れると黒つぶれや白とびを起こしている状態。RAW現像を考えている場合は、なるべく中央にバランスが取れた状態が望ましい。
  • ヒストグラム_黒つぶれ
    露出アンダーで暗部が黒つぶれしている状態。グラフが左端に振り切れているのが分かる。シャドウのクリッピング機能を利用することで、黒つぶれした部分が青く表示される。
  • ヒストグラム_白とび
    露出オーバーで明部が白とびしている状態。グラフが右端に振り切れているのが分かる。ハイライトのクリッピング機能を利用することで、白とびした部分が赤く表示される。

露光量

  • 露光量補正なし
    露光量補正なし
  • 露光量プラス補正
    プラス補正
  • 露光量マイナス補正
    マイナス補正

露光量のパラメーターをそれぞれプラスとマイナスに調整した状態。必ずしもヒストグラムを見ながら補正をする必要はなく、目分量で仕上がりを確認する方法でも問題ない。ヒストグラムは露出決定の参考と考えておくとよい。

ハイライト

  • ハイライト補正なし
    ハイライト補正なし
  • ハイライトプラス補正
    プラス補正
  • ハイライトマイナス補正
    マイナス補正

ハイライトのパラメーターをそれぞれプラスとマイナスに調整した状態。露光量の調整と比較するとシャドウ部分はあまり変化がなく、おもに中間のトーンより明るい部分が補正される。

シャドウ

  • シャドウ補正なし
    シャドウ補正なし
  • シャドウプラス補正
    プラス補正
  • シャドウマイナス補正
    マイナス補正

シャドウのパラメーターをそれぞれプラスとマイナスに調整した状態。ハイライト部分はあまり変化がなく、主に中間のトーンより暗い部分が補正されている。プラスにすると画面手前シャドウ部分のディテールが出た。

補正比較

  • ハイライトRAW_JPEG比較元画像
    露光量をベースにハイライトやシャドウのツールを組み合わせて補正をしたものと、その補正前の状態を比較したものだ。空と海の明るさを白飛びしない程度に明るくし、アンダー気味だった手前の棚田部分ディテールが分かるくらいにの露出をを上げつつ黒を少し締めため、立体感が感じられる仕上がりとなった。

4段階フィルターを駆使してハーフフィルター効果や暗室テクニックをデジタルで再現

夏の夕方、山頂から夕焼け空を逆光で撮影。肉眼ではハイライトからシャドウまで均一な明るさに見えていた景色も、撮影時には夕焼け空のハイライトか画面手前のシャドウか、どちらかを優先して露出を決定しなくてはならない。フィルム撮影時にそんな悩みを解決してくれていたのが、暗室で行っていた覆い焼きや焼き込みの技法のほか、撮影時に物理的なフィルターを使い露出を調整できるハーフNDなどのフィルターテクニックだ。 Lightroomでも、基本的には暗室やラボで行っていたことと同じことを行える。暗室作業経験者であればすぐに使いこなせるだろう。また、Lightroomのツールを応用することで、撮影時にフィルターを使って撮影していた技法なども再現できる。

風景写真を撮影する人であればハーフNDなどを使う人は多いが、Lightroomの段階フィルターを使うことでハーフNDやハーフグラデーションフィルター効果を再現することも容易だ。ハーフND効果とハーフグラデーション効果の重ねがけも容易で、物理的なフィルターと違い画面内の複数箇所に適用できる。なによりフィルターが使えないような超広角レンズや魚眼レンズでも再現できるのはデジタルならではだろう。 グラデーションの濃淡も自由自在なので、撮影後にじっくりと一枚を仕上げることができる。撮影した景色の持つストーリーは撮影者自身が体験したストーリーなので、その時に感じた気持ちをどれだけ一枚に投影できるかがポイントとなる。段階フィルターは「演出」をする上で非常に使い勝手の良いツールだ。演出という自己表現をその一枚に加えることでオリジナリティーが生まれる。「自分にはこう見えた」や「こう感じた」を積極的に自分の作品に投影していこう。

  • 夕焼けに露出
    夕焼けに露出
    夕焼け空が印象的だったので夕焼け空に露出を合わせて撮影した。夕焼け空の色は再現できたが輝度差が激しく手前の景色が黒つぶれしてしまった。
  • 手前に露出
    手前に露出
    画面手前の景色を黒つぶれさせないために露出を手前のシャドウ部分に合わせた。手前は適正露出になったが代わりに夕焼け空が露出オーバーになってしまい印象的な夕焼けの色が失われてしまった。
  • 段階フィルター使用
    段階フィルター使用
    段階フィルターを使いハイライトとシャドウの輝度差を抑えることでハーフNDと同じ効果を再現した。また、露出だけでなく夕焼けに染まった山の雰囲気を再現するためにホワイトバランスの調整も施した。
  • 段階フィルター使用画面
    段階フィルター使用画面
    段階フィルターの使い方は簡単だ。今回は下側ほどND的な効果が弱く、上に行くにしたがっND的な効果が強くなるように設定している。写真を明るく調整する際には、濃い赤の領域ほど明るくなる。フィルターのグラデーションの幅が広いほど効果がなだらかに適用され、幅が狭いほど急激な変化となる。

4円形フィルターを使用して光の演出を施す

円形フィルターを使うことで覆い焼きや焼き込みの効果を再現することが可能だ。光の強弱や方向性を演出する時に活躍してくれる。岡山の蒜山を背景に稲が頭を垂れている田んぼを撮影した。田んぼには薄っすらとスポット光が差していたが写真にはあまり写らなかったため、Lightroomの円形フィルターを使ってスポット光を演出した。

段階フィルターと違い、円形フィルターは部分的なスポット補正ができる。補正をする際に気を付けていることは、光の方向性はなるべく撮影時の状況に合わせて補正することだ。このシーンの場合は左から右に向かって光が射しているため、補正をする場合も左から右に明るさが変化するように補正をしている。自由に補正ができるのがLightroomの良さだが、ネイチャーの場合は光源はあくまで一つの太陽という条件を守って現像することで違和感を無くしている。

  • 元画像
    元画像
    田んぼにほのかにスポット光が差していたが、写真にはあまりハッキリとは写らなかった。
  • 円形フィルター適用後
    円形フィルター適用後
    円形フィルターを使うことで田んぼに差していたスポット光を再現している。太陽が左側から差していたため円形フィルターも左から右に露光量が補正されるように調整している。
  • 円形フィルター使用画面
    円形フィルター使用画面
    円形フィルターは中央から外に向かって補正効果が適用されるようになっている。ぼかし量なども細かく設定できるため自由度はかなり高い。段階フィルターと同じく、露出補正はもちろんホワイトバランスやかすみの除去などさまざまな効果を段階的に適用できる。

5同じシーンをどう表現するか、さまざまな自分と向き合う。

写真の面白いところは、同じ景色でも自分の気持ち次第で色々な見え方をするということだ。撮影した時はなんとも思っていなかった一枚でも、時間が経って見返すと意外とよかったりする。RAW形式で撮影しておけば何度でも現像することができるし、気分次第で同じ一枚からまったく別の作品に仕上げることも可能だ。その時その時の自分の中にあるストーリーをLightroomを通じて楽しんでみてほしい。

  • Before
    Before
  • After
    Afterその1
  • After
    Afterその2

夕暮れ時に近所の水田を撮影。最初に現像したのは1枚目(Afterその1)の夕焼けを強調したもの。時間が経って真逆のイメージで仕上げてみようとフラット気味に現像し直した(Afterその2)。同じ一枚から別々のストーリーを導き出すことができる。バリエーションの作品を制作する場合でも自分の中に仕上がりのイメージをハッキリと持っておくことが重要だ。Lightroomの自由度の高さにどう仕上げていいのかわからなくなる人も多い。まず現像する前にどういう方向に仕上げるのかを明確にしておこう。

  • Before
    Before
  • After
    Afterその1
  • After
    Afterその2

Lightoomには数多くの機能が搭載されているため、どのツールを使えば自分のイメージ通りの一枚に仕上げられるのかを把握するために普段使わないようなツールも積極的に使ってみよう。今回は赤基調と青基調の2種類を制作した。ホワイトバランスの変化一つで作品の方向性がガラリと変化する。ホワイトバランスをあえて崩す設定も作風の幅が広がるのでここぞという時に使ってみよう。

  • Before
    Before
  • After
    Afterその1
  • After
    Afterその2

一つはフラット調にして階調を優先した仕上げに。肉眼で見た雰囲気を再現している。ホワイトバランスを少し暖色に振ることでより柔らかい雰囲気に仕上げている。もう一つはポジフィルム調に仕上げて黒をグッと締め空の青さを強調し光の陰影を活かした一枚に仕上げている。どちらも周辺を焼き込むことで画面中央に視線誘導できるためそれだけでもストーリー性が生まれる。

[まとめ] 物語の鍵は自分の中に眠っている

シャッターを切ってそこで完成、それも写真の楽しみの一つだ。写真には決まりはなく、自分が表現したいイメージこそが正解だろう。RAW形式で撮影できるカメラを持っていてLightroomを使える環境があるならば、ぜひ自己表現する楽しみをLightroomを通じて体験してほしい。

Lightroomは難しそうだ……と感じている人は多いかもしれないが、まずは露光量を調整する、ホワイトバランスを変えてみる、それだけで新しい表現と出会えるだろう。いきなり使いこなせなくても少しずつ覚えていくことでLightroomを使うことでこういう仕上げにできるのだと知ることで、写真の撮り方や被写体との向き合い方も変わってくる。必ずRAW現像をしなくてはいけないということはなく、ぜひRAW現像を選択肢の一つに加えて自分の物語を紡いでほしい。

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