“その一枚を物語に”フォトコンテスト テーマ「麗」 入賞作品レシピ集

アドビ「Lightroom」「Photoshop」を使ってあなたらしい物語を写真で表現する「“その一枚を物語に”フォトコンテスト・テーマ:麗」に入賞し取材対応いただいた15作品のRAW現像・画像編集のレシピを大公開! 作者の皆さんが作品を仕上げるのに、どんな意図で、どんなテクニックを駆使したかを、Before/Afterから読み解いていきましょう。入賞作品作者の思考と現像・画像編集テクニックを学べば、あなたの作品表現の引き出しはもっと広がるはずです。[取材・執筆:吉田浩章](提供:アドビ)

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カメラと相性の良い手法で柔らかな肌のトーンを表現した
作品名:夏の思い出/作者:Kogame

Before Before
After After

画像編集のプラン

カメラのオートホワイトバランスは、このような夕日の色合いの表現は苦手なので、実際の見た目に近くなるような色合いにする。また、露出アンダーで撮っているので、階調全体と、特にシャドウを明るく起こすが、肌の柔らかい感じを出すとともに、白飛びに気を付ける。

部分的な注目点

  1. 見た目に近い色合いにする
    オートホワイトバランスで撮影しているため、期待通りの色合いではない。そこで[色温度]で見た目に近い色合いにする。その際は肌の色を基準にし、違和感が出ないように調整する。
  2. 肌の柔らかい感じを出す
    画像を明るくする際、肌の柔らかい感じを出すような調整をする。[シャドウ]だけではなく[黒レベル]も併用することで柔らかな肌のイメージを求める。また、写真を引き締めるために[トーンカーブ]でコントラストを強める。
  3. 白飛びに気を付ける
    明るさの調整によって、空や花火の部分が白飛びしないように気を付ける。今回は全体的な調整で対応できたが、場合によっては[円形フィルター]や[段階フィルター]で部分補正をする。

詳細な編集内容

使用ソフト:Lightroom Classic

撮影状態が良かったので空の色や素材の良さをそのまま活かすことを意識しました。色については[ホワイトバランス]の[色温度]を調整しただけで、それ以外は変更していません。明るさについては、ハイライト部を残すようにしながら[基本補正]で暗部を持ち上げました。明るさやコントラストの微調整は[トーンカーブ]を使っています。撮影に用いたカメラはα7 IIIですが、このカメラはダイナミックレンジが広いためにアンダー気味に撮影し、現像時に[シャドウ]と[黒レベル]をプラス調整し、[トーンカーブ]で引き締めるという手法がマッチします。この手法は、逆光時など、明暗差が強い状態では非常に効果的です。子どもの撮影ではレフ板やストロボを使えないことも多いので、Lightroomがそれらの代りとなっています。

画像全体の引き締め効果を狙った[トーンカーブ]の設定
画像全体の引き締め効果を狙った[トーンカーブ]の設定

編集項目

色温度:6167
露光量:+1.32
シャドウ:+100
黒レベル:+100
トーンカーブ/ハイライト:+39/ライト:+13/ダーク:+10/シャドウ:0

撮影時のエピソード

初夏の季節になると毎年のように海に行き、シャボン玉やカイト、花火をして家族みんなで遊んでいます。そんな楽しい時間に撮った写真です。普段は楽しそうに笑っている小学生の娘ですが、時折ものすごく大人っぽい表情を見せることがあります。そんな一瞬のギャップを捉えました。

撮影時のポイント

この日は夕焼けがとてもきれいで、また薄雲のおかげで柔らかい景色となっていました。背景や花火の色を飛ばさないように、RAW現像を前提として露出を切り詰めて撮影しています。手持ち花火を玉ボケで撮る手法は、数年前から続けているヒメボタルの撮影から思いついたものです。

完成イメージについて

撮影段階で最終イメージがありました。肉眼で見たイメージに近くなるような仕上げを意識していますが、それは、夕日の柔らかい光が被写体を包み込んでいる、といった雰囲気を感じさせるものです。そのため色については、自然の良さを残すために部分調整は行わず、ホワイトバランスの調整に止めています。

作者:Kogameさん
普段は楽しそうに笑っている娘の時折見せる大人っぽい表情。その一瞬を逃さず親にしか撮れない写真を撮る。それが私の楽しみです。


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